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自転車ロードレース|寒い時期のトレーニングで気をつけるべきこと
この記事を書いているのは2023年の暮れでございます。
朝の外気温は氷点下。
まあ、それでも、あんな記事を書いちゃったもんだから練習はしないとな、という、いささか不純な動機でトレーニングにでる最近です。(ツラい)
寒かったり、痛かったり、こればっかりは仕方がないので耐えるしかありませんが、そんな中でも可能な限りトレーニングの効率化は図りたいところ。
ただ、寒い時期にはちょっとしたことでケガや病気になる可能性があるので、できるだけ不安要素は排除しておくことが大事です。(…と、ギックリ腰が再発し、風邪も引いてしまった自分は思うわけです)
この記事では、私が冬場のトレーニングで特に気をつけていること5つを紹介したいと思います。みなさん既に取り組んでいることも多いかもしれませんし、当たり前のことかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
1.しっかり食べる
1〜2時間の練習であれば食べないでトレーニングをすることもままあります。
特に早朝の激しい練習会に参加する時は、胃の中を空っぽの状態にしておかないと色々とこみあげてくるものがあるので。
ただ、冬場のトレーニングの場合は強度もそこまで上げられず、時間をかけて乗ることも増えてきます。(冬場に強度をあげて走っている方々も多分にいらっしゃるとは思いますが…)そんな時、練習前にしっかり食べていないと、当然ながら体は動いてはくれません。
暑い時期と比べて、ちょっとしたミスが命とりになってしまうのが冬場のトレーニング。うっかりハンガーノックになろうものなら、寒さで体力を根こそぎ持っていかれます。こうして消耗すると、免疫力が下がり体調を崩しやすくなります。
…とならないよう、走る分は事前にしっかり食べておくようにしています。もしくは、前日にしっかり食べておくこと。炭水化物をしっかり摂取し、筋肉内グリコーゲンを満タンにしておくことで練習の最後までしっかり踏むことができます。
さらにプラスして、万が一お腹が空いてもいいように、補給食も持って練習に出るようにしています。ただこれ、当たり前ですよねぇ?そう、当たり前のことなんですが、寒い時期にはウェアも手袋も厚手にならざるを得ません。乗りながら補給食を出して口に運ぶ、寒さで硬くなった表情筋で咀嚼する。これもまた結構大変な作業です。
だからこそ、乗っている時はできるだけライドに集中できるように、練習前にしっかり食べておくことをお勧めします。(夏には溶けて食べられないブラックサンダーを練習中に食べるのが至福のひとときです…)
2.しっかり着る
これもまた当たり前の話なんですが。結構これが難しいわけです。
夏場であれば、トップとボトムスのたったの2枚(場合によってはワンピース1枚)で済む話が、冬場にはインナー、ウィンドストッパーのロングタイツ、長袖のジャージ、ベストやウィンドブレイカー(レインジャケットを代用)、シューズカバーに手袋、首周りはネックウォーマーだったりバラクラバ(目出し帽)だったり。重いっつーの。
実際、重いんです。着ている分だけ風の抵抗は受けますし、真冬にスタイリッシュに着こなして乗れる人は本当に羨ましいです。
でも、しっかりきて防寒対策をしていないと、体が動かずせっかくのトレーニングも意味がありません。
冒頭で挙げたウェアやアクセサリーはみなさんご存知かもしれませんが、以外にも工夫できるところがあるので幾つか紹介します。
①シューズの中にホッカイロ
靴用のホッカイロ、またはミニサイズのホッカイロを足先の上(甲側)に貼ります。氷点下の中のトレーニングでも、2時間までのトレーニングであれば、ギリギリもちます。(それ以上は耐えてください)
ホッカイロを貼ってシューズを履けるのは、私のシューズ自体もともと少し緩めで、かつ丸8年も履き続けてクタクタになっているからなんです。ピッタリフィットのシューズでは難しいかもしれませんが、多少シューズ内の居心地を犠牲にできるなら、安価なのでお勧めです。
また、最近のシューズはアッパーにニットの素材を採用していることもあるので、シューズの上にホッカイロを、貼ってもいいと思います。
②シューズの上に厚手の靴下
どんなに防風性能や防寒性能が高いシューズカバーでも、1枚モノでは足先と外気温との距離が近くなってしまいます。
保温性能を左右する最大の要因は断熱構造があるかないかです。真空断熱構造の魔法瓶やタンブラー、ダウンジャケットなどと同じ理屈ですね。
で、どうするかですが、私はシューズの上から厚手の靴下を履いています。…からのシューズカバーです。
いらなくなった靴下にクリートの部分だけ穴を開けて履き、シューズとシューズカバーの間に空気の層、つまり断熱構造を作ってあげるわけです。
シューズカバーだけではどうにもならない寒さの時は、ぜひ試してみてください。
③パンツをはく
いきなり何を?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そう、下着のことです。
普段履く人からすれば、「履いてなかったの?」となりますし、普段から履いてない人にとっては、「えっ?履くの?」でしょう。
前提ですが、基本、自転車競技では下着は着用しません。(多分この認識であっているとは思うのですが)
レーサーパンツの中で蒸れたり、下着とレーサーパンツの間の微妙のズレなども気になります。
で、冬場も本格的になると、厚手のロングタイツを履くのですが、アソコが冷えるととんでもないです痛みに晒されるわけですよ。(女子のみなさん、ごめんなさい。読み飛ばして頂いて大丈夫です。)
そこで出番なのが下着のパンツ。なんでもいいと思います。私の場合は普段履いているボクサーパンツです。これ一枚あるだけで随分と違うもんなんです。守られているというか、優しく包まれているというか…。
ぜひお試しください。
3.着すぎない
さて、着ることばかりにフォーカスしがちですが、実は着すぎないことも大事です。その理由は、汗をかいたら冷えるから、です。
私の場合、どんなに寒くても、下は前述のパンツにロングタイツ(ウィンドストッパー)の2枚。上は、インナー、冬用の長袖ジャージにレインジャケットの3枚です。ネックウォーマーの代わりにバラクラバを着用し、鼻や口は塞ぎません。手袋、シューズカバー(2重)これで終わりです。
だいたい皆さんもそんなものですか?もっと着てますか?
これ以上着ると汗をかいて冷えてしまいますし、1枚減らすと体が冷えてしまう場合もあります。
基本的には自分の体との相談になりますし、練習の強度にも左右されますが、基本的には汗をかきすぎない程度に着る(着ない)ウェアの選択が大事です。
ただ迷ったら、1枚多く着ておくと良いと思います。ジッパーの開け閉めで調整できますし、脱いだものをポケットにしまうこともできるので。自分に合ったウェアの最適解を見つけましょう。
4.練習コースの選択 登りすぎない
夏場であれば、涼しいところを目指して山を登ったり、幾つもの峠を越えて…なんてこともできますが、冬のトレーニングで同じことをすると、下りの寒さで死んでしまいます。登れば登るほど待っているのは下りなので、冬場には上り過ぎないことが大事です。
時速60km/hオーバーの下りのスピードを考えると、体感温度はマイナス5℃以上。氷点下の中のトレーニングでは、体感温度はマイナス10℃になることも珍しくありません。
特に、ワインディングや急坂の場合は下りで脚を止めざるを得ないのでNG。長い間脚を止めてしまったり、軽いペダリングだけになると体の発熱が止まってしまうからです。
道幅広く、踏んでも安全な下りで10分以内であれば何とか持つかな、と言ったところでしょうか。「冷凍庫より寒くてもガシガシ走れますっ!」って方はどーぞどーぞ。でも、基本長い下りは冬場のトレーニングとしてはあまりお勧めできません。
冬場のトレーニングでは、コンスタントに強度を保てる、プラス、下りで踏んでも体が冷え切らない適度なアップダウンコースを選択すると良いかと思います。
5.トレーニング後のケア
まずは温めましょう。
夏場であれば、シャワーをさっと浴びてすぐに着替えて出勤なんてことができますが、冬場は体の深部体温をできるだけあげるようにしています。トレーニング後には特に。
トレーニングを終えて手足の感覚が戻ってきたら、ゆっくりお風呂に浸かります。ついでにストレッチもしたり。可能であればお湯の温度を上げてしっかり汗をかくようにします。
お風呂から上がって汗がひいたら、食事をとって寝ます。(ここまでゆっくりできるのは休日の日くらいなもんですが)
体をしっかり温め、ゆっくり休む。スポーツ選手の基本だと思いますが、家族がいて家事に育児に追われているとなかなか徹底するのが難しいです。
でも、ここを基準にして、できる限り理想のルーティンに近づくよううまく時間を、調整したりすることも大事なことだと思います。
冬場のトレーニングは、悪いことばかりじゃない
これは別に寒い中のトレーニングに限った話ではないのですが、過酷を極める自転車ロードレースという「非日常」において、日々のトレーニングにおいても非日常を感じる場面は数多くあります。家にいて、学校や職場との往復だけでは経験することのできない非日常です。
手足の感覚がなくなるほど寒い中でのトレーニング、ボトルの水や、汗までもが凍ってしまうような、そんな環境のなかで、吐くほどに、血の味がするほどに自分を追い込むという「非日常」
帰ってきて雨風のあたらない家があること、温まるストーブがあること、お風呂に入れること、食事ができて寝ることができる布団があること。衣食住の全てが、非日常との対比の中でくっきりと浮かび上がってくるのです。
地球の反対側では、生活すらままならない人々の暮らしがある一方で、先進国日本で生まれ育ったことはただただラッキーでしかないということを、身をもって感じることができるのです。
当たり前が当たり前でないんだと、日々忘れないために走るわけではないですが、それでも、日々厳しい環境の中に身を置くことで得られる思考と感覚は常に研ぎ澄まされていくと感じています。
そんな、「日常」を意識させられる「非日常」を作り出す冬場トレーニングは、自分自身を鍛えためには絶好の機会だと思います。