TwitterのALTテキストに不適切な情報を書くのをやめよう

こんな話が流れてきたので微力ながら啓蒙として伝えたい内容に絞って、代替テキストに関する事実と思いを残しておきます。
長い文章を読みたくない人はとりあえず下の方の「何故TwitterのALTテキストに不適切な情報を書いては行けないのか」と「適切な情報と不適切な情報」の項目だけ読んでください。


ALTテキストとは?

画像の代替テキストは、画面上のビジュアルイメージの代替となるテキストです。

代替テキストを設定することで、画像を直接見ないユーザーにも画像が持つ情報を提供できます。

ウェブサイトのページやブログなどの記事、プロダクトのなかで画像を使うときは、代替テキストをつけることを検討してください。

画像の代替テキスト | アクセシビリティ | SmartHR Design System

とあるように、ある画像コンテンツに対して、画像に対して何らかの理由でアクセスできない人に対して情報を提供するためのテキストで、所謂アクセシビリティ対策として行われることが多いです。
画像コンテンツを見れない理由としては例えば以下のものが挙げられます

  • 視覚に何らかの障害を抱えている

  • 通信速度に問題がある

  • 端末の画面に問題がある

  • ブラウザに問題がある

  • 画像のリンクが切れている

  • その他

のように、所謂視覚障害を抱えている方以外にも、様々な事情を抱える人のために用意されているものになります。
(補足: ブラウザにはスクリーンリーダというサイトの内容を音声で読み上げてくれる機能があり、これによって画面を見ることができなくても情報を得ることができます。スクリーンリーダは画像に設定されたALTテキストも読み上げます。)
昨今はX(Twitter)でもユーザが自分の投稿した画像に対して、ALTテキストを付加する機能が実装されましたが、どうやらこれの使われ方が問題になっているようです。

そもそもアクセシビリティって?

ALTテキストは「アクセシビリティ対策」として対応されることが多いといいましたが、そもそもアクセシビリティとは何なのでしょうか?
Webにおけるアクセシビリティについては、以下のような説明になります。

ウェブアクセシビリティは、利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供 されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味しています。様々な利用者が、いろいろなデバイスや環境からウェブにアクセスすることが当たり前になっている今、ウェブの利用方法の多様化に 応えるアプローチのひとつがウェブアクセシビリティともいえます。

デジタル庁, ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック

具体的には、画面が見えなくても情報を得ることができたり、特定の環境に依存することなく操作ができる、音声が聞こえなくても情報を得ることができる、などの状態を「アクセシビリティが高い」「アクセシビリティが担保されている」といいます。
アクセシビリティといえば、視覚障害等特定の問題を抱えた方のための対応のようにイメージする方もいますが、実際には「万人が平等に情報に対してアクセスする」ことを目標としており、当然その万人の中にはこの記事を読んでいるあなた自身も含まれます。
TwitterのALTテキストも、この「アクセシビリティ」を担保する目的で実装されていると言えそうです。

なぜTwitterのALTテキストに不適切な情報を書いてはいけないのか

TwitterのALTテキストに不適切な情報を書くと、多くの問題が生じる可能性があります。

  1. 情報の不平等: ALTテキストの主要な目的は、画像を直接参照できないユーザーにその画像の内容を伝えることです。不適切な情報を提供すると、情報の不平等が生じ、これはアクセシビリティの考え方とは正反対の行動となります。

  2. ユーザーの混乱: 不正確または不適切なALTテキストは、ユーザーに混乱や誤解を生じさせる可能性があります。特に、視覚障害のあるユーザーは画像の実際の内容とALTテキストとのギャップに戸惑うかもしれません。

  3. 誤情報の拡散: 不適切なALTテキストが、ユーザー間で誤情報として拡散されるリスクがあります。これは、情報を正確に伝えるというウェブの基本的な役割を損なう可能性があります。

  4. 信頼性の低下: 継続的に不適切なALTテキストを使用するアカウントは、他のユーザーからの信頼性を低下させるリスクがあります。その結果、そのアカウントの情報や投稿の価値が低くなるかもしれません。

  5. 不適切なコンテンツの拡散: ALTテキストに攻撃的、冒涜的、または適切でない内容を含めることは、それ自体がコミュニティガイドラインや利用規約に違反する可能性があります。その結果、アカウントが凍結されるリスクもあります。

結論として、TwitterのALTテキストは、視覚障害を持つユーザーや画像を読み込めないユーザーなど、様々な状況の人々にとって重要な情報源となっています。そのため、正確で適切な情報を提供することが、ウェブアクセシビリティを担保する上で非常に重要となります。

適切な情報と不適切な情報

以下に、ALTに設定する適切な情報とそうでない情報の例を上げます。

適切な情報(ALTテキストの例):

  1. 画像が山の風景である場合: "晴れた日の山の風景、頂上付近に雪を戴く山と青空。"

  2. 画像が人々が集まっているイベントである場合: "10人以上の人々が集まり、ステージでギターを弾く人の演奏を聞いている様子。"

  3. 画像が商品の写真である場合: "新発売の赤いスニーカー、白い底と細かいデザインのロゴが特徴。"

不適切な情報(ALTテキストの例):

  1. 画像が山の風景である場合: "今日の私の気分。"(画像の内容と関連性が乏しい)

  2. 画像が人々が集まっているイベントである場合: "つまらなそうなイベント。"(主観的な評価や偏見を含む)

  3. 画像が商品の写真である場合: "お買い得情報をクリック!"(広告的、または誘導的な内容で、画像の実際の内容と関係ない情報)

上記のように、基本的には画像の内容を直接表す情報を書くべきであり、そうでないもの(上記の例以外にも、イラストの画像に込めた物語の内容や、写真に写ってる人に対するメッセージ、あるいは「検索避け」したいツイートの本文など)を書くべきではありません。

最後に

私は、個人的な考えとしてALTテキストに不適切な情報を書くことは「点字ブロックの上に自転車を放置する行為」と同質の行為であると考えています。
一方で、アクセシビリティという用語がまだまだエンジニアやデザイナー以外の一般層の方々に広まっていないのも事実であり、こうした背景が、TwitterのALTテキストのような誤った利用の仕方に繋がっているのかとも考え、微力ながらも理解を広めたいと思いこの記事を書いた次第です。
この記事を最後まで読んでいただいた方につきましては、少しでもアクセシビリティへの世間の取り組みについて理解頂けると幸いです。

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