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【石神井川上流地下調節池】東京都が作成した図は、調節池整備後も事業効果がない!ということを示しています。この作図のミスをパネル使って質しました(9/26都議会本会議)。

令和6年第3回定例会にて一般質問しました。

3月の予算特別委員会で費用便益分析のミスを指摘してから、都は、B/Cを見直し。都は、7月23日に専門家委員会にかけなおした後、再度、国に申請。国交省が9月2日に採択しています。
しかし、7月23日の専門家委員会の都作成の資料には重大なミスがあります。都議会本会議一般質問でパネルを使って質疑しました。

質問してみての感想は、やはり暖簾に腕押しでした。都が作成した図に明らかなミスがあるのですから、都は見直すべきですが、「マニュアルに従って適切に算定」を壊れたラジオのように繰り返していました。都作成の図によると、都は調節池を整備した後、時間40ミリを超える雨で近隣の家に被害が生じる想定をしています。これは、時間65ミリの雨に対応するという事業目的とも矛盾します。これは現在、整備中の8つの調節池にも影響を与えるでしょう。
このままでは絶対にすまないので、都はいつか見直すことになると思いますが、早急に改めるべきです。多くの人に知ってもらえますように。

以下、転記します。

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武蔵野市で建設中の石神井川上流地下調節池についてです。

今年の夏の状況や能登半島での大きな被害を見ても、近年、日本各地で記録的な豪雨が発生しており、その意味で、都民の生命と財産を守るための氾濫、洪水対策は、「極めて重要」であり、「必要不可欠」です。

しかし、石神井川上流地下調節池の整備計画は、誤った根拠の上に氾濫防止効果の乏しい事業を行おうとしているのではないかとの懸念があり、その観点から質問します。

この事業は、私が3月14日に予算特別委員会で質疑を行った後、都が国土交通省に補助金申請しましたが、「費用便益分析に疑義がある」とのことで「保留」になりました。その後、都は事業費を増額させる方向で見直し、費用便益分析いわゆるB/Cを従前の1.31から、1.11へと大幅に低減させ修正案を作成し、7月23日の専門家委員会に諮り直して、再度、国へ提出し、9月2日に採択されたとのことです。

しかし、都が、委員会や国に補助金を「再」申請に提出した資料には、「重大な誤り」があると思います。

(資料を示します。)
これは都が7月の専門家委員会に諮るために作成した『石神井川上流地下調節池整備事業について~事業の投資効果~』と題する資料のうち、16ページの資料のうち、左の図を拡大したもので、B/Cにおける便益の算出方法を示しています。建設局HPに掲載されている資料です。

都作成の資料に私がA、B、Cとつけています。

これは都が7月23日の第18回河川整備計画策定専門家委員会に諮るために作成した『石神井川上流地下調節池整備事業について~事業の投資効果~』と題する資料のうち、16ページの資料のうち、左の図を拡大したもので、B/Cにおける便益の算出方法を示しています。建設局HPに掲載されている資料です。

都の説明によれば、この費用対効果は、河道は現状の時間40ミリの降雨量に対応したままという仮定で、計画事業、すなわち30万トンの貯水能力のある石神井川上流地下調節池のみの整備効果を示すものと理解していますが、まず、その前提でよいのか、伺います。

・本調節池の整備の有無による被害軽減効果を求め、費用便益比を算定

建設局答弁

図に、便宜的に、私がA、B、Cとつけました。
A点には、(0)=無害流量、超過確率は1/2とあります。これは、現況の河道でも、このレベル、つまり時間最大雨量40ミリであれば氾濫は発生しないことを示しています。
そして、そこから右の方のB点には、(1043.7)とあります。これは現状の河道で調節池の新規整備がない場合には時間40ミリを超えると被害が出始め、計画規模、すなわち時間65ミリの降雨の場合には1,043.7億円の被害が出るという意味です。
一方で、同じくC点に(616.5)とあります。これは、河道整備は時間40ミリ対応のままで、計画の上流地下調節池が全て整備された場合にも、時間65㎜の降雨があった場合には616.5億円の被害が出るという意味です。

そこで、この都が作成した図から疑問が生じます。
都が作成した図によると、上流地下調節池の超過確率と被害額の関係を表す示す青線では、「調節池整備後」とあるにもかかわらず、降雨量が時間40ミリを超えると、被害の規模は小さくなるとしても、直ぐに氾濫被害が出始めることを示しています。その理解で宜しいでしょうか、伺います。

河川整備計画策定専門家委員会において、調節池の整備の有無による被害額の差などから、年平均被害軽減期待額の計算の考え方を示したもの

建設局答弁

そうだとすれば、これは常識的にもありえないことです。少なくとも、上流地下調節池の整備後は、大雨時に地下に30万トン以上の水をためることができるのだから、その分、整備後は、降雨量が時間40ミリを超えても石神井川は氾濫せず、被害が生じないということでなければ、1310億円の税金を投じる意義がないからです。

加えて、国土交通省が補助金採択の適否を公平に判断するために定めた『治水経済調査マニュアル(案)』の59頁の解説に従えば、この図では、A点で赤線と青線が交わるため、「便益ゼロ」になってしまいます。

治水経済調査マニュアル(案)がなぜか、今日時点(9/28)で非公開になっています。

以上の通り、都の説明資料には重大な誤りがあると思いますが、都の見解を伺います。

調節池の整備の有無による被害軽減効果を求め便益を算定し、学識経験者の意見を聴取した上で国に申請を行い、補助事業として採択

建設局答弁

私は、都が専門家委員会や国に提出した事業の必要性を示す決めて基本的で重要な部分で、こんなでたらめな分析を行っている事業に、都民の財源、国の補助金が使われるのは認められないと思います。

ちなみに、ある専門家の試算によれば、この事業を整備した場合、河道整備を除いた時間55㎜の降雨量までは氾濫は起きない、というように修正した場合、上流地下調節池の効果は明示されるものの、そのBバイCは1.0を下回る、つまり、事業の投資効果は認められないとのことです。

これは、都は、激甚化、頻発化する豪雨に対応するため、効果のない石神井川上流地下調節池ではなく、もっと対策が必要なところに、事業や工事を優先すべきということを意味しています。

都は、こうした指摘を真摯に受け止め、当該事業の投資効果について再調査を行い、修正ないし補助金の辞退を国土交通省に申し出るべきではないですか、見解を伺います。

・費用便益比を算定し、学識経験者の意見を聴取した上で国に申請を行い、補助事業として採択
・費用便益比は適正に算定
・過去には浸水被害が発生しており、今後も気候変動による降雨量の増加が見込まれることから、石神井川上流地下調節池の整備を着実に推進

建設局答弁

知事、知事肝煎りの「TOKYO強靭化プロジェクト(昨年末に2兆円積み上げて総事業費17兆円)」のうち、その事業の一つのエビデンスに疑義があるという指摘です。この初歩的な間違いを含んだ都の資料を晒している状態は是正するべきと言う声があります。
知事はこれを正面から受け止めて、建設局に対して、費用便益分析の見直しを指示すべきと考えます。

私は、この数か月、地元の方々の熱心な取組に刺激を受け、石神井川はじめその他の調節池の問題に取り組んできました。
そこで強く感じたのが、河川管理者である都の、大型事業ありきの近視眼的な姿勢です。

災害防止のために河川整備は重要です。

しかし、その行政は、下水道に加える雨水管や近隣河川との連携、流域の滞水能力の向上、グリーンインフラなども組み合わせた、総合的な都市の雨水管理へと飛躍しなければなりません。

私がこの質問で取り上げた石神井川上流地下調節池の整備計画に顕在化した、「都の資料そのものが何の効果もない」と示す事業に、猛進する唯我独尊の体質を早急に改めて、総合的に水を管理する行政へと転換することが必要です。

このことを強くお願いして、私の質問を終わります。

以上

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