幸福は、忘れた頃にやって来る。
ブータン王国によって広まった「国民総幸福量」という考え方。物質的な豊かさが、必ずしも幸福に結びつくとは限らない。国民の幸福が、経済成長より重視されるべきである。
実に素晴らしい考え方であり、そうあるべきだと私も思う。だが、いまの日本人にそんなことを言って、誰が耳を傾けるのか。物質で満たされたいま、心の充足に重点が置かれるようになってはいるが、ブータンのそれとは意味が違う。
現代人が求める心の充足にはお金が掛かり、経済成長がなければ、実現することはできない。“お金がなくても幸せ”とは、まったく次元の違うものである。物質もお金もあった上での幸福。経済成長の上で培われた日本人の幸福感を、いまさら変えることはできない。
だが、忘れてはならない。お金がなくても幸せを感じることはできる、ということを。身のまわりには、たくさんの幸せが気づかれることを待っている。
道端に小さな花が咲いていた。洗濯物を干していて、家族の大きな存在を感じた。食卓にはいつも笑いがある。
何をメルヘンチックなことを言っているのか、と思ったかもしれないが、そんな小さな幸せを感じることこそが、本当の幸福だということを知らなければならない。
海外に行くことや高級フレンチを食べることが幸せなのではない。自分がいま、生きていることが幸せなのだということに気づくべきだ。
上を見れば、キリがない。下を見ても、キリがない。自分の置かれた状況で、小さな幸せを見つけることはできる。
そういう意味では、「国民総幸福量」という考え方を日本でも浸透させるべきである。現実には無理かもしれないが、心の奥に持っていた方が、自分を幸せだと思えるはずだ。その大切さに気づいた時、本当の幸福を手に入れることができる。
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