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【飯田線各駅訪問】93 宮木駅

辰野町・宮木駅。線路の曲がりとホーム上の屋根の形から、かつて交換駅であったかのように思われたが…。
画像が酷くてすみません…

辰野町の中心部にある駅

 ここは飯田線単独駅では最北となる、宮木という駅だ。駅は長野県上伊那郡辰野町にあり、周辺には住宅地や学校が広がっている。全国の“ど真ん中”町としてアピールしている辰野町の中心部に位置しており、ある意味「もっとも真ん中に近い駅」なのかも知れない。
 そして驚くべきことに、当駅の利用者数は路線の接続ターミナル駅・辰野駅を超えているのだ。どちらかと言えばこの駅の方が辰野町第1の駅とも言えそうだが、同様の例は駒ヶ根駅に対する小町屋駅、伊那市駅に対する伊那北駅など他にもあったため、そこまで珍しくはないようだ。
 構内は1面1線の単線駅だが、ホーム上の屋根の形や線路の“曲がり”などから、かつて島式交換駅であったかのように思われた。…しかし、この駅がかつて列車交換設備を有していた記録はなく、どうやら憶測に過ぎなかったようである。さらにかつては当駅に駅舎(業務委託施設)があったというのだから、この市街地の狭い敷地内にさらに線路をもう一本敷くのは不可能だと考えられる。

 さて、今回は飯田市から長野市まで列車で行く途中に駅を通過しただけであり、実際に降りて“訪問”することはできなかった。それでも何となくは駅の雰囲気を知れたので、収穫が無いなんてことはなかったと思う。
 駅には真新しい待合室があり、締め切ることはできないが居心地はある程度保障されると思われる。また、かつての業務委託施設の建物の基礎が微妙に残っているのも確認できた。
 ただ、列車はすぐに発車してしまう。「ごく普通」と言われがちな市街地にある単線駅であっても見どころは少なくなさそうな駅だった。さぁ、次は飯田線の終点・辰野駅。飯田線の北部区間の乗り通しがついにこれで完了する。最後の区間の車窓は、こころなしか、より特別なものに感じられた…。

※近々再訪の予定がありますので、達成次第追記致します。


宮木駅。辰野町の中心部に存在している。
1面1線のホーム…だが、線路の“曲がり”がやっぱり不自然だ!
ホーム上の屋根も、島式ホームによく見られる左右対称。
花々が咲く宮木駅。駅周辺は学校などが多く、美しい街並み…といったような印象。

再訪日記

 さて、今回は「上伊那北部駅訪問旅」として、今まで列車内から“観察”しただけにとどまった駅に訪問していった。そのトップバッターとして訪れたのがこの宮木駅。
 この駅訪問旅では親にお世話になった。自宅のある飯田から高速道路を運転してきてもらい、中央自動車道の辰野パーキングエリア上り線で降ろしてもらう。そこからまずは、この宮木駅まで歩くことにした。
 事前の調べによると、この間は道路一本道で行くことができるようである。しかし道沿いに学校が密集している道路ということもあり、歩車分離の押しボタン式信号機が多すぎる。そのため距離の割に時間を食ってしまったのだが、この宮木駅はそうしてまでしても到達する価値のある場所だと分かった。

 やがて道路の前方に踏切が見えた。そこまで歩いていくと、その踏切横にホームがある。さぁ、今日の駅訪問の始まりだ! 以前に一度、列車にて通りすぎたことがあった。その時には気がつかなかったのだが、この駅は多くの通学生を見込んでのことか、屋根がとにかく大きい。ホーム上の待合所の屋根にしても、駅入り口の階段の屋根にしても、とりあえず屋根の下が結構広いのだ。これなら雨でも安心そうである。
 さらに、この駅は“元島式駅疑惑”が浮上していた(上述の初訪記参照)。しかしどうやら、それは本当だと言えそうである。駅背後側に妙に何もない空き地が存在しており、当駅付近の線路の“曲がり”から加味しても、ここにはかつて線路が通っていたとは言えなくはなさそうだ。さらにホーム自体の形状やホーム上の屋根の形からしても、当駅が元島式駅だったのはほぼ確実と言えそうである。

 そんな興味深い駅だったが、すぐに出発して今度は隣の伊那新町駅まで歩かなければならない。己の方向感覚と「駅間歩きの技量」に頼り、敢えて地図を使わずに行くことにした。…が、初めて訪れる見知らぬ土地であっさり歩ける訳もなく、伊那新町駅に到着することにはできたものの、かなり余分に大回りをしてしまった。ただ、その道中で広々とした田畑の中を歩けたのは心地が良かった。

 駅とは確かに電車に乗るために存在している。人々が利用し、そこから学校や会社などへと歩いていくのに使うのが、「基本形」だ。しかし、遠くからやってきた私はじっくり訪問することで、普段利用している人すら気づかないことに目を向けられた。どこか遠くへ行って新しいものを見ることも面白いのだが、逆を返せば意外と、身近なところにも“面白さ”が潜んでいるのかもしれない。

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