中津村開拓日誌・第1号(1997年6月発行)
「中津村開拓日誌」は、家族や友人に送っていた、
“田舎暮らし通信”です。
田舎暮らしへのあこがれを実現するため、
和歌山県日高郡中津村へとやってきた。
木のおもちゃづくりで生計を立てながら、
のんびりと畑を耕し、散歩をしたり、釣りをしたり……
のハズだったが、現実はそんなに甘くない。
その日その日を生きている。
でも、得るものは大きく、やっぱり田舎で良かったと思えるのです。
そんな私たち一家の中津村での暮らしを
ちょっとご紹介したいと思います。
いきなりトピックス
私たち一家3人が、のそのそと散歩していた時のこと。
出ました、蛇です。
体長2mはありそうな灰色のあやつが道を横切り、
草むらへと入って行きました。
大阪の家にもいましたが、あんな大きなのは初めて。
ちょっとドキドキ。嫁はんは平気。
翔馬(当時3歳)は、何なのかわからなかったようで、平常心。
山の中に蛇がいるのは当然のことだ。
と自分に言い聞かせ、歩き出しました。
しばらくして、道端にいいものを見つけました。野いちごです。
黄色のもので、茎はトゲトゲ。
遥か遠い記憶で食べたことがあったのですが、
ちゃんとした名前はわかりません。
ほんのちょっと齧ると、
甘酸っぱさが舌の先だけに広がりました。
嫁はんも少し。翔馬にはあげませんでした。
毒だといけないので。
すねていました。
もう少し歩くと、道端に梅の木があり、実がなっていました。
かなり落ちていたので、誰も取らないようです。
欲しい!いま土地の持ち主を探しています。
ほんの20~30分の間に、都会にはない発見だらけです。
道の横に日高川が流れていて、
しばらく行くと少し流れの緩やかな川辺があるので、
翔馬を遊ばせました。
川遊びは初めてで、もうウハウハ喜ぶでよ
(わかる人は少ないでしょうが)。
ズボンもパンツもシャツもびしょびしょ。
着替えは持っていません。そのまま帰りました。
お昼のラーメンを食べに帰ろうと言うと、泣き出しました。
(うちは貧乏ですが、翔馬が好きだから、
ラーメンになっただけのことです。念のため。)
川遊びが気に入り、ずっといたいようです。
そんなことより昼めしです。私のお腹が優先します。
家でもまだぶちぶち言うので、ドライブすることに。
と言っても、村を一周するだけ。のんびりたらたら走ります。
またまた蛇です。う~む。
次は、小さな物体がチラッ。
なんと野うさぎの子供です。
逃げようとしません。弱っているのかなぁ。
嫁はんは、道の反対側の草むらに連れていってあげようか、
と言いましたが、私はやめときなと。
もしかしたら、いま道を渡って来たところかもしれないからです。
やっと渡ったのに、また戻されたら
「何するんじゃ、あん、てめぇ。」と言うかもしれません。
怒ったら怖いです。
弱っているならかわいそうですが、
人間が手を貸していいものかどうか。
自然を破壊して道路を作ったのは人間だから、
もう手を貸すしかないという考え方もありますが。
難しいところですが、そのまま立ち去りました。
嫁はんは気にしていましたが……。
帰りにコーラを買って飲みました。まだまだ都会人です。
たった1日の出来事ですが、都会の何年分もの発見をした感じです。
そうそう、太陽のまわりに虹のような奇麗な輪が出ていたのですが、
何と言う現象かどなたか知りませんか。
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