【囲碁】本因坊戦第3局のちょっとした感想
こんにちは。
IGOcompany【U】です。
囲碁をビジネスに起業して「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。
今年の4月からは「新百合ヶ丘囲碁学園」の学園長を任されました。
最近の目標は、
微力ながらもnoteを書き続けて囲碁を知ってもらうってことと、
前にも書いたんですが囲碁のコミュニティ(や仕事)を100個作ること、
そして、10年間で100本の書籍や有料の記事を書くことです。
コツコツ続けていきたいなと。
さてさて、本日のnoteは、久々に棋譜解説をしようと思います。
前回、本因坊戦第3局の大盤解説会を観に神田明神に行ってきましたってnoteを書きましたが、
その時の感想をちょっとだけまとめてみようかと。
無料の棋譜解説シリーズなので、参考図が10図くらいの3000文字、ちょっと軽めの記事です。
まあ、僕が偉そうに解説するのはオソレオオイので、こういう考え方もあるんだなと思って(何となくでも)読んでいただければ嬉しいです。
最近は、プロの棋譜を、著作権云々の問題もあって書いていないんですが、もう新聞にも載っているし、折角、貴重な解説も聞いたし、AIで検討もしてみたので、アウトプットをしてみようかなと思います。
あくまで、ちょっとした個人の感想としてということで。。。
【総譜 1手目~249手目まで】
黒が井山文裕本因坊、白が一力遼棋聖です
本シリーズは、一力先生の2連勝で、今回が3局目。
一力先生は17連勝中という充実ぶりの中での対局でした。
結果は、井山先生の黒番中押し勝ち。
コウ争いを含みながら、最後の最後まで戦いの碁で、黒番の井山先生もどこかで譲るのかなと思ったりもしたんですが、最後まで完膚なきまでに対応したっていう印象の碁です。
(おそらくですが)7番勝負はまだまだ続くので、妥協なんてしていられないって心境だったのかもしれません。
【1手目~21手目まで】
左下は黒が両ガカリした定石。
白14とカケツギで打った場合は、白16と緩めるのが形です。
ここをオサエで打ってしまうと、白が打ち辛くなってしまいます。
黒21のツケは、もし教室で講義する場合には、あまりオススメしない打ち方で、例えば(最近三連星はあまり見ないですけど)右辺Aなど大場に打てば自然です。
余計な事をせずに、素直に大場ですよ~って解説するかもしれません(笑。
黒21の意図は、左下隅の白は強い(堅い)ので、黒21とツケて固めても惜しくないという考え方です。もともと白地なのでそれは変わらず、黒は外側に(何かの役に立つかもしれない)石が来て満足というような考え方。
とはいえ、実戦は白23とツギで落ち着いて対応していますけど、白に反発されると先手を取られてしまう可能性もあるワケです
それだったら、素直に右辺のAなどに打っている方が自然だと思います。
まあ、ちょっとした工夫ですね。
【黒41手目まので局面】
下辺白38のアテに対して、黒は手を抜いて、上辺の黒39と反発。強い人は、相手の手に対して逆らう(反発する)ように打つことが多いですね。
黒41の二段バネで、黒は右上隅の白石を叩いています。
隅の白は来ているので実戦は手を抜いていますが、黒29からのサガリがヨセ的に大きいトコロで(後手17目くらいはありますかね)、部分的には黒はすぐにでも打ちたい場所になります。
【白68手目までの局面】
右上隅が気になるトコロですが、白は42と右下隅にカカリ。
白58まででお互いに落ち着いて、黒番に。
黒59の局面で、どこが大きいかなぁと思って悩んでたんですが(辺に打ったりするくらいかなと)、黒59の切りはほぼ絶対の一手のようです。
そうなんだなぁって思いましたね。。。
キリから強弱を作るように打たないと石が張っていないって事なんでしょうね。
白62のアテからは「車の後押し」で筋が悪いように感じるトコロですが、黒が白62の位置に打ててしまうと、黒が連絡して強くなり下辺への出切りも生じてしまうので、ここは仕方なしの着手。
白68は下辺の白三子(38・44・60)を軽く見て打っている一手です。
ここで白が頑張ってしまうと、流石に全体の白を攻められながら、黒は大きな地を完成させることが出来そうです。
逆に黒からAなどと取ってくれれば、あっさりと捨ててしまおうというのが白の発想です(なので黒も取らない)。
【白78手目までの局面】
白78手目の局面で、本因坊戦第3局の1日目が終了。
ここで黒の封じ手になります。井山先生は、封じ手を選ぶことが多いような気がしますね。
ちなみに黒77の手は、ちょっとだけ黒の評価値が下がった一手だったようです。白が捨てたい三子をあえて取りにいった雰囲気だからでしょうか。
封じ手は、黒Aがほぼ先手になって良いんじゃないかと言っていたのが、解説の平田先生。
僕は、特に深く考えずにBなどと右辺を大切にして打つのかなと思っていました。
しかし、結局、この碁では右辺を大切にして打つっていう発想は、ほとんど見かけませんでした(笑。
結局、封じ手は、
【黒79手目の局面】
黒79の様子見です。
ご覧の通り、白は四隅を確保していますので、黒は力を溜めて、中央の戦いに焦点を当てたいと考えているのだと思います。
【白94手目までの局面】
少し進んで、ここで長考の局面。
白94が(僕にとっては)頑張った印象の手で、これからの中央の白石の強弱が気になります。
僕だったら、Aなどにしっかり一手入れていそうな気もします(部分的には形です)。
この後、
どのように黒が中央の白石を攻めるのかがポイントで、
実戦は、
【黒95手目までの局面】
黒95と出て、左上隅から碁を持っていきました。
この時点では、先ほども言ったように白が四隅を地にしているので、僕は、白番の一力先生が打ちやすいような印象を持っていました。
黒は上手く白の石を攻めれないと甘くなってしまいそうです。
【白106手目までの局面】
左上隅から碁が展開し、白106手目の局面。
実は、この手から少し碁の雰囲気が変わったような気がします。
解説の先生が何人もいらっしゃって、関先生の時だったと思いますが、下図の白1のノビが冷静だったかもしれないとおっしゃっていましたね。
とはいえ、
白106の二段バネを見た時には黒のダメも詰まっていたので、井山先生が難しい碁なんじゃないかと、僕は思っていました。
【白110手目までの局面】
どうですか?下図の局面。
白110とノビ切られた時に、黒は真ん中の白石を攻めたかった立場だったのに、逆に黒石の方が弱くなっているように感じませんか?
観戦している時は、全部の黒石を無傷でしのぐのは大変そうだなと感じていたんですが、実は白の石たちもそんなに強い石ではなかったのです。
下の図のように黒に叩かれた白△の石たちが、見るからにダンゴ石の愚形。
ここで石の形がヨレたのが、白の敗因だったのかもしれません。
とは言っても、
ここからの分岐点も本当に多くて、正確に打つのは至難の業。後から見返したり、家で並べてみたり、AIにかけたりして、(やっぱり)ここがポイントだったんじゃないかなぁと感じた程度です。
僕も棋譜を講義してご飯を食べている人間ですが、ここからの進行は本当に勉強になることばかりでした。一手ミスをすると転げ落ちるようなイメージで、とても最後まで打ち切る自信がないですね。。。
最初に並べて総譜をもう一度載せてみますが、
ここからは深い読みに基づく戦いが、ずっとずっと続いていきます。
解説の変化図を頭の中で咀嚼して、解説会が終わった頃には、何故か僕がぐったりしていました(笑。
始めて大盤解説会に自分から参加して、凄い勉強になったなぁって思ったので、また機会があれば行ってみたいと思います。
以上、
簡単で、拙い解説ではありましたが、
少しでも参考になる部分があったら嬉しいです。
本日も読んでいただき、ありがとうございました!!