ファシリテーションの目的とは?
近年、セミナーや講演会、対話の場などでよく耳にすることが増えたファシリテーションという単語。
今日は時代の潮流を考えながら、『ファシリテーションとは何か』、そして『ファシリテーションをする目的』を考えていきましょう。
ファシリテーションとは?
会議や話し合いの場を円滑に進める司会者のようなイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか?
会社の就活時の集団面接などを考えると、ファシリはなるべくしたくないものというマイナスのイメージがあります。
だからこそいま、ファシリテーション能力は、誰もが羨み、欲しがるスキルの一つになっています。ファシリテーションができれば、重宝される、仕事になるからです。
しかし、ファシリテーション能力向上を謳うセミナーや講演会こそあるものの、表面的な技術指導をするものが多く、なぜ、ファシリテーションをするのかというところを掘り下げるような本質的なセミナーは本当にごく限られたものになっています。
では、ファシリテーターとはいったい何でしょうか?
それは、場の雰囲気を作っていく演出家でもあり、対話の内容を深くも軽くもできる脚本家でもあり、人同士の繋がりをつくる構成作家でもあります。
もっと簡単にまとめると、ファシリテーターとは究極のお節介なのです。
ファシリの能力を活かして、周りにアピールしようとか、周囲をコントロールしようとか、いい情報を引き抜こうとか、そんなもの一切捨て、ただその場を盛り上げる。盛り上げると言っても、ただテンションが上がるだけでなく、深いところでつながりを感じられるような、そのような場を作り上げていくことがファシリテートです。
その場にあるもので、創出、創発を起こしていく。これこそがファシリテーターの本来のあるべき姿です。
ファシリテーションの目的
場を作り出すことだけが目的ではありません。
ファシリテーションの目的は、アウフヘーベンを起こすことです。
例えば、花の美しさを例えにアウフヘーベンについて考えてみましょう。
A「花は散り際の儚さが美しい」
B「花は満開に咲くその容姿こそが美しい」
という2つの意見があった時、Aが正しい、Bが正しいと偏った答えを出すのではなく、対立論である2つの散り際の儚さも知り、満開の美しさも知ることで、
A'「満開に咲いた美しい花でも、崩れていってしまう儚さはやはり美しい」
B’「散ると分かっていながらも、今を生き、最大限に花を咲かせる満開の姿は美しい」
C「花が咲き、散っていく。そうしてまた新しく花が咲く輪廻が見えるからこそ美しい」
というような、A’,B’のような高次な考えが生まれることもあれば、Cのように新たな知見が生まれることもあります。
これがアウフヘーベンです。
ファシリテーションの目的とはまさに、このようなアウフヘーベンを起こしていくことにあります。
なぜ、ファシリテーションが必要なのか?
これまでは、司会進行がいて流れに従って進めば、何も問題がなく会議や対話も終了していました。
それは、多くの場合ゴールや目標が明確になっており、そこに向かうまでの道筋をはっきりと見えていたからです。
しかし、今の時代はどうでしょうか?
十数年前の人たちに現代の生活が予想できたでしょうか?
あまりにも時代の変化も流れも早く、ほとんどのものに明確な正解がありません。
その最たる例は、メディアです。
これまでは、新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディア優位で、情報を1本化されていました。そのため、これらに流れてくる情報を信じていれば、共通認識ができるため、正しいと思い込めていたのです。
しかし今は、ネットニュース、TwitterやInstagramなどのSNS、インターネットにより、欲しい情報を欲しいだけ手に入れることができるようになっているのです。
つまり、自分の興味や関心ごとを調べた、各分野のあらゆる専門家が世の中にたくさんいることになっているのです。
さて、そんな時代に全員いっせいのせで、全員が同じことを話すことに意味はあるのでしょうか?
これまで全員平均的知識で平均的な対話しかできていなかった場が、専門家がたくさんいるからこそ、より高次な場へとなっていく可能性を秘めているのです。
しかし、それぞれが好きな話を好き勝手にしていては、共通話題がない限り、話す人以外門外漢となってしまいます。
だからこそ、ファシリテーションが必要なのです。
お互いの専門性に共通項を見出し、そこを抽出し広げていく。
この力は、そんじょそこらのセミナーを一回受けたりしたぐらいでは到底身につきません。
ファシリテーションをする理由
ファシリテーションに必要なのは、知識だけではなく、経験と柔軟性、そして、貢献です。
私は、ファシリテーションをすることでお互いの良さを最大限に引き出し、そこで対話することで生まれる気づきや学び、繋がりを体感してもらい、自分も同時にその時間を共有できていることに、心からの幸せを感じるのです。
この感覚を自分の好きな人たちに感じてもらいたいですし、広めてほしい。だからこそファシリテーションをします。
当然、失敗することもたくさんあります。むしろまだそっちの方が多いかもしれません。
でも、失敗をするから、成功に近づいているのです。
今一度、ファシリテーションの目的を考えてみてはいかがでしょうか?
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