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自律分散型経済がもたらす「全世界の宗教のルツボ化」

皆様、いかがお過ごしでしょうか。イガなおです。

先日、映画スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームを見てきました。

何から何まで本当に最高でして、昔からのスパイダーファンにとって嬉しい演出もあったりして、上映中に叫びだしそうになったのをどうにか抑えた僕を褒めてください(知らんがな)。
何度ガッツポーズしたことか(知らんがな)。

やっぱりエンタメってこうだよなーと、改めて、背筋が伸びる思いでした。

本日は、「自律分散型経済がもたらす宗教のるつぼ化」という話を書きます。

DAO(自律分散型組織)から着想した、これからの時代のお金についての考察です。
どうぞお付き合いください。

テクノロジーの発達により、個人が属する経済圏が増加する


ネット化、IT化、スマホの発達により、お金(価値)はデータとして扱えるようになったため、 「個人単位」で「迅速」かつ「場所の制約を受けずに」価値を移動させることが出来るようになった。

ネットバンク、ネット証券がそうだ。ここでは国間の法定通貨の変換も即座に行える。

これに加え、2008年にサトシ・ナカモトによって発明されたブロックチェーン技術によって、今まで国が行っていた「通貨の価値の保証」を、比較的容易に、誰でも行えるようになった。

ビットコインに代表される仮想通貨がこれにあたる。これは、国の代わりに、世界各地に存在するコンピュータがデータの不正改ざんがないかを監視をすることで通貨の価値を保証している。


上記をまとめると、「ネット」、「スマホ」、「ブロックチェーン」により、国を超えて、(法定通貨を含む)様々な経済圏が共存する社会に突入しようとしていると言える。


では、関わる経済圏が増えるとどのようなことが起きるのだろうか。

僕は、世界全体で宗教のるつぼ化が起きると予想している。

なぜなら、経済は本来、その参加者の価値観と強く紐付くものだと考えているからだ。

経済の設計とは、価値観の設計に他ならない


なにか価値のあるものがあったときに、それを「所有」したいと思うか、「共有」したいと思うかの価値観の違いは、そのまま経済の仕組みに適用されることになる。


例えば、現在既にドイツにキームガウアーという地域通貨がある。キームガウアーは、その特性から別名「腐るお金」とも呼ばれている
ユーロと交換できる通貨で、3ヶ月ごとに紙幣価値の2%が失われる設計となっている。新品時の価値に戻すためにはスタンプを購入して(発効日の記載された)紙幣に貼る必要がある。

ドイツの地域通貨「キームガウアー」 wikipemedia commonsより



時間経過と共に価値が目減りする通貨を設計することで、消費行動を促し、地域経済を活性化させるという試みで、キームガウアーによる年間売上高は約10億円にも登り、「腐る」通貨設計の成功事例として挙げられる。

言い換えると、
キームガウアーは、自分のもっている「価値」を経済圏と共有することで、経済圏を活性化させ、回り回ってその恩恵を自分も受けられるという、「共有」に価値基準の比重をおいた思想をもっていると言える。


一方、現在主流となっている法定通貨は価値の変動が少ないため、価値を所有し続けることができる。このタイプの経済は「腐る通貨」に比べて景気は良くなりにくい短所があるが、個人単位で将来に備えて価値を貯蓄することができる。

つまり、下記のように要約することができる。

 ・腐る通貨 → 人生のリスクを経済圏全体で共有する
 ・現在の法定通貨 → 人生のリスクを個人で管理する


ここまでくると、どちらが良い悪いという話はなく、「好きな価値観(宗教)を選ぶ」という世界になると思える。 

全世界で宗教のるつぼ化が生じる未来


上述は「腐る」という時間変化に着目した通貨設計だったが、そのほかにも「スキル」、「経歴」、「人脈」など、様々な価値基準に基づく経済圏が形成されることが予想される。

重要なのは、
これが近代以前のアナログの世界であれば、通貨や取引所などの物質的制約を受けるため、ある程度は経済圏の集約が起きるもの(現在の「国」という概念のように)だが、現在はデジタル世界が存在するため、個人単位で誰でもどこからでもその経済圏に参加することが出来るだ。

すなわち、それが同じ国、同じ家族であったとしても、今あなたの隣に座っている人が、あなたとは全く異なる価値基準、経済圏で生きる世界が到来し得るということである。

今のアメリカの「人種のるつぼ」的コミュニティ形態のように、まさに全世界で「宗教のるつぼ」化が生じる可能性がある。



こうなったとき、僕らは隣人と今までと同じように接することが出来るだろうか。
支持する政党と隠すのと同じように、使っている仮想通貨を隠す、という慣習も生まれるのかもしれない。

多様性の流れも経済・宗教にまで進展してきている現代においては、「自己愛」や「他者受容」といった、人間のもつ普遍的な課題が浮き彫りとなってくるだろう。

だからこそ、今、哲学や宗教、歴史や文化といった人文学についての知見が深く求められていると、僕は感じている。

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