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【けん玉師】伊東祐介さんのワークショップに参加した話

わが家にはけん玉が1本ある。

娘が小1の時「けん玉」をテーマとして、歴史の発表や「もしかめ」の曲に合わせて技を披露する発表会があったからだ。

ちょうど夏休みのイベントで「けん玉ワークショップ」があることを知り、お友だちと参加してみた。

講師は、けん玉歴38年の伊東祐介さん。国内外でけん玉のショーやワークショップを行うだけでなく、テレビや東京オリンピックの閉会式にも出演するなど、幅広く活動されている大ベテランけん玉師だ。

大皿や小皿に簡単に玉が吸い寄せられていく。歩きながらでも余裕のけん玉さばき。糸なしけん玉で、ジャグリングやアクロバティックな技を披露してくれる。けん玉が、まるでからだの一部のように見えた。

伊藤さんは7歳の頃からけん玉を始めたそう。

「もしかめ」の曲に合わせて大皿と小皿へ交互に玉をのせる技は、なんとご飯も食べず、7時間ぶっ通しで続けたことがあるそうだ。なにしろ38年も継続しているだけあって、けん玉の技には安定感がある。

糸なしけん玉の技のクライマックス。いよいよ、というタイミングで床に玉が落ちてしまった。コロコロ転がっていく玉を走って手に取り、伊藤さんはショーを続けた。

その後、マイクを取った伊藤さん。会場に来ている子どもたちと保護者に向かって、ご自身の経験や想いなどを伝えてくれた。

「僕は、7歳の時からけん玉を始めて、それからずっと、38年間けん玉を続けてきました。うまくできるようになりたい、難しい技もできるようになりたいから頑張ってきました。こうして休みの日にわざわざ講座に来てくれている子たちは、頑張る力があるはずです。」

「最後ね、技がうまくいかなくて、申し訳なかったです。このままにしておくのは不甲斐ないので、もう一度やり直させてください」

そして見事、一度も失敗することなく完璧な技を披露。

「完全に自己満ですが、できないことをあたり前にしないでほしい。できること、頑張ることを、あたり前にしてほしいなと思っています」

いいんです、自己満でも。

本来なら、失敗は許されないかもしれない。本番は一度きり、という状況もあるかもしれない。

伊藤さんが技をやり直すことで「あぁ、うまくいかなかったとしても、成功するまでやればいいんだ。やり直せるんだ。」と、なんだか勇気をもらえた。

ワークショップのためにステージに上がる娘たちは、真剣に伊藤さんの話を聞いて頑張っていた。

家の中では、しばらくけん玉の音が響いていた。お友だちのママからも「帰ってからずっとやってるよ」とメールが届いた。

伊藤さんの想いが伝わったかな。







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