世間に従う
仕事帰りに買い物を済ませた。
職場近く大きめの百均があるので、仕事終わりによくお世話になる。
「今回はこれだけ買うぞ」と決めて行っても、結局買い過ぎてしまう。
魔境である。
買い物を終え帰路につく。
とあるビルの前を通りかかった時、中からけたたましい音が聞こえた。
火災報知器だろうか?
ビルの中を覗き込むが変わった様子は見受けられない。
周囲を見渡しても皆、当然のようにビルの前を通り過ぎてゆく。
もう一度、ビルの中へ目をやる。
誰かが飛び出してくるだとか、消火用のスプリンクラーが作動しているだとか、そういったことは見受けられなかった。
ただただ、けたたましいベルの音だけが鳴り響いている。
誰も足を止めず、通り過ぎる。
まるでそれが日常のようであった。
気に留めているのは私だけなのだろうか。
私は駅へと歩き始める。
ベルの音がゆっくりと遠ざかる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?