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【飯田線各駅訪問】58 鼎駅

鼎の住宅地の中に、鮮やかな緑の屋根の駅が佇んでいた。
駅にある大きな木造看板は手作りなのだろうか??
駅のホームを歩いていると、時刻表にない臨時快速がいきなり通過してきた。

鉄道ファンと受験生、それぞれの想い

 ここ鼎駅は、飯田市鼎地区の中心駅だ。両隣の駅と比べれば、駅舎やトイレ、自販機があるなど大きい駅であると言えるだろう。利用者数も市内では3番目に多く、これは駅からの徒歩圏内に2校の高校があることが要因だと言える。

 ただ、この駅は以前はさらに賑わっていたのだ。駅の業務部跡が現在でも存在することから、近年までは有人駅であったと見て取れる。さらに、かつては駅に立ち食い蕎麦店が併設され、ホームには2番線も存在していた。その当時は、市内では飯田・天竜峡とともに“三大駅”であると誇っていたのだろう。
 その事実を知ってしまうと、今現在の鼎駅がいかに寂しい雰囲気になってしまったのかはあきらかだ。のちに屋根の色は緑に塗り替えられ現在に至るが、草に埋もれた2番ホーム跡は現在では知って見ないと気がつかないだろう。

 さて、この駅ではその語呂の良さから、「願いかなえて桜咲け」と称する切符が販売されていた。それは鼎→桜町の切符なのだが、鼎駅が無人化されてから販売されていなかった。しかし近年、その切符は飯田駅で購入できるようになり、受験生を中心に人気だ。買って乗ってみるも良し、記念としてとっておくも良しだろう。飯田線にもこのような楽しみ方があるのかと、改めて感じさせる切符だ。
 ただ、「願いかなえ」るために当駅に訪れた受験生たちのうちのいかほどが、この駅の特徴に気がつくのだろう? 鉄道ファンの楽しみは鉄道ファンの中でしか共有できない。飯田線の素晴らしさを教えても、忙しい受験生にはそれほど飯田線愛ももたずに「桜咲」く桜町駅へと列車に乗るのだろう。願いを「鼎」ること、「桜」を咲かせると言うのは単なる語呂であり、残念ながら駅自体とは殆ど関係がないのだ。鉄道ファン目線で見て、なにかが引っ掛かる。しかしせっかく鉄道を利用してもらえる機会だというのだから、私自身も受験へ向けて切符を買って乗ってみたいと思う。

2024.02

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眩しい日の出をバックに、1番列車の313系がやってきた。

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