地域の課題より集客が課題 【sport biz】
noteを開くと、マーケティング関連やライターといった同業の方々の記事がリコメンドされるが、最近それらと同等以上にプッシュされるのがサッカー関連、特に地元・水戸ホーリーホック(J2)ファン、サポーターの方々の書いた記事だ。
クラブのフロントスタッフがnoteを書き、それをTwitterにシェアする ー それがファンにも波及したのだろう。自分もnoteを書けば直接思いが伝わるだろうと。ホーリーホックはSNSを通したコミュニケーションが上手いと思う。だがそれも
コアなファン・サポーター界隈に留まっており、「外」への波及までには至っていない。
フロントスタッフは間違いなくスポーツクラブ運営のプロフェッショナルだ。しかしファンを大切にしているがゆえにか、その外側への訴求が弱い。いや手が回っていない、というのが実情だろう。
それは集客、つまりスタジアム観戦者動員数に現れる。12,000人収容のホームスタジアムは3,000人前後の動員で推移、時に2,000人を割り込むこともある。私は以前在籍した制作会社でホーリーホックを担当したこともあるが、その頃と比べても少ない(がむしゃらに動員を増やそうとしていた時期でもある)。当時とは異なる入場料や無料招待の絞り込み、あるいはコロナ禍という要素もあるが、それでも集客の鈍化は熱狂的ファンにしかリーチしていないことを如実に表している。「サッカー村の外」に手が回らないことを現状のファン・サポーター重視を理由にしてはならない。
もちろん集客が課題なのはホーリーホックばかりではない。かつてはオリジナル10としてJリーグを牽引した東京ヴェルディでさえ、ホーリーホックを迎えた試合での動員は3,000人に満たなかったほどだ。
スタジアム観戦者の動員は収益の確保(スポンサーの獲得と維持を含む)の柱であり、最優先で取り組まねばならないことなのは言うまでもない。そのためには、
クラブの、チームの、スポーツの価値を「ファン・サポーターの向こう側」に届くように
しなくてはならない。極論すれば、スタジアムに足を運んでもらうのにファンやサポーターになってもらわなくてもいいのだ。そのための手段を見つける、創るができるかどうかだ。
水戸ホーリーホックは、テレビ局のない茨城県で選択肢の限られる中、得意なSNSとの親和性の高い媒体を活用すること、そこでの「表現に対して計算をはたらかせること」に検討の余地がある。
Jリーグで言えば、J2以下のクラブは「地域の課題を解決する存在」であること、そうなることを大きく掲げるが、これがJ1クラブになるとさほど強調はしていない。トップカテゴリーに属することは、それだけで地域への貢献が大だからだ。下位カテゴリーのクラブは
地域の課題の解決よりも、自らの集客という課題の解決に全力で取り組んでもらいたい。
誤解してほしくないが、下位クラブは地域課題の解決をたいそうに掲げるな、ということではない。先述のとおりJ1クラブはことさら強調することなく当たり前のように地域に貢献している。ポリシーとして地域課題の解決を取り消してしまっては、上を目指すことをやめたと宣言するに等しいのだから。