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『学習指導要領の未来(第1章)』学校教育はどのように変化していくのか? vol.314

時代の変化とともに大きく動いてきた学習指導要領。

本年度からは近年の指導要領の改訂の最後になっていた、高等学校が新学習指導要領でスタートします。

しかし、各学校においてはまだその準備はできておらず、手探りでの試行というところが多いのではないでしょうか?

本書ではそういった学校の状況と、そこに至ってしまった時代の経緯、そしてこれからの教育のあるべき姿を論じています。

内容自体はそこまで多いものでもないのですが、私の想いなども含めてまとめていきたいと思ったので、章節ごとに書いていきます。

ICTありきの指導要領

少しずつ学校現場でのICT環境の普及は進んできましたが、コロナ禍による助成金などにより、それは一気に加速しました。

今の時代、ほとんどの学校が一人一台のデバイスを整備しており、ICTと学校は切っても切れない関係になりました。

幸か不幸か、かねてより構想されていたSociety5.0の想像の先をいく学校となってしまったのです。

当然、現場ではさまざまな声が挙がります。

その急速な変化に対応できない教員は、必死にその波を打ち消そうと旧態依然の慣行に囚われ、セキュリティという抽象的な壁を建設して、その波を打ち消そうとします。

しかし、それ以上にICTによる恩恵は広く、深く広がりました。

これらの導入により、以前までできていなかった授業ができるようになり、相当な時間削減にもつながり、これまで以上に発展的な、そして高度な学びの場を追求できるようになったのです。

これは、学校のみならず社会の、世界の変化と言っても過言ではありません。

これほど大きな変化を、学校教育に反映しない方が甚だおかしく思います。

つまり、次期学習指導要領改訂は必ずこのICTの活用を大前提とした変革が行われるはずなのです。

探究的で協働的で包括的で生活に寄り添う学び

いわゆる学校現場で求められるであろう学びの言葉を列挙してみましたが、おそらくこれ以上にまだまだ考えられます。

これらを総合的知見から具体的にしたのが、「主体的・対話的で深い学び」であったり、「生きる力」、「21世紀型能力」なのです。

教育現場の人であれば、最近よく耳にする言葉かと思いますが、これらの教育的背景は実は既に戦後の教育体制から考えられていたのです。

その指導要領の変遷については第2章に書かれていますので、ここでは深く触れませんが実に驚きです。

それが明治維新以来の今回の学習指導要領の大きな改定によって、如実に顕在化されただけの話なのです。

当然といえば当然の話です。

何のために学ぶのかと問われた時に、それは暗記のためでも、大学入試のため(現在はこの入試形態が変化しないことが、新学習指導要領の浸透の足踏みになっている)でもありません。

それこそ、生きるため、生活のため、人生をよりよく豊かにするためなのです。

これまでの学習方式は無駄だったのか?

そんなことは全くもってありません。

既存の学習方法より、効率化したと言ってもこれまでの学習方式が無駄だったと論ずる教育研究者は見たことがありません。

それよりも、この学んできた知識の体系化は財産であり、文化であり、国宝であるという者の方が多いのです。

注目したいポイントはその知識の活用法が変化しただけです。

これまで体系化された学びをただひたすらに頭に叩き込むのをやめようと言っているのです。

それは、PCさえあれば何とでもなります。

大事なのは知識の覚え方ではなく、知識の使い方です。

例えば、「水は100度で蒸発する」という知識を覚えていたとしましょう。

覚えているだけでは何にも活用できませんが、この知識を使えば海水から水と塩を抽出することもできます。

つまりは、知識の質を変え、それを個性化していくそのプロセスに価値を見出す方向へ教育は動いているのです。

これが探究であり、未来社会を創造していく力に変わるのです。

学習指導要領なんてクソ食らえという教員や、そもそも改訂しているにも関わらず目さえもくれない教員もいます。

人類の継承という名の叡智が詰まったこの学習指導要領、今一度吟味してもよろしいのではないでしょうか?


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