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【飯田線各駅訪問】88 木ノ下駅
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住宅地の中の小さな駅
ここは長野県上伊那郡箕輪町にある、木ノ下という駅。駅周辺は住宅地が広がり、また箕輪進修高校の最寄り駅であることから利用者は多そうだ。駅は1面1線の単線で、市街地を貫く真っ直ぐな線路に沿うようにホームがある。
以前この駅を列車で通り過ぎる際、停車中に視察を行った。しかしそれでは物足りず、同じように車内から観察するだけにとどまっていた駅を巡る、「上伊那北部駅訪問旅」の11駅目として訪問した。この木ノ下駅へは、隣の北殿駅から徒歩で到達したのである。
それにしても、北殿駅の所在する南箕輪村と当駅のある箕輪町と言えば、田舎者の私にとっては「これほど都会な村・町があるんだな」と思えるほどだ。長野県の中でも最南部の飯田市に住む私は、町や村といったら山間の川沿いにひしめく集落というイメージしかない。これほどまで賑やかな箕輪町・南箕輪村は、いっそのこと辰野町も含めて合併し「伊北市」なんかでも作っちゃえばいいのにと思う。人口も立派に5万人は超えるし、市街地もちゃんと存在する。ただそれらの町村は合併する気はないので、こんな話は机上の空論に過ぎないが。
さてこの木ノ下駅には、前回の視察の際には気がつかなかったのだが側線があった。駅前の踏切を渡るときに横を見ると…線路が分岐し、その先に車庫がある! 当駅はかつて列車交換駅だったわけでもないが、それにも関わらず側線がある駅なんてそう多くはないのではなかろうか。また、ホーム上には駅舎…というか待合室と言うのか微妙なくらいの、小さな建物がある。まるできのこを思わせるような佇まいだ。
駅の横にはトイレがある。JRと箕輪町が協議を重ねた結果、町の負担で建設されたのだと言う。しかしどうも利用マナーが悪いようで、トイレの入り口にある迷惑行為者を舐めたような注意書きには苦笑してしまった。
ちなみにこの「木ノ下」という駅名は、おそらく駅前にある神社の「木の下」という意味合いが含まれていよう。その神社には500年を超える歴史があり、神社完成当初から境内の木が植えられていたとするとその木の推定樹齢は500年にもなる。まぁあくまでも私の推測に過ぎないが。
やがて列車が発車する時刻になった。やってきた下り列車に乗り、この小さな駅を後にした。
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