ツケ二段
親の顔より見たであろう定石。基本図の通りに進行すれば互角であり定石外れも少ないがその後の変化は意外と複雑である
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基本形の解説
「白が隅に地を持った代わりに黒は大きな壁を手に入れた」というのがこの定石の大まかな解釈である。直感的には隅の一子の切り取りが気になるが図1のように二目にして捨てれば問題ない。配石によっては一目のまま捨てざるを得ないこともあるが基本的に捨てて良い。白もこの切り取りは目形が危なくなるかヨセの段階まで打ちたくない
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定石後の変化
序盤のうちに白(隅に地を持った方)からこの定石に手を入れることは少ない。理由は図2のようにとことん手抜けるからだ。三手も大場に先行されてしまっては人間感覚では相当打ちづらくなってしまう(右上隅の黒も完全に取れたわけではない)
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黒(壁の方)から手を入れるとしても二手かけねば白を圧迫できないのがこの定石の妙味である。図3のように完全に封鎖しても隅の一子を切り取ればいつでも白は生きられるのでさらに手抜かれる。従って黒は先に隅の一子からサガリを打ってから戦わねばならないが、当然隅のサガリなんか序盤に打ってはならないので黒もこのまま別の大場に行く方がよい
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どうしても黒が二手打って来るなら白はノビで充分である(図4) 。ここでノビずにハネて切らせて戦う展開を推奨するAIもあるが、非常に難解な局面になるのでおすすめできない
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定石外れについて
数も少ないので丸暗記で良い
図5のような切りは逆に断点を利用されて無理である
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図6の黒6から引かずに黒8と戦った場合は複雑な攻め合いとなるが、弱い黒を分断した形なので少し白優勢である(ここで解説するにはあまりに膨大な変化だったので後で新しく記事を出すかもしれない)
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図7のアテずに下がる手はハメ手として多用される。直感的に白7ではなくツギを選択すると黒は白7の位置に打ち、はっきり損をした形になる(評価値にして-5%)
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さらに、白9でコウを仕掛けるのは序中盤では明確に損である。図8のようにコウに勝っても利益は小さく負けた場合の損がかなり大きいので打ってはならない
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図9の変化は実戦でよく見られる。一見白の目が危険だが横の黒はまだハリボテなので充分やれる形である
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とはいえ黒14を12に近づければ図10のように挟まれて不利。次に黒20でどこに打ってもこの白を殺すことはできないのではっきり白の得である
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もう少し早く投稿するつもりでしたが予想外に編集に手間取りました。「これを載せてほしい」「ここがおかしいかもしれない」などの意見があればぜひ気軽にコメントしてください。恐らく正月少し過ぎたぐらいにケイマガカリ→受けの定石の記事を出します