都が次々建設中の「調節池等」について費用便益分析の算出根拠資料を開示請求!新事実です。
現在、都内では10この調節池などが予定(うち8つ建設中)ですが、これらについて開示請求手続きをかけていたところ、ようやく5月14日に開示されましたので共有します。
(3月11日付で開示請求していたのに、2か月延長されて、5月14日開示となりました。東京都が国に補助採択のために申請した数点の書類を開示するのに、時間かかりすぎです。)
現在、都内では中小河川の整備【建設】として、10つの調節池等の整備が進んでいます。10つです!私たちの足元で次々とトンネルを掘る大工事が進められています。既に完成したものは30こほど(確認中)。
この10つの中から、国に対して補助採択のために費用便益分析を行ったものの算出根拠を開示するよう求めていました。
その結果、このうちの5つについて、B/Cを行っていたことが判明しました。
なお、それまで、都は、費用便益分析を行ったのは石神井川上流地下調節池と神田川しかないと答えていましたが、「調節池単独で行ったのは石神井川上流地下調節池だけ」との理屈で、「調節池『全体』が完成したときの費用便益分析を行ったのは5つあった」と言い始めました。つまり、単独は1つだが、全体だと5つとのことで、はっきり言って屁理屈です。結局、5つもあったことを今日に至るまで伏せていました。
開示決定されたのは以下の調節池です(開示決定通知書)。
下高井戸調節池
環状7号線地下広域調節池
城北中央公園調節池
境川金森調節池
谷沢川分水路
それぞれにリンクを添付しますので、内容をぜひご覧ください。
私が予算特別委員会で特に問題視した、B/CのうちB(便益)の2ケース(無害流量を除ければ実質1ケースしかやってない)については、境川金森調節池では4ケース(1.5、6.3、10,20)設定していました。その他は全て2ケースでした。
なぜ、境川金森調節池は4ケースなのかを問うと、以下の回答でした。
正直、他県が複数ケース(4ケース)でやっていることを東京都は認識していた、ということに驚きです。複数ケース設定すれば、被害試算が精度高く、丁寧に導き出せるので、より適切な数値に近づくことは論理的には自明のことですが、都はあえてやっていなかったということです。
ちなみに、東京都は、「神奈川方式」等と説明しましたが、神奈川方式は国交省治水経済調査マニュアルに沿った正しい方法であり、むしろ東京都のやり方が「東京方式」として独自説です。近隣県は複数ケースで設定しているのに、謙虚さゼロです。
東京都は今も「2ケースで十分」との立場なので、国交省治水経済調査マニュアルには非常に不満を持っているようです。
確かに、複数ケース行うことは、コンサルの作業量が増え、時間もかかります。東京都はこれを意図的か、コンサルが怠ることを許容してきました。実質1ケースの杜撰な方式で算出すると年平均被害軽減期待額が高くなるのですが、東京都はその数字を悪用していたと言っても過言ではありません。
今回、東京都の治水事業のB/Cが初めて明らかになりました。開示請求しなければ、都の独自説は埋もれたままでした。
その原因は、東京都が費用便益分析の算出根拠を非公表としている運用にあります。
私は、治水経済調査マニュアルp81に従って、「原則公表すべき」と求めていますが、都は3月14日の予算特別委員会でも「結果は公表している」と強弁しました。
しかし、費用便益分析について争われた、首都圏央道事業取消訴訟では、費用対効果に関する国の主張に対して、東京高裁は次のように判示しています。
まさに、費用便益分析を行った過程を知ることができなければ、その「1.31」という結果の正確性や妥当性を正しく判断することはできません。
今の、東京都の非公表のやり方は問題があります。こうした態度は隠蔽体質と指摘せざるをえません。
私が予算特別委員会で指摘しなければ、今頃、都は何事もなかったように、国から500億円を取得して、事業の実施に着手していたと考えると恐ろしいです(現在は、国により「保留」4/9読売新聞)。
東京都は限られた税金のうち巨額を投入する、本事業について、丁寧に説明すべきです。
この問題から、人口減少社会の中でのあるべき公共事業について、考える契機としなければならないと思います。
なお、石神井川上流地下調節池については、「・石神井川上流地下調節池についての「治水経済調査マニュアル」に基づいて費用便益分析した便益と費用の算出根拠。」「・上記に関する一切の資料」の開示請求をしていたところ、以下の4点のみの資料が開示されています。
つまり、都は費用便益分析にあたり、上記の資料しか検討していないということです。
あまりにも少なすぎるのではないでしょうか。
以上