イガラシ/五十嵐文章

文筆家です。空想とバンドマンが好き。 架空の音楽レーベル「偏光レコード」→https://note.com/henkorecors888 感想文いろいろ&企画記事カルチャーブログ「偏好文庫」→https://henko-bunko.hatenablog.com/ 性自認はFtX。

イガラシ/五十嵐文章

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マガジン

  • 完全趣味的音楽レビュー

    レビューと言う程でもない感想文乱れ打ち

  • 極楽浄土は何処にある

    決してふつうにはなれない性自認やフェティシズム、執着、書く事などについて終わりなく考え続ける煩悩まみれ私小説的七割ぐらいはフィクションエッセイ

  • ロックバンド偏愛記録ー下北沢から涅槃は遠い

    邦楽ロック、そして表現形態と言う枠を超えたひとつの“現象”である「バンド」を普及していく事を目的としてロックバンド(ないしミュージシャン)への偏愛を語るちょっとやばみなエッセイ連載

  • 2020年無観客・配信ライブ感想まとめ

  • もしもあのひとがあのバンドのライブレポートを書いたら

    文体模写れんしゅうちょう

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エッセイ本(※自主制作)が出るよ!&KEYTALKの二度目の武道館公演に行ってきました

お久しぶりです、イガラシです。今回はご報告も兼ねて。 5月28日開催のオンライン同人誌即売会『Booknook』にてエッセイ本を頒布させて頂くことになりました! https://twitter.com/igaigausagi/status/1653712942217707520?t=z2gLUQsIWzxT5rzRPVOVDg&s=19 オンラインなのでどこからでも参加可能です。人生初の同人誌即売会!noteではエッセイや音楽レビューなんかを公開することが多いのでエッセ

    • #今年のベスト音楽 を選ぶのをやめた

      毎年なんとなく選んでTwitterやブログなんかで発表している“今年のベスト楽曲/アルバム”を選ぶのをやめた。元々選んでいない年もあったり、良作揃いで決めあぐねているうちに年を跨いでしまったりすることも少なくなかったけれど、2022年分から本格的にやめた。自分も曲がりなりにも音楽ライターとしての活動を執筆業の主としているわけだし、本当はなにかしらのアクションをすべきなのだろうけれど、これからは年末や年始だからといって、特別に自分が聴いてきた(観てきた)作品などを選別するような

      • “Dannie May”という“人物”と、その“人生”を想うーEP『五行』、恵比寿リキッドワンマンを経て

        ■「何物でもない何か」 一番最初に読んだインタビューで、バンド名の由来を聞かれたリーダーが答えたのはこんな言葉。言いたいことはわかるけれどその不思議な由来に、「なんやねん???」と思ったのはまだ記憶に新しい。僕がDannie Mayを知ったのは2年前の2020年、流行り病がこんなにも長い間僕たちの生活に影を落とすだなんて思ってもいなかったし、初めて拝見したライブ終わりに挨拶させてもらった3人はマスクをつけていなかった(勿論僕も)。 ギターボーカルでメインコンポーザーのマサ

        • 「音楽は世界を救う」のかーMrs. GREEN APPLEと令和4年

          ■ヒットチャートを賑わせる恋や愛の傍らで 今日もヒットチャートはたくさんの恋や愛で溢れている。 アイドルの歌う明るくて甘酸っぱいラブソングに留まらず、若者の間で売れっ子のミュージシャンがヒットを飛ばす曲も大体がラブソングだ。カップルの素朴でささやかな幸せを歌った流行りの恋愛ソングもそうだし、身を切るような切ない失恋の歌もそう。いつの時代も、演歌や歌謡曲の時代だって、無数の恋人たちの日々をいろいろなラブソングがBGMとなり彩ってきた。 ヒネクレ者で巷を色めかせる恋愛にはあまり

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          推しバンドが2年ぶりに活動再開した話ーー宝石箱を再び開けて

          大好きだったバンドが活動を再開した。彼等が活動を休止したのは、今から2年近く前だったろうか。 僕が彼等の存在を知った時、彼等はとても若かった。僕も今よりずっと子供だったわけだが、彼等は更に若く、楽曲の作詞作曲のすべてを担っているボーカルの彼は高校生だった。信じられない程に成熟した言語センスと歌声、それに相反するような瑞々しい感性、若手バンドらしい粗削りな演奏にそれを“美徳”と感じさせられるだけの真摯さで年々進化していくテクニック。ヒット曲が出たことで「若き天才」「10代に大

          推しバンドが2年ぶりに活動再開した話ーー宝石箱を再び開けて

          推しのライブで機材トラブルに遭遇したオタクの長話

          や、だからさ、あんたの恋人が「もっと女の子っぽい可愛い格好したら?」とか言ってくんのもそのせいなんだよな。オンナは可愛く化粧してピンク着て三歩下がってオトコの後ろ歩いて、オトコはオトコでそんなオンナをイイ感じにリードせにゃならんっていう思い込みなのよ、思い込み。 ちょっとおれも喋っていい? そもそも“多様性”とか言われる前からおれは“当たり前”だとか、“思い込み”だとか、“固定概念”だとかまーそういうもんがさ、酢豚のパイナップルより嫌いだったんだよね。オトコはオトコらしく、

          推しのライブで機材トラブルに遭遇したオタクの長話

          僕達はもっと祝われたっていいーー祝祭の選択肢について

          ライブに行く時の服装は正装だと思っている。その日観に行くミュージシャンの作風や雰囲気、テーマになっている音源のイメージに合わせて選ぶので、何週間も前から考えて決めることも少なくない。 ゴリゴリのロックバンドをライブハウスで観るならツアーTシャツにラババンは基本のキ。流石にもういい歳なのでカラフルなディッキーズの短パンを穿く勇気はないが、ジーパンにドクターマーチンを合わせて、フェイクレザーのチョーカーを首に巻く。シューゲイザーやポストロックのバンドをホールで観る時には立ち襟の

          僕達はもっと祝われたっていいーー祝祭の選択肢について

          【11/28】いつか生まれ出づる魂に寄せてーーDannie May、渋谷WWW初ワンマンを観た

          新しい事を始める瞬間、人間は誰もが迷い、恐れる。“ファーストペンギン”という言葉もあるぐらいで、初めの一歩を踏み出す事は誰からも讃えられて然るべきだし、それだけ怖い事でもあるのだ。 新しい事を始める瞬間の人間は震えている。それには、武者震いだなんて勇ましい呼び名がつけられているが、気分としてはどちらかというと、生まれたての赤ん坊の心許なさに近い。母親が苦しみながら赤ん坊を産み落とすとき、赤ん坊もまた泣き叫ぶわけだが、もしかしたら生まれるときの怖さと産み落とすときの痛みは同等

          【11/28】いつか生まれ出づる魂に寄せてーーDannie May、渋谷WWW初ワンマンを観た

          【11/9】ライク・ア・レター・イン・ア・ボトルーーKEYTALK、2年ぶりの全国ツアー千秋楽を観た

          KEYTALKがアルバムを出さなかった。しかも、2年も。 2年程度なら、それ程珍しい事でもないと思われるかもしれない。もう5年も10年もアルバムを出していない、HUNTER×HUNTERみたいなバンドだって少なくないなか、何を贅沢を言っているのだろうとは我ながら思う。 先日、11月9日に行われたKEYTALKの約2年ぶりのツアー千秋楽に赴くにおいて、音源を改めて聴き直しているとき、ふと、彼等が“2年もアルバムを出していなかった”という事実に気づき、やや戦慄した。彼等に限って

          【11/9】ライク・ア・レター・イン・ア・ボトルーーKEYTALK、2年ぶりの全国ツアー千秋楽を観た

          魅せてくれ、モノホンの“レトロスペクティブ”ーディストピア東京、真夏の下北沢でビレッジマンズストアとベッド・インを観る

          ■古風なものが割と好き8月の終わり、秋の気配を感じてもおかしくないはずのその夜はまだまだ蒸し暑くて、Tシャツを容赦なく背中に貼り付かせる汗はもう何度も空調で乾いてはまた流れを繰り返していた。 どんなに換気に気を遣っても、ほかの観客との間に今までの3倍ぐらいディスタンスが設けられていても、地下のライブハウスはいつだって蒸した。手強い盟友であるマドンナ達との闘いを半ば程終えた、真っ赤なスーツが日本一似合うそのひとは、最早愛おしさすら感じるそのじっとりとした空気に向かって、少し俯き

          魅せてくれ、モノホンの“レトロスペクティブ”ーディストピア東京、真夏の下北沢でビレッジマンズストアとベッド・インを観る

          別にライブじゃなくてもいいーー真夏に観た小林私と“ミュージシャンの応援のしかた”について

          ■ライブに行く理由を考えなければいけない今程ライブに行く明確な理由を考えなければいけない時代は後にも先にもない気がする。 「推しを生で見てみたい」「生の歌声やバンドサウンドを体感してみたい!」「ライブハウスが好き」……そもそもライブなんて、そんな感じの簡単な理由で気軽に足を運んでも構わない場のはずだった。でも、正直今はそう気軽には行けない、色々な事情を抱えているひとがきっと増えてしまったんじゃないかと思う。 最近やっと緊急事態宣言が解除された。最早日常の一部のようになってし

          別にライブじゃなくてもいいーー真夏に観た小林私と“ミュージシャンの応援のしかた”について

          【7/25】かがやけみらい――Dannie May自主企画『Welcone Home!』ゲスト小林私、感想【@渋谷O-nest】

          インディーズミュージシャンを応援していると、必ずと言っていい程ファンの多くが「売れてほしい、でも売れてほしくない」というような葛藤に駆られている場面に遭遇する。いわゆる「安易な売れ線になってほしくない、でも彼等の音楽は広く認められてほしい」というような批評的な目線もあるかと思うし、「まだ知られてほしくない(=遠い存在になってほしくない)、でも彼等の生活は保障されてほしい」というようなある種何様感ある(でも気持ちはわかる)身勝手なファン心理もあるかと思う。オタクやってる限り逃れ

          【7/25】かがやけみらい――Dannie May自主企画『Welcone Home!』ゲスト小林私、感想【@渋谷O-nest】

          【5/13】たとえ何処にも行けなくても――TempalayのZepp Hanedaワンマンライブに連れて行ってもらったら凄まじかった話

          霧雨に靄った何もない道を友人と連れ立って歩いていくと、巨大な鉄の塊のような建物が靄の向こうに見えてくる。人影が見えなさ過ぎて怖い程だった視界の端に、人間の気配をうっすらと感じるようになった。小さなエレベータに乗り込んで上へ。煩わしい傘は早々に閉じ、吸い込まれるようにして喧騒の中に身を投じた。 アニメショップらしき店にカフェなど、きっと普段はお客で賑わい、人気が絶えないのであろう店々が軒を連ねる空港の施設は、緊急事態宣言の影響か全ての店が休業していた。照明を落とし、薄暗く黙り

          【5/13】たとえ何処にも行けなくても――TempalayのZepp Hanedaワンマンライブに連れて行ってもらったら凄まじかった話

          【4/18】ディストピアの灯台守――ビレッジマンズストア、下北沢シャングリラ凱旋

          ビレッジマンズストアが東京にやってくる。今年4月、その事実が一体どれ程のひとにとって希望の狼煙のように見えたことだろう。 長く暗い産道のような階段を上った先に出たフロアの壁は、月並みな言い方かもしれないが、まるで彼等を待ち構えていたかのように真っ赤なペンキで彩られていた。 16時30分、開場。筆者はこの日、同じく彼等との邂逅を待ち焦がれていた友人と共に下北沢シャングリラへ赴いた。地下へと続くライブハウスの入口に集まっていた観客達が少しずつエレベータへ吸い込まれていく。 4月

          【4/18】ディストピアの灯台守――ビレッジマンズストア、下北沢シャングリラ凱旋

          昼と夜と黄昏と椿屋四重奏~ #中田裕二誕生祭2021(大遅刻)

          ■attentionこの文章は、中学生の頃に椿屋四重奏に出会って以来中田裕二に焦がれ続けているアラサーのオタクが書いた妄文である事を最後まで忘れずに読んで頂きたい。自分としても主語は極力小さく書いているつもりではあるが、些か長い文章なため出過ぎた言い回しを使ってしまっている箇所がある可能性も充分に考えられる。読み手に要望を書き記しておくだなんて予防線を引いておくようで情けないけれど。 それと、この文章の中で触れている当時のJPOPへの印象などはあくまでどこまでも当時自尊心の塊

          昼と夜と黄昏と椿屋四重奏~ #中田裕二誕生祭2021(大遅刻)

          【3/18】Dannie May初自主企画『Welcone Home!』感想――この光さえ見えていればどこに行ったって帰れると思った【@渋谷o-nest】

          「ライブハウスでしか呼吸が出来ない、ここが俺のホーム」なんて言う人種のひと達からしてみたら甘ちゃんなのかもしれないが、筆者にとっては何処までも、ライブハウスは非日常だ。非日常だからこそ、時々、定期的に帰りたい場所でもある。 この日筆者が約1年ぶりに帰ったのは初めて行ったライブハウスで、1年前では考えられない程の大観衆を前に威風堂々振る舞う3人の前だった。 螺旋の外階段をおっかなびっくり降りた場所にあるフロアには、既に前列2列を埋めつくした観客。シモテの2列目に陣取った筆者

          【3/18】Dannie May初自主企画『Welcone Home!』感想――この光さえ見えていればどこに行ったって帰れると思った【@渋谷o-nest】