
「長期主義」とは?〜イーロン・マスクが子沢山な理由。
イケハヤです。
今日は現代思想的なキーワード、
「長期主義(longtermism)」
について話していきたいと思います。
休日で暇だったので、以前から気になっていた「長期主義」についての書籍を読んでみました。
著者はウィリアム・マッカスキル、37歳(同世代!)の哲学者です。
レビューを見るとあまり読まれてませんが、エキサイティングな一冊だったので、超ざっくりですが解説していきます!
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まず、「長期主義」と聞いて、みなさんは何年くらいのスパンを想像しますか?
50年?100年?200年?
ここで語られる「長期主義」が扱う時間軸は、もっともっと長いんです。
これは、1万年、10万年、もっといえば100万年後の未来の人類社会について考える、という「アストロノミカル(天文学的)」な時間軸の議論です。
長期の時間軸で見ると、現代社会の問題の捉え方は変わってきます。
もっともわかりやすい例は「少子化」です。
長期主義を支持するイーロン・マスク氏は
「急激に進行する少子化は、地球温暖化よりも、人類の文明に対する深刻なリスクだ」
と指摘しています。
Population collapse due to low birth rates is a much bigger risk to civilization than global warming
— Elon Musk (@elonmusk) August 26, 2022
イーロン・マスクは「このままでは日本が消滅する」と何度か語っていて、ニュースにもなっていますね。
「日本消滅」は、なかなかピンとこない話かもですが、長期主義者的な立ち位置から考えると、たしかに言わんとすることがわかってきます。
というのも、このまま少子化が進んでいくと、計算上では、
・日本人の人口は、100年後には5000万人以下となる
・200年後には1200万人となる
・500年後には日本の人口は13万人となり、縄文時代並みになる
・1300年後には理論値ではゼロになる
という話があるんですよね。
もちろんこれは計算上で、「消滅」は極端な話だとは思います。
が、時間軸を伸ばすことで、たしかに「少子化」が、人類の文明に対する大きなリスクであることは感じやすくなります。
で、イーロン・マスク氏ですが、彼は子供がめちゃくちゃ多いんですよね。
なんとお子さんの数は、12人!
これだけ聞くと意味がわからないですが、彼が長期主義者であることを踏まえると、理解しやすくなりますね。
(なお、もちろん彼はただ子沢山なだけでなく、不妊治療の促進などに対してもコミットしています)
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そして、「長期主義」が扱うのは人口問題だけではありません。
長期主義者たちは、長期的に見たときに、人類に悪影響をもたらす可能性があるものは、ぼくらは想像しているより多い、と語ります。
具体的には、
・AGI(汎用人工知能)の悪用
・大国間の核戦争
・人工ウイルスによるパンデミック
・深刻な気候変動
・(小惑星の衝突:ただこれはリスクとしては小さい)
などなどの「文明崩壊リスク」挙げられています。
身近なところでは、やはりAIは、たしかに人類への悪影響がありえそうです。
AIは強力な道具で、倫理的に望ましくない使い方も可能で、実際に被害が発生しています。
AIは今のところ、開発企業のモラル、法律(民主主義)、ユーザーの自制に頼りながら、浸透が進んでいます。
しかし、たとえば、北朝鮮のような国の独裁者が、高度なAIをフルに悪用してきたら、どうでしょう。
しかもそれは今のAIよりもずっと高度な、AGI(汎用人工知能)と言われるものである可能性もあります。
AGIの誕生がいつになるか、どのような影響を与えるかは、まだ未知数です。
可能性でいえば、、今後数年以内に生まれる可能性はあります。
ぼくらは人類の未来を守るための、重要な歴史の分岐点にいる、と考えることはできます。
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「長期主義」は、今の私たちの行動の重要性を強調します。
私たちが今この瞬間にどう行動するかで、1万年後の人類の運命が変わるかもしれない。
今の私たちの行動が、未来の何十億人もの命を救う可能性がある。
そういう喫緊の問題意識が読み取れます。
著者のマッカスキルは、
「これから生まれてくるすべての人々を守る運動を起こすのに、これほど絶好の時代はないのだ」
とも語っています。
課題も多く指摘されている思想ではありますが、こうした著者の前向きなスタンスにはシンプルに共感します。
「長期主義」は、現代を生きる私たちの大きな責任、そして、大きな可能性を示してくれる思想です。
今のぼくらの行動が、遠い未来の人類を救うかもしれない。
そう考えると、SFっぽくてワクワクする感覚すらありますね。
もう少し関連書籍を読み込んで、理解を深めたいと思います。
長期主義について考える良い文献があれば、ぜひリプ欄で教えてくださいませ!
著者のプレゼンも置いておきます。
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