殺人を犯した者の謝罪とは何か

 連合赤軍事件、50年を経て当時の記録が発見されてきた。連合赤軍 遺族への手紙」は事件後の被害者の母に迫られて書かれた加害者の謝罪文である。 被害者遠山美枝子の母の怒り、嘆き。加害者の親たちのしどろもどろの返事。森恒夫・永田洋子の空疎な謝罪。
森は自分のことを「阿修羅の権化」「地獄の餓鬼」と言った。この言葉も供養文からの拝借で、大げさにいえば反省していると見えると思ったのか、本心ではない。山本順一の妻は夫を殺された被害者であり、他の人に対しては加害者であるが、彼女の手紙は、謝罪文とはこういうものだろうと救われる感じがする。他の加害者たちの反省文からは仲間を失った悲しみが伝わってこない。
彼らは「あれは間違いでした、すまなかった」ぐらいにしか思っていないのだ。何故か。マルクス主義が聖書やコーランのごとく敬われた時代、革命のためという呪文を唱えれば、罪という罪は消えると思っているのだ。
「虚ろな革命家たち」という本は、森恒夫の高校時代を追っている。「大阪市立大学同級生が見た連合赤軍森恒夫」は 大阪市立大学時代を暴露している。いずれも50年後の発掘である。遺族への手紙の編者の江刺昭子には「私だったかもしれない」という名著もある。50年前遠山美枝子の母幸子は、1日も長く生きて供養を続けると宣言した。今、100歳を超えて健在だと伝えられる、喜ばしいことだ。

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