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若者力大賞のお話

代表の菊永です。noteに書くのはしばらくぶり。今回は超うれしい報告を。

2月は、公益財団法人日本ユースリーダー協会様より「若者力大賞」という大変光栄な賞を頂き、3月にはアメリカのSXSWEDUでの世界初の異言語脱出ゲーム×ワークショップを行わせて頂いたりと嬉しいことが続いた。
どちらもがむしゃらに突き進んでいった先の、ハッピーハッピーな光景だった。

今日はその「若者力大賞」について書きたい。

過去には歌手のMISIAさんや野球選手の田中将大さんが受賞されるなど、錚々たる顔ぶれに並んで、異言語Lab.は今回初めて”団体としての受賞”とのことでまず驚いた。更には表彰式で審査委員長の方より「大賞の選考は毎年悩むが、今回は全会一致で決まった」との話をお伺いし、これまた驚く。
この若者力大賞で大きな自信に繋がり、また一歩頑張ろうという気持ちになった。今回、大変光栄な賞と機会を用意してくださった日本ユースリーダー協会の皆様に感謝したい。

表彰式で審査委員長の永野毅様より盾を頂きまして、大変緊張!
本当にありがたい。身に余るシーン。

異なる者同士が試行錯誤しながら伝え合うことの面白さを発信したいー
その為に異言語脱出ゲームを無我夢中に創り続けていた中で、沢山の仲間がコミットしてくれて、輪が広がった。
私自身は異言語脱出ゲームがシンプルにやりたくて、スタッフを集めていたのだが、ろう者・難聴者当事者が主体的に運営していったことは、結果的にその個人のエンパワーメントに繋がっていたこと、自分が自分のままで受け入れられているという心理的安全性の中で意見を出し合い、創りあえる環境であることが重要だったのだ、と後から気付く。

設立当初に理事の牧原依里が「異言語脱出ゲームは本気でやればやるほどいいコンテンツになる、これは社会に広がる」ということを話してくれた。
彼女自身が全身全霊をかけて設立後の最初のコンテンツの『5ミリの恋物語』を一緒に創ってくれたことが大きい。彼女が居なければ、異言語Lab.は『5ミリの恋物語』で終わっていたかもしれない。
『5ミリの恋物語』が結果的に、NHK様、吉本興業様、国立国語研究所様、国立民族学博物館様、札幌芸術の森様などと連鎖に連鎖を呼び、新しい繋がりが生まれていった。

2018年9月に初めて世の中に公開した異言語脱出ゲーム「5ミリの恋物語」。
司会が聴者とろう者の二人で、同時進行だった。
その裏にフィーダーの存在もいた。お互いにずれを調整しながらしっかり合わせてくれた。

異言語脱出ゲームやワークショップに参加したお客様が満足して帰っていくことに対し、また新しい依頼や大きな依頼が来ていることに対し、直接的に自分が関わったからこその結果がちゃんと目に見えて分かると実感したことが大きかったのだろう。
そして一人ひとりが今のままでは良くない、もっといいものを創ろうと頑張ってくれていた。

特にコロナ禍で対面のイベントが何もできなかった2年間、『リモートDEお化け退治大作戦』というオンラインコンテンツに昇華させ、対面で会うことなく、それぞれの自宅で何度も実験公演しながら完成させた。
それから『うしなわれたこころさがし』も視覚言語の島だったらどうなるか議論をしながら、沢山のスタッフに相談し、喧嘩しながら突き進んでいった。その場で聴者の力も借りて、ろう者・難聴者だからできる強みを、存分に発揮してきた。

7月100BANCHのナナナナ祭の一環で実施した「リモートDEお化け退治大作戦」。このために何度も手話を知らない聴者にお願いして参加していただき、実験公演を実施してブラッシュアップしていった。これが結果的にスタッフの結束をより高めることになった。
制作が非常に大変だった「うしなわれたこころさがし」。脚本、謎構成、デザイン、小道具制作、映像、演出、パフォーマンス、音響、司会進行等々、沢山の人達の力がぎゅっと詰まった作品。

この5年間で、次の夢を見つけて留学したり、資格を取って新しい道に進もうと決心したり、環境が変わってお休みしたスタッフもいる。ぽっかりと穴が開いたような寂しい気持ちがある。
それだけ幸運なことに素晴らしい若者たちに恵まれた。みんな、沢山のイベントや制作・表現に真摯に向き合い、確実に成長した。

5年間を経て、私が確信をもって言えるのは、誰もが力を十分に発揮できる可能性がある、ということだ。
最初から無理だと決めつけるのではなく、
「いいじゃない!やればいいじゃない。」と背中を押してあげられる人に。
失敗しても何度もチャレンジできる機会を。
様々な手段を駆使して、対等に向き合える手段を。

この3つの出会いを用意するだけで、人はどんどん成長する。
この思想を社会は持ち続けて欲しい。

あまり自己開示したくない性格なのだが、ついでに自分のことを。
私は調子がいい時はどんどん勢いで突き進む性分だが、何かにつまづくと、大きく悩み、引きこもり、落ち込みやすい。時には「私は無理だ、やっていけない」と弱音を吐くことも何度かあった。
そんなときに、精神的な支柱的存在のスタッフが、何度も対話をし、励ましてくれた。「あなたは何でも一人で抱え込む。相談しないのはズルい」と叱ってくれるし、「いや、菊永さんのことだからまた気持ちが変わるさ」とじっと温かく待ってくれる。
そして、新たなイベントや依頼が来る度に、都合のいいように解釈してしまうことで、その心の中の嵐はあっけなく過ぎ去っていく。
でも単純だからまた落ち込み、みんなに相談すると思う。そんな繰り返し。懲りずに付き合ってくれるスタッフのみんなに感謝したい。

異言語Lab.設立前の2015年から一緒に創ってくれたスタッフ。2015年の時はお客様だった学生のメンバーも今は立派なスタッフに。2018年からずっと創ってくれているスタッフ。不思議なご縁で一緒に頑張ってくれているスタッフ。沢山の人達のご縁に感謝。
みんな私に「おめでとう」と言ってくれるけど「いや、みんなの賞だよ。」と返す。

また今回の若者力大賞が”個人”ではなく、”団体”に対して頂ける賞だと伺った時に、これは多くのろう者・難聴者、関係者の皆様に向けた賞だと感じた。
これは沢山の先輩たちが様々な場所で道を切り拓いてくださったからこそいただいた賞である。この私の感謝の気持ちは、この映像にぎゅっと詰まっていて多分人生で一番の、魂のこもったスピーチなのでぜひ観て頂ければ。
あとスタッフの奥村泰人と那須映里のパフォーマンス「異言語謎~若者力大賞特別版~」も。手話が分からなくても手話の世界を楽しめる謎になっている。ぜひこちらも!

最後に宣伝を。
この5月27日28日に渋谷で公演予定の異言語脱出ゲーム「うしなわれたこころさがし」。
「究極の体験型」「心に残る旅だった」と大好評のコンテンツで、異言語Lab.らしさがぎゅっと詰まっている。静穏たる南の島には大きなエネルギーに満ちていて、「これぞ、若者力大賞だ!」と感じるだろう。
私はアラフォーになり、若くてエネルギーに満ちた皆がキラキラまぶしい…
ぜひ静穏たる南の島にお越しください。

多くの人達と一緒に「異を楽しむ世界を創る」べく、異言語Lab.は邁進してまいります。お陰様で今年度も無事に終われそうです。ありがとうございました。今後もお力添えと応援をよろしくお願いします。

授賞式の夜はみんなとお祝い!とても素晴らしくハッピーな夜。
メンバーとは、エンタメ・演劇の話で盛り上がったなぁ。

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