【囲碁】第48期碁聖戦第3局のちょっとした感想
こんにちは。
IGOcompany【U】です。
囲碁をビジネスに起業して「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、
「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などでも囲碁を教えて、ご飯を食べてます。
それから、
つい先日決まったんですが、10月から八王子で新しい囲碁教室を担当することになりました。
詳細が出ましたら、また告知したいと思います。
宜しくお願いします!!
さて、
今日のnoteは、
先日行われた「第48期碁聖戦第3局のちょっとした感想」です。
たまに(棋譜が新聞に載った後に、怒られない程度に…)、
勉強した棋譜の感想をnoteに書いたりしています。
この記事は、
無料の「棋力向上に役立つ無料noteのマガジン」に追加しておきますので、
良かったら(他の記事も含め)眺めてみて下さい。
有料noteの解説と比べて、ちょっと軽めに書いてはいますが、僕の書いた囲碁の解説が、少しでも誰かの参考になれば嬉しいです。
囲碁って一朝一夕ですぐ強くなるものではないので、
こういう棋譜解説とかを読んで、ちょっとずつ地層が積み重なるように、知識の引き出しを増やしていただければと思います。
それでは、行ってみましょう。
【第48期碁聖戦挑戦手合第3局】
黒 一力遼棋聖 白 井山裕太碁聖
【1手目~14手目まで】
黒1から白4まで四隅を打ってタスキの布石。
黒5のカカリに手を抜かれた時は、続けて、黒7とケイマに打つのが好点になります。皆さんも手を抜かれて、白6のように打たれた時などは、気合で連打するのが良いと思います。
白は白10まで二本打って一間トビの形が多いですが、黒からの利きが少ない方が良ければ三本打って(這って)一間トビの形もオススメです。
白14のノゾキは、AIが出て来てからよく打たれる手法。
最初見た時はビックリしましたが、こうノゾかれた時は、どう打つのが良いと思いますか?
【白14のノゾキに対してのワンポイント】
白14とノゾキを打たれた時は、普通にツナギで打って十分です。
(実戦の一力先生は反発していますが、ツナギで大丈夫です)。
ただ、
ひとつだけ覚えておいて欲しいのは、
このノゾキを打たれた後の白3のスベリに対しては、
「手抜き」で打つというのがポイント(?)です。
黒4でAの三々に受けるのが自然と感じると思いますが、ここでAに受けるのは利かされ(ホンのちょっと白が嬉しい)と言われています。
なので、
白3には受けない方が良いと覚えておいて下さい(今の流行は、手抜きです)。
ノゾキを打たれて黒石が強くなっているので、例えば、右下隅の黒4の三々入りのように「手抜き」で打つのが良いとされています(置き碁の時などは受けておいても特に問題ないとは思いますが…)。
【白16に対しては、黒17が好点】
白16と白が上辺を盛り上げるように打ってきました。
この時には、
相手の白模様を制限するように打つ黒17のカケが好点と言われています。
白16に対する黒17はセットの石の動きのような手ですので、そのまま覚えてしまいましょう。
【黒受けてても自然ですが…】
例えば、黒17のケイマを打たずに、
下の図のように黒1とハネてノビで打つのも自然な進行になります。
これで問題あるワケではないのですが、なんとなく単調な進行。
プロの碁ではあまり見かけない展開です。
とはいえ、
次の白18のツメで、左上隅の黒石が弱く感じてしまうので、この展開もあったかと思います。
【白18のツメに対して】
黒19とハサミ返したのは黒の強い手です。
左上隅の黒の三子から動きたくもなりますが、それだとちょっと黒は弱気。
黒19と、白18にハサミを打って「あなたの石も弱いでしょ?」っていう姿勢を見せるのが大切ですね。
ちなみに、黒19のハサミに対して、白Aと一間トビする手はあまりよくないかもしれません。
白Aと打ってしまうと、黒Bのツケから「ワタリ」を打たれてしまって、黒の石が連絡してしまいます。
このような図では、白20でCなどへコスミを打っているのが(部分的には)形です。
【白30までで、黒は封鎖されてしまいました】
実戦は白20のツケで打ち、白30までと進みました。
下の図の左上隅の黒石がだいぶ弱く感じませんか?
左上隅の黒は大丈夫なのかな?と見ていたんですが、ここから黒は上手くサバキます。
【黒31の出から、黒はサバキ形】
黒31の出から、黒33の石を捨て石にして、黒37まで。
黒は二眼が出来そうなサバキ形を確保しました。
【白が意地でも取ろうと思えば…】
黒1の出に対して、白は受けずに白2とアタリを打てば「取るぞ」って石を示した進行。
これもあったのかもしれませんが、実戦は、この展開は乱暴すぎると見たのでしょう。
黒37までのサバキ形を与えました。
【部分的にはコウ残り】
ちなみに、黒37までサバキ形と言いましたが、
本気で白が黒の石を取ろうとすれば、
(僕の判断では)コウ残りのようです。
あくまでひとつの例ですが、白5と欠け眼にし、白7とホウリコミを打てばコウになります。
ただ、この形は黒からAなどの傍コウも多く、白はとても取りに行くことは出来ません。
【この碁で、いちばん気になった局面】
なんてことのない局面ですが、
皆さんは、下の図の局面ではどう打ってみたいでしょうか?
A~Dまで選択肢を載せてみました(どれも悪い手ではありませんが…)。
僕は右上隅に黒の厚みがあるので「A」が好点かなと考えていました。
しかし、一力先生の選んだ手は「B」。
一力先生の打った手なので、僕が何か言えるってワケではないのですが、
例えば、囲碁教室で生徒さんに説明する時は「厚みは囲うな」と説明するので(BやCはやや厚みを囲っている印象)、「A」のカカリで打つようにオススメすると思います。
「A」のカカリは、この局面ではダメなのかなと悩んで、
AIにかけてみましたが、
やはり、いちばん自然な着手は「A」のカカリだったようです。
ちょっとホッとしましたね(笑。
素直に打つなら「A」の感覚で合っているようです。
形勢判断や、勝負にしないといけないという理由の上で「B」だったのだと思います(この時点で、AIでは形勢はやや白良しでしたので)。
【攻めたい石にツケるな】
もうひとつ気になった着手が、白66のツケ。
「(相手の石を強くしてしまうので)攻めたい石にツケるな」という格言が囲碁にはあるのですが、
そんなこともお構いなしに井山先生は、白66とツケて形を決めに行きました。囲碁ではツケを打つとお互いが強くなる(固める)という効果があるのですが、黒47の石を攻めるのではなく、ここで形を決めれば白が勝ちやすいという深い読みに基づいた判断だったんだと思います。
僕にはとても打てませんね(笑。
ちなみに、AIで検討してみると、
A~Cなどが有力な候補のようです。
僕だったらAやBを打ってから、Dのボウシなどの進行を選びたいです。
Cは、生きている石から動いているような気もするので、この局面では、あまり良い手に感じませんね(笑。←その後のツケコシや打ち込みを狙いたいという意図はわかるのですが。。。
【実戦、白80手目まで】
実戦は、白66のツケから形が決まり、
黒79と動き出さないといけなくなったトコロで、
やや白が打ちやすくなっているのかなと感じる局面になりました。
この後も、白の死活が気になったりする局面はあったりしたのですが、しっかり生きを確保し、196手までで白中押し勝ち。
碁聖戦は、井山先生の3連勝で幕を閉じました。
あまりメディアで見かけないかったので、今回の碁聖戦は本当にあっという間だったなって印象で(僕が勉強不足で追えてなかっただけかもしれませんが…)、前回、本因坊戦を最終局まで争った一力先生を連勝で退けた形となりました。
井山先生は、先日の名人戦の挑戦者決定戦(プレーオフ)でも一力先生を下し、挑戦権を獲得したので、三大タイトルを失冠したと言っても、まだまだ確かな実力を示している形となっています。凄いですよね。
この凄さが、僕がnoteにこうやって書くだけじゃ、あまり伝わらないっていうモドカシサみたいなものはありますが、また機会があったら、タイトル戦の感想を書いてみたいと思います。
それから、ちょっとお知らせで、近々、もうちょっと詳細が決まったらお知らせしますが、今度、囲碁の公式(?)な記事を書く事になりました!
僕はライターとしてコツコツ幅広くいろんな仕事をしてきたワケですが(食文化~経済記事、果ては風水などまで)、その経験を大好きな囲碁の記事に活かす機会を頂けたので、めちゃくちゃ嬉しく思っています。
最初に載せたTwitterにも書きましたが、やっとコロナが落ち着いて、色々と前向きに動いてきたので、
今年はたくさん頑張ろうと思います!!
そんな気持ちを胸に、
ではでは、
以上、簡単ではありましたが、
第48期碁聖戦第3局の(あくまで個人的な)ちょっとした感想でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
また次回のnoteでお会いしましょう!!