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【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第21回「第62期大和ハウス杯十段戦挑戦手合第3局を眺めてみよう!!」

こんにちは。

IGOcompany【U】@毎日note継続中(242日目)です。

公益財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、「囲碁」の普及活動をしています。

宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、新百合囲碁学園の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などでも囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

本日のnoteは、

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第21回「第62期大和ハウス杯十段戦挑戦手合第3局を眺めてみよう!!」

です。

ちなみに、

十段戦のスポンサーは、大和ハウス工業さんなんですね。Wikipediaによると、2021年かららしいです(前は森ビル杯)。

いっつも書いてるんですが、僕ら囲碁民は、協賛してくれるスポンサーさんを、ちゃんと意識して、「囲碁」をスポンサードして良かったなって思ってもらえるようにしていかないといけないなと思ったりしています。


第62期大和ハウス杯十段戦挑戦手合第3局

黒番 井山裕太王座 白番 芝野虎丸十段

この対局は、白番中押し勝ちで、芝野先生が2勝1敗になりました。

印象としては、井山先生が力を発揮しようとしたトコロを、芝野先生がスラスラとかわして形勢有利を築き、そのまま勝ちきったような対局です。

特に戦いがなかったとは言いませんが、ここまで綺麗に(?)勝ちきるんだなぁって、並べていて感動しました!!

この「感動」を是非ぜひ、皆さんにお伝えしたいと思います。

ちなみに、

この【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!シリーズは、こちらのマガジンに随時追加していきますので、良かったらこちらも眺めてみて下さい。

こちらは、今まで書いた書籍や色々な有料noteが「全て」詰め込まれているマガジンですが、

この棋譜解説だけ、(これから書く分も含めて)全100回分読みたいよって人は、こちらの、ちょっとお得なマガジンをご購入下さい。

購入していただかなくても、スキのリアクションを頂けるだけでもモチベーションになりますので、そちらだけでも宜しくお願い致します!!

前回のnoteはこちら。

※必ず前回のnoteを載せていますので、もし興味があれば遡って頂けると。

今回の参考教材。

それでは、始めていきましょう!!

【囲碁】全100回を目指す!上達に役立つ棋譜解説!!第21回「第62期大和ハウス杯十段戦挑戦手合第3局を眺めてみよう!!」

【解説につかった棋譜 黒1手目~白88手目まで】

黒番 井山裕太王座 白番 芝野虎丸十段

良かったら棋譜を並べながら解説を読んでみて下さい

【実戦の進行 白22手目まで】

右下隅、白10のケイマは一路左に打つ手もあります。地は少なくなりますが、黒からのオシなどが利かないように白10はケイマを選択。

左下隅、黒11のダイレクト三々からの進行は、黒17手目で切り上げて、白は先手を取るのが自然です(前の解説でも言いましたね)。

黒19や黒21は、小目からのコスミの「急所」。

上辺に白22とヒラキ。

ここまでは落ち着いた序盤です。

白22の大々ゲイマは、ホンのちょっと珍しいかも

【実戦の進行 黒23のキカシ】

黒23と白24の交換の善悪は不明です。

井山先生が打った手なので、僕が何を言えるもんでもないんですが、

僕が先生に碁を教わっていた時にこの手を打つと、ちょっと筋が悪いね、なんて言われてしまいそうな気もします。

今黒23と打つかどうか??

【参考図① 打ち込みの味があるトコロ】

と言うのも、

上辺の白△の二子に対しては、黒Aのツメや、黒1の打ち込みの味を狙えるトコロ。序盤に黒23とキカシを打ってしまうと、そういう「狙い」がひとつ無くなってしまうので、昔は「筋悪」なんて表現していました。

なんとなくですが、昔の方が、狙いをや味を残す打ち方を好んでいたような気がします。

黒1の狙いを残したい

とはいえ、

今はAIもワリとすぐに形を決めますし、こう打って「良くない」ってことではありません。その後の打ち方次第です。

僕は、こういうのは打たない方が良いって教わっているので「おぉ、ここはすぐに決めるんだな」って思ったりもしましたね。

【実戦の進行 黒25から戦いが開始】

実戦、下辺に黒が黒25と打ってきて、強弱が発生し「戦い」が開始!

ここで白がどう打つのかは悩ましいトコロです。

皆さんだったら、どう打ってみたいですか?

【参考図② 一間トビに悪手なし】

こういう時の素直な手は、

次の図の白1の一間トビです。

よっぽどの高段者じゃなければ、「こう打っておいて十分」のような気がするので、特に級位者の人などは、こういう手を素直に覚えて欲しいですね。

何も考えなければ白1が素直

【参考図③ 左下隅の白石を強化】

あるいは、左下隅の白を白1のノビなどで強化してあげれば、下辺も戦いやすいと思います。

この手は、AIによると2番目の候補手でした(とはいえ、実戦もそうなんですが、黒から切られて戦いを仕掛けられる可能性もあるので、この手も立派な一手だと思います)。

白1とノビを打たないと左下隅の白の強弱が気になります

【実戦の進行 白26が最善手!?】

実戦の白26のツメが、AIで検討すると最善のようでした。

一間ビラキはナカナカ打ち難いような気もするのですが、ここにツメることによって右下隅の黒△の三子の強弱を主張できます。

ここから下辺の戦い。「強弱」が重要です

【実戦の進行 黒27の切り】

白26で右下隅の石の強弱を主張したものの、

実戦のように黒27と切られると、白の石の強弱も気になります(難しい)。

黒27と切られると、白も難しくなりそうだなと

こういう展開が嫌な人は【参考図③】の手がオススメなんですね。

ここから複雑な戦いになりそうだなと見ていたのですが…。

【実戦の進行 車の後押しの強手】

実戦黒27の切りから、井山先生は黒37手目まで「車の後押し」と呼ばれる(一般的には良くないと言われている)手を選択しました。

僕が打ったら、これも「筋悪」と怒られてしまいそうです(笑。

白38までノビられると「白の石が強くなるお手伝いをした」ような「車の後押し」の進行になります。

黒37まで堂々とオシで打てるのは凄い!

【参考図④ 僕だったらマガリ】

「車の後押し」が良くないという先入観(?)があるので、僕だったら黒33とマガリで打ちそうです。

AIで検討すると、もちろん、マガリも候補手でした

とはいえ、

「車の後押し」のこの進行も立派な手。

AIもこの図を示していたようです。

「打ちたい手を打つ」井山先生ですからね。

【実戦の進行 黒39手目の局面】

「車の後押し」で左辺の白を強くしようとも、黒39と切りを打って、白△の三子を攻めれば、黒が主導権を握れると井山先生は考えていたのかもしれません。

確かに、下の図の黒39の切りまでを見てみると、白△の三子の強弱が気になります。

下手をしたら取られてしまうかもしれません。

白△の三子の強弱はいかに!?

しかし、

ここで、このnoteでも何回か紹介した「サバキの手筋」が登場!

井山先生は主導権を握ろうと力強く打っていきましたが(そうじゃないと車の後押しなんて出来ない)、

白の虎丸先生が、この追求を軽やかに(?)サバいていきます。

どうやってこの白△の三子をサバくのか!?

それを、

以下の有料部分で、解説していこうと思います。

こっからの白の打ち方がホント素晴らしくて棋譜を並べていて「おぉ」とうなってしまいましたね。

それでは、

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!!

是非ぜひ、また読みに来てみて下さい^^。

(良かったらご購入もご検討下さい。棋譜解説を続けるモチベーションにもなります!コメントなども頂けたら泣いて喜びます)

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【実戦の進行 白の華麗なサバキの手筋】

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