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【マーケ基礎】選べる品揃え。

お客さまが、“お買い物をする”という行為は、
複数の商品の中から、“選ぶ”ということと同じです。

どういうことかと言いますと、
モノを買う時というのは、
商品の品質と価格のバランスを考え、
自分の価値基準に合ったモノを、
たくさんの商品の中から選び出すということです。

ビジネス用のアタッシュケースが欲しいと思った時に、
お店に行き、商品があったとします。

“あった、これを買おう!”とはなりませんよね。

いろんなメーカー、大きさ、形など、使い勝手を考え、
あれこれと悩んだ末に買うはずです。

つまり、お買い物は、選ぶことから始まるのです。

“そんなの当り前だろ”と、言わないでください。
とても大切なことなのです。

食料品では、
いつも買う商品は決まっているように思えますが、
最初は選んだはずです。

新商品が出たから買ってみよう、と試してみて、
美味しかったので、
それ以来買い続けているだけのことです。

また新商品が出れば、変わるかもしれません。

ここで、
小さな個人商店のことを思い描いてみてください。

あなたが欲しいモノを見に行ったとします。

お目当てのモノはありましたが、どうも気に入らない。

もっと大きい方がいい、違う色がいい、
もっと安いものを、カタチが少し……と感じたとします。

それは、品揃えが悪いということです。

“選べない”のです。

選べなければ、
お客さまは買うことを「決定」できません。

また、選べないというのは、
お買い物の楽しさもないのです。

楽しくないところに、お客さまは行きません。

では、どうすれば良いのでしょう?

狭いお店で、豊富な品揃えをするのは、
なかなか難しいですよね。

仕入れの費用もかさみますし。

ムダな商品も出てくるかもしれません。

そこで、船井総研がコンサルティングで
実践している方法をご紹介します。

私も、この方法が効果的だと考えています。
すべてではありませんが。

まず、そのお店で一番売れている商品を探ります。

その商品に、もっと力を入れるのです。

売り場を1.2倍に、在庫を1.5倍にします。

さらに、その商品の品揃えを、
地域の競合と比べて勝るようにします。

そうすれば、
この商品が安定した利益を生み出してくれる、
というものです。

また、『2:8の法則』と言われるように、
全体の2割の商品が、売り上げの8割を稼ぎ、
残り8割の商品が、残り2割を稼ぎます。

すなわち、2割の商品にもっと力を注げば、
売り上げはもっと高くなるということです。

小さなお店ほど、この方法は有効です。

残り8割の商品をよく観察して、
死に筋を排除していくようにすれば、
さらにムダは省けます。

もうひとつ、“選べるお買い物”の話を。

『1:6:3』という比率をご存じでしょうか。

これは、消費者の心理から生まれた
マーケティング上のデータです。

うなぎなどを食べに行くと、
「松」「竹」「梅」とランクがありますよね。

うなぎの大きさだったり、
セットの違いだったりしますが、
この中からお客さまが選ぶ割合が、
『1:6:3』なのです。

多くのお客さまは、平均的な「竹」を選ぶのです。

一番高い「松」はお金がかかるし、
一番安い「梅」は見栄もあったりして、
選びにくいのです。

お金に余裕のあるお客さまは
「一番いいものを」と「松」を注文します。

「とにかく安いものでいい」と
「梅」を注文するお客さまも3割はいます。

ほとんどが“ほどほど”の「竹」を選びます。

“だったら、「竹」と「梅」だけでいいのでは?”
と考える方もいることでしょう。

これが、間違いなのです。

2種類からの選択になると、比率が大きく変動し、
安い「梅」ばかりになる可能性が高くなります。

一番高い「松」があるからこそ、
中間の「竹」がよく売れるのです。

このことをよく憶えておいてください。
これが、『品揃え』です。
『選ぶ楽しさ』なのです。

まとめると、
お店で一番売れている商品の売り場面積を広げ、
その品揃えを「松」「竹」「梅」にすることです。

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佐藤きよあき
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