見出し画像

統合を体験するまで

心理療法を受ける前の私は、自分で自分のことを治すしかないと思い詰めていました。
自分のことを治す方法を探していて、とりあえず民間のカウンセラー養成講座に入学したものの、自分の内面について語るというロールプレイでつまずいて挫折してしまい、途方に暮れていました。

カウンセラーになるには、自分の内面の問題をクリアにしておかなければならないという課題がありました。
その講座で主に学んだことは、カール・ロジャーズの来談者中心療法の傾聴だったと思います。(記憶がおぼろげ)

そのロールプレイで、自分の問題について相手に話す役になったとき、自分の内面を見ようとすると真っ暗な空洞とともに得体の知れない恐怖が襲ってきて、それがどこからくるのか、何なのか、自分で全くわからないことにも怖くなってしまって、その場に居られなくなりました。

授業に出るのも怖くなってしまい、しばらく休んだのちに退学しようとすると、何時間にも渡って説得されました。
自分でも全くわからないことを何とかして話すようにと説得されて、それを乗り越えなければカウンセラーになれない、と。
逃げるな、と言われ続けて地獄でした。

私はもともとカウンセラーになることが目的ではなく、自分で自分を治すやり方を知りたかっただけだったので、こんなやり方では絶対に無理だという気持ちがどんどん強くなり、とにかくやめたいの一点張りでなんとか退学することができました。

自分の苦しみについて誰にも説明できないから、自分で自分を治すためにカウンセリングを学ぼうと思ったのに、カウンセリングを学ぶには自分について話せなければならない、という堂々巡りの中で途方に暮れていました。

当時の私の苦しみとは、自分が話す言葉が全部嘘のように感じてしまって、何も話せなくなっていたことでした。

普通の人が言いそうな言葉を真似したり、想像したりしながら、なんとか普通に見えるように一生懸命に振るまう日々。
それらの言葉は、現実をなぞるだけで私とは何もつながっていない。
私が話す言葉は、誰かの言葉の断片をつなぎ合わせたものでしかなく、本当は私は何を思って何を感じているのかが自分で何もわからなくなっていた。自分は何かがおかしいと確信がありながらも、それを人に説明できないから、病院にもカウンセリングにも行けない状態でした。
 
そんな状態のときに、知人からFAP療法のことを教えてもらいました。
障害があって話ができない子どもがFAP療法でよくなっていると。
私はそれを聞いて、自分について話ができなくても治療してもらえるかもしれないと大きな希望を感じながら、興味を持ちました。
自分のことを話せなくても診てもらえるなんて、どんな療法なのだろう?と。
 
(つづく)

いいなと思ったら応援しよう!