耳コピのススメ
映画「マチネの終わりに」が公開され、クラシックギターで演奏されるテーマ曲「幸福の硬貨」に注目が集まっています。
私は映画を見た印象を動画にしたくて11月1日の公開初日に映画館へ行き、11月3日に動画を公開しました。
当初から楽譜のお問い合わせはお断りしてきました。
権利的な問題が第一ですが、理由の一つが本記事にあります。
※この投稿は最後まで無料で読めます。
私がクラシックに能動的に触れるようになったのは小学生の頃。
この頃はなんでも「小さなノート」に書くことが好きでした。
まず音楽の授業を通して「この世の中の音というものは、五線譜に書き表すことができる」と知りました。
周囲の男子の中では特に音楽の授業が好きな方だったのでしょう。教科書にある曲を歌ったり鍵盤ハーモニカやリコーダーで音を出してよく遊んでいました。
ある時、こんな疑問が生まれました。
「あの曲、なんで音楽の教科書に載ってないんだろう?」
学校でよく聞く曲も楽譜を見れば弾けるんじゃないか?
弾いて見たい。でも楽譜がない…。
「じゃあ、楽譜を自分で書けばいいんだ!」
そうして小さなノートに五線譜を書く生活が始まります。
特に記憶に残っているのが「アイネ・クライネ・ナハトゥ・ミュージック」。
音楽の先生にメロディを歌ってみせて、「この曲のタイトルってなんですか?」と質問した記憶があります。
教科書にはやはり楽譜がなかったので小さなノートにメロディを書きました。
「楽譜に書いた通り演奏したら、聞いたことがある通りの音が出た」
小さなことですが、この達成感は相当なものがありました。
我が家は特に音楽一家ではありません。
「楽譜」という文化はなく、「どこで買えるか」も知らない。
楽譜は「買うもの」ではなく「書くもの」になりました。
私にとって耳コピは、聴音などの『勉強』ではなく『アソビ』になりました。
これにより、結果的に耳の発育が進んだのだと思います。
話は、私がクラシックギターを始めた高校生まで進みます。
当時の情報源は雑誌でした。
エレキギターが趣味になっていましたが、その雑誌にクラシックギタリストが登場した号がありました。
その方がCDで録音している曲の一部がタブ譜で掲載されており、「ちょっと弾いてみるか」という感じで音を出してみると、
「CDと全然違う。」という結果に。
(ピックじゃ出ない音なんじゃないか?)
(ナイロン弦じゃないとこの音はでないのでは?)
こうしてフィンガーピッキング生活が始まり、最終的にクラシックギターを購入するに至ります。
しかし、困ったことがまた一つ。
楽譜がない。
当時は入手できたCDの曲を耳コピしていました。
しかし弦は6本、どれを使って弾いているのか見当がつかない音が多い。
メロディはなんとなく聞き取れる。低音もだいたいできる。それ以上は…無理かもしれない・・・。
(楽譜って売ってないのかな…)
根を上げて挫折しました。
当然です。ブローウェル、ヴィラ=ロボス、ディアンスなどの曲を耳コピしようとしていたのですから。
子供って恐ろしいですね。今は「できるわけないだろう」って思います。
(大人って恐ろしいですね。「できるわけないだろう」ってやる前から決めつけています・・・)
その後大きな街の楽器屋さんで「現代ギター」を発見します。(存在を知らなかった)
クラシックギターの情報を得るのに苦労しましたが、ようやく「通販で楽譜を買う」ようになれたのです。
(楽譜が届いても難しくて弾けなかったのですが)
話をまとめます。
私にとって耳コピは「アソビ」でした。
いつの間にか「経済的に助かる選択」になってしまっていた気がします。
私が楽しかったアソビを、他の人にも味わって欲しいなと、思っています。
運良く?、映画「マチネの終わりに」のテーマ曲『幸福の硬貨』の楽譜は、映画公開時点で発売されていません。
音源だけが入手できる状況を生かして、耳コピアソビしてみませんか?
正解は、楽譜が発売されて初めて分かります。
私のオススメのやり方は、3ステップ。
1)メロディを採譜
2)ベースを採譜
3)不足している音を肉付けする
です。幸福の硬貨の音数なら、これでできると思います。
Youtubeにアップしている人が増えてきましたが、一人一人違いがあります。
参考音源は同じでも聴き取った音の違いがあるのか、
誰かの耳コピをさらに耳コピしているのか、
見比べてみるのも面白いです。
(私はあえて音価変えてあり、「誰か気づくかなー?」ってアソビをしてます。実は。)
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