桒原駿(囲碁棋士)先生の休場について
こんにちは。
IGOcompany【U】@毎日note継続中(261日目)です。
公益財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て「囲碁」の普及活動をしたりしながら、ご飯を食べてます。
「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、
「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などでも囲碁を教えています。
本日は、
桒原駿(囲碁棋士)先生の休場について
っていうnoteです。
ちょっと、問題提起(?)のような感じで、
このポストについて、noteを書いてみようと思います。
令和6年5月15日付けで、桒原駿三段が休場ということです。
囲碁を知らない人にとっては、
「えっ?だから??」というポストかもしれませんが(産休とか、育休とか、仕事を休むことなんてあるでしょって感じで)、
棋士が休場するっていうのは、給料を返納するに等しいので凄く大きいことなのです。勝っても、負けても、手合いに出てさえすれば、わずかなりとも金銭が発生します。
仮に、他の仕事をしていたとしても、とりあえず、月に数回の手合いを打っていれば対局料は出るのです(他の時間は、何をしていても自由です)。
将棋界は引退を促すような制度があるのですが、囲碁界は勝っても負けてもとりあえず棋士を続けることができるので、
棋士の人数の増加によって、それが囲碁界の財政を苦しめているという部分もあります(※定年がないので、ずっと給料的なものを払い続けないといけない)。
ただ、それが杉内寿子先生という、素晴らしい棋士を成り立たせている部分もあったりするワケで。。。
まあ、それは、また今回の話とは、別の話なので、これくらいで。。。
で、
今回の桒原先生の休業については、
今までも、ある程度の年齢で(または自身の納得する成績を残せなくなって)、自ら引退するという流れはあったものの、20代の半ばで棋士を休場するという決意は、やはり大きなものだと思います。
何て言うんでしょうかね。
例えば、大学を出て、国家試験を通過して、医師免許を取得して、さあ、これからだっていうタイミングで、医者を辞めますって宣言するイメージに近いと思います。
他にやりたいことが出来たので医者を辞めます!みたいな感じだったら理解も出来るんですが。。。
桒原駿先生の休場についてのポストをまとめてみたので、
まずはご覧ください。
※引用失礼します。
↓ ↓ ↓
「休場の理由についてですが、大きな理由は会社に就職する事になったというところであり、何故そこに至ったのかというのをお気持ち表明的なものを含め書いていこうと思います。
きっかけとしてはやはり本因坊戦の格下げというのが大きかったです。憧れのタイトルであり目標の一つが失われたという心理的ショックに加え、契約の交渉で粘らなければいけない一線を越えてしまったことが如実に感じられ、一つの棋戦がタイトル料、契約金を含めこれだけ下がってしまうと、他の棋戦を支えてくださっているスポンサー様がじゃあウチも下げますとなっても何らおかしくないと思っています。
日本棋院は現状、スポンサー様やファン、職員の方々の「ご好意」の元に成り立っているのであって、いただいている金額に見合ったメリットやリターンを提示できているようには感じられません。
この現状を打破するには色々な制限やしがらみがあるとは思いますが、まずは対局日を土日祝にしたり午後から対局開始にしたり、現在中継、掲載されていない棋譜を閲覧できるようにするなど、ファンの方はもちろんこれからファンになってくださる可能性のある方々の目に留まるよう、既存のスタイルを変えていかなければならないと思っています。
観る将という言葉が広がったのに対し、何故観る碁という言葉を聞かないのかというファンの方のお言葉を見かけた事がありますが、そもそもリアルタイムで見られる方が少ない時間に対局しているようでは広がるはずもありません。
プロ野球やサッカーもひたすら平日のデイゲームばかりやっていたらここまでの人気は出ていないと思います。
僕の私見ですがこのまま行くと近い将来、多く見積ってトップ棋士20人、女流棋士10人、解説や配信、番組で人気の棋士10人くらいの計約40人しか専業の棋士で食べていけなくなるのではないかと思っています。
またこの場合普通の会社で働くのと同程度で考えると、60歳くらいまではトップの内に入っていなければならず努力ではどうにもならないような気がしました。
というわけで僕の棋士としての冒険はひとまずおしまいです。
楽しいことも辛いこともありましたがなかなか良い棋士人生でした!
まあ投了ではなく打ち掛けなので、ひょっこり戻ってきたらまた仲良くしてください!ではありがとうございました!
先の投稿で挙げた不安要素や問題点が氷山の一角という現状の中で、愚直に囲碁だけを頑張るというのは自分には難しいものがありました。
働いていく先でフリーランスのような形になり兼業棋士として復帰する可能性はありますが、よっぽどの事がない限り専業棋士として復帰することはないと思います。
ただ、これはひとえに自分のモチベーションの問題であり、囲碁の魅力はこんなもんじゃないですし、これから日本棋院や囲碁界は変化、進化してもっと良くなっていくと信じています。
今まで応援してくださった皆様には感謝を申し上げるとともに、これからの囲碁界へのさらなる応援をお願いいたします。」
↑ ↑ ↑
凄いしっかりとした文章として綴っているので、言いたいことのほとんどを理解できます。
言葉が悪いかもしれませんが、囲碁界で仕事をするのを「見限った」に近いのかもしれません。
「囲碁の魅力はこんなもんじゃない」と表現している通り、囲碁自体を嫌いになったのではないと思います。
ただ、衣食足りて礼節を知るって言葉もあるように(使い方合ってますかね?)、まずは生活を成り立たせないといけないって観点から、囲碁界で生き続けるのは「ツライ」と判断したのでしょう。。。
残念ですが、そういう側面は確かにあると思います。
僕は、棋士でもない、囲碁が大好きなだけの人間で、どうにかこうにか囲碁でご飯を食べているので、創意工夫でどうにかなるだろうと思っている部分もあるんですが、
「僕の私見ですがこのまま行くと近い将来、多く見積ってトップ棋士20人、女流棋士10人、解説や配信、番組で人気の棋士10人くらいの計約40人しか専業の棋士で食べていけなくなるのではないかと思っています。
またこの場合普通の会社で働くのと同程度で考えると、60歳くらいまではトップの内に入っていなければならず努力ではどうにもならないような気がしました。」
という意見のもと、
大好きな囲碁から離れる決断をしたっていうのは、ナカナカ厳しい囲碁界の現状が見て取れます。
いくつかポストを紹介します。
そして、
碁を打つ場所がどんどん減っている現状もあるワケです。
これについての責任の所在はどこなんでしょうね。
やはり、日本棋院なんでしょうか。
どうにかしろよ!って気持ちがないと言えば嘘になります。
でも、職員さんはどんどん少なくなっている中で、頑張ってはいるんですよね。。。
あっ、でも、ここの部分「スポンサー様やファン、職員の方々の「ご好意」の元に成り立っているのであって、」は、職員さんは、ちゃんと給料が出ているので「仕事」です。ご好意って感じではないんじゃないかと。
スポンサー様やファンの皆さんに、
「いただいている金額に見合ったメリットやリターンを提示できているようには感じられません。」は、囲碁人口が減り続けているので、その通りなんでしょう。。。
僕は、
もう20年くらい囲碁でご飯を食べているので、
こっから方向転換して囲碁以外の仕事するっていう未来は少ないと思っていますが(むしろ、今の生活が理想の生活だと思っていますが)、
若い内に、しっかりと人生について考えると、こういう決断もあり得るんだと感じます。
「働いていく先でフリーランスのような形になり兼業棋士として復帰する可能性はありますが」って書いているように、
仕事をしながら、
副業として、あるいは起業して活動するというのも可能だと思うのですが(棋士の先生はちゃんとすれば結構稼げたりすると思うのですが)、
正直に言って、プロ棋士になるために、10代の頃から囲碁ばかりしていた人間にとって(失礼な表現になったらすみません。そういう意図はありません!)、
フリーランスで展開するというのは難しく感じてしまうのもわかります。
囲碁(を打っている)だけで、ご飯を食える時代が終わりに近づいたということなんでしょうね。
まあ、でも、他の業界も、同じかもしれません。Mリーグで人気の麻雀界だってそうでしょうし。。。
僕自身も、最近、仕事先が減ったり、無くなったりという現実に向き合ったりもしています。どうにかこうにか、囲碁の普及の道筋を探ったりしているワケで。
(このnoteの収益も、ありがたいことに生活を支えてくれていますので、ホント、感謝しかありません。応援してくれている方、本当にありがとうございます!!)。
可能なら、
取材と言いますか、
桒原先生に、お話を聞いてみたいなと思ったんですが、Xって無課金だと相互フォローしていないとDMが送れないみたいです。
まあ、このタイミングで、取材をお願いするのも、失礼になってしまうかもしれませんしね。。。
とりあえず、
今回は、問題提起(?)として、こんな感じでnoteにまとめてみました。
ちょっとマイナス面もある話題でしたが、
皆さんは、どのように感じましたでしょうか??
僕自身としては、そんなに悪いことばかりじゃないっては捉えています。
でも、気持ちは痛いほどわかります。
こういう決断をさせてしまった、囲碁界なんなんだよって気持ちもありますね。やはり、棋士っていうのは、僕にとって憧れの職業ですし。どうにかならんのかと。
とはいえ、
桒原先生、お疲れ様でした。
今後の活躍をお祈りしています!
僕は、ホント、今後の囲碁の未来が明るいものになるように、微力ながら、頑張っていきたいですね。
「囲碁」は、めちゃくちゃ魅力的で、面白いものですからね。
それでは、
本日も、
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!