エッセンシャルワーカーの課題を考える部 活動報告(第6回)
皆さん、こんにちは! ifLinkオープンコミュニティ会員の濱@ISEです。
今回は、エッセンシャルワーカーの課題を考える部の本活動第6回として、ifLinkオオギリを実施したときの様子を報告します。
場の設定
本活動は、ifLink会員としての東芝様に会場をGiveしていただく形で、ラゾーナ川崎に隣接する東芝様の共創スペース内の会議室をお借りしました。(感謝ですm(__)m)
当日の参加メンバーは、部から10名と、ifLinkオオギリを見たいというゲスト1名、タイムキーパーとして事務局から1名となりました。
共通の前提
ifLinkオオギリを実施するにあたり、「エッセンシャルワーカーの課題を考える部」の総意として、『フレイル予防(今日できることを明日もできるように)』を前提としました。
※フレイル:フレイルとは医学用語である「frailty(フレイルティー)」の日本語訳で、病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のことです。
各チームのテーマと実施結果
前回(第4回)の記事でもあげたとおり、今回のifLinkオオギリのテーマは下記の3つです。
①運動/外出を促す話
エンタメ指向/Eスポーツ(高齢者でもできる/その場から動かなくてもできる運動とは?)
例:ダーツとか、ボッチャとか、誰でもできるように、いろんなスポーツの簡素化ってどう?
②コミュニケーションを増やす話
孤独の解消
③やりがいをキープする話
うれしさ/楽しさを感じられることは?
達成感/モチベーションの維持(ポイント/ありがとうとか方法論あるかな)
これらのテーマに、観点的な話として、ifLinkとの親和性(簡単に継続できるものだといいよね)とか、ペルソナは「高齢者/認知症予備群」、シーンは「とくに条件なし」としました。
弊社若手メンバーを中心に、当日のタイムスケジュールもきっちりと計画立てました。
それでは、各チームの様子を見てみましょう。
こまりごと・うれしいことやIF-THENのアイデアには、たくさん意見が出ているので、ざっくりと整理したいと思います。
チーム① 運動/外出を促す話
まずはifLinkオオギリ実施したあとのワークシートをどうぞ。
こまりごと・うれしいこと
嬉:世代を問わず、話ができる、一緒にできる(で、勝てるとサイコー)嬉:運動障害があっても体を動かしたい
嬉:運動をしたことによる成果・景品があるといい
嬉:自分の衰え具合を正しく知りたい
嬉:認知症予防以外の「運動の目的」(社会との役割・つながり)があるといいかも
困:認知症が進行するとルールがわからなくなる
困:衰えた自分を見られるのは恥ずかしい
困:一緒に活動する仲間がいない
困:誰かに迷惑をかけてしまう不安がある
困:認知症予防で何をするといいかわからない(どんなeスポーツをやるといいのか)
うれしいこととしては、運動や頭を使うことで活性化→認知症の予防ができるといいな、という意見が多かった印象です。
こまりごととしては、やろうと思ってもできない・不安という意見が多く出ました。
僕も認知症になった家族がいたので、どちらの意見もよくわかります。
難しいのは、無理に何かやらせようとしてもうまくいかない、というところでしょうか。
さて、これらをどうにかするためのよいIF-THENは出たのでしょうか。
IF-THEN
IF:一定のスコアを超えたら
THEN:シングルが鳴る&ガチャの権利を得る
嬉:運動をしたことによる成果・景品があるといい
IF:若者に負けないプレーをする/ゲームで勝つ
THEN:倍率がかかって/相手との年齢差に応じてスコア加算される
嬉:世代を問わず、話ができる、一緒にできる(で、勝てるとサイコー)
IF:若い人のプレー動画を送ると
THEN:いい感じのアドバイスが出る
嬉:世代を問わず、話ができる、一緒にできる(で、勝てるとサイコー)
IF:N日連続(晴れの日)でお散歩すると
THEN:孫とか家族が応援してくれる
嬉:運動をしたことによる成果・景品があるといい
IF:VRデバイスをかぶって室内で外出(歩く)と
THEN:外出先の名産品が送られてくる
嬉:運動をしたことによる成果・景品があるといい
IF:外出先を決めると
THEN:一緒に外出してくれる、同じくらいの衰えの人を紹介してくれる
困:一緒に活動する仲間がいない
IF:診断アンケートに回答すると
THEN:認知症レベルと改善のためのゲームを紹介してくれる
困:認知症予防で何をするといいかわからない(どんなeスポーツをやるといいのか)
IF:前回よりもスコアが上がっていたら
THEN:コミュニティの人が褒めてくれる
嬉:運動をしたことによる成果・景品があるといい
嬉:世代を問わず、話ができる、一緒にできる(で、勝てるとサイコー)
IF:誰かと遊びたい/コミュニケーションをとりたいと思ったら
THEN:アバターで交渉できる
困:衰えた自分を見られるのは恥ずかしい
IF:VRで若い人とするゲームをすると
THEN:相手によって負荷がかかる(リストバンドなどで)
嬉:世代を問わず、話ができる、一緒にできる(で、勝てるとサイコー)
嬉:運動障害があっても体を動かしたい
すべてのこまりごと・うれしいことにたいしてIF-THENが出ているわけではないですが、どちらにもバランスよくアイデアが出たのではないでしょうか。
個人的には、VR外出で名産品がもらえるっていいな、と思いました。
現地に行かなくても観光ができて、観光地土産までもらえるのはうれしくないですか?
②コミュニケーションを増やす話
まずはifLinkオオギリ実施したあとのワークシートをどうぞ。
こまりごと・うれしいこと
嬉:直接/テレビ電話で会えるとうれしい
嬉:介護施設/老人ホームは楽しい
嬉:自分が何かの役に立ちたい(時間はある)
嬉:健康につながる情報をやりとり
嬉:遠方の仲間と連絡をとりあいたい
嬉:相手が話したい気分なのかどうかわかるとうれしい
嬉:自分の得意なことをアピールする場
嬉:日々のまんねりを解消したい
困:話し相手・仲間がいない(離れている、亡くなってしまった)
困:時間が合わない
困:共通の話題が少ない
困:外に出ることができない(億劫、足が悪い)
困:情報の入手手段が限られる・知らない
困:機器が使えない
困:相手の口数が少ない、ワンパターン化
困:なぜかケンカっぽくなる、突然不満を言われる感じ
ちょっと違う視点(ペルソナが家族)で
困:こっちも疲れているので、さぁコミュニケーションしようとならない
困:外に出たがらない(こっちは外が好き)
すでにでき上がっている場に参加するのは比較的ハードルが低いのでしょうか。
こまりごとを見る限り、それでも最初の一歩を踏み出すのが最大のハードルになっている?
あとは、すれ違いでしょうか。
IF-THEN
IF:ヒマな個人を登録しておくと、普段の会話から人の属性を判断して
THEN:イベントや集会の情報を提案してくれる(こども園に招待、送迎も、相撲のパブリックビューイングなど)
嬉:自分が何かの役に立ちたい(時間はある)
困:情報の入手手段が限られる・知らない
IF:つぶやく/コミュニケーションする
THEN:AIが回答/ひろってサマリしてくれる
嬉:健康につながる情報をやりとり
困:話し相手・仲間がいない(離れている、亡くなってしまった)
IF:自分に必要なことを登録したら
THEN:マッチングしてくれる
嬉:日々のまんねりを解消したい
IF:何かの記念日になると
THEN:そのときの写真を見せて語らせる/記念日の情報が表示される
困:共通の話題が少ない
IF:ロボットに話しかけると
THEN:話題(トークテーマ)を提供してくれる
困:話し相手・仲間がいない(離れている、亡くなってしまった)
困:時間が合わない
困:共通の話題が少ない
こちらのチームは、コミュニケーションを増やすためには、何らかのテーマが必要と感じたようですね。
たしかにフリートークといわれると何を話せばいいのかわからなくなります。
あとは、人に言われるとちょっと「ん?」と思うようなことでも、ロボットに言わせることで心理的ハードルが下がるみたいな意見もあったのはなるほど、と思いました。
③やりがいをキープする話
まずはifLinkオオギリ実施したあとのワークシートをどうぞ。
こまりごと・うれしいこと
嬉:朝起きて誰かが待っている/おいしいお茶が飲める/家がきれいだとうれしい
嬉:一緒に続ける仲間が欲しい
嬉:やりがいを共有したい
嬉:仕事や家事で貢献できるとうれしい
嬉:かっこいいと思ってもらえるとうれしい
嬉:自分の飲む薬を自分で管理できるとうれしい
嬉:自分にあうファッションの変化を楽しむことができるとうれしい
嬉:挑戦できる(ミスしてもOKな)環境があるとうれしい
嬉:成長を実感したい(目標があるとよい)
嬉:ひとりでできる趣味があるとうれしい
困:できていたことができなくなるのが嫌だ
困:できることを止められるのは嫌だ
困:周りの人に「できない人」扱いされる
困:ほめられない
困:かたいものが食べづらくて食事がつまらない
困:だんだん外に出ることが億劫になる
ほかのチームもそうですが、このチームはとくに「アレができるとうれしい⇔アレができないのは嫌だ」といった感じで、こまりごととうれしいことが表裏一体になっている気がします。
出てきた意見の中に食事に関する意見もありました。
食事については、もっと人数が多くて4チーム目を作れたとき用の予備テーマにしていました。
ここで意見と出てきたということは、テーマ設定はうまくいったのかな、と思うところ。
IF-THEN
IF:皿洗いをしようとすると
THEN:使う道具が提示される(出てくる)
嬉:仕事や家事で貢献できるとうれしい
IF:共通の趣味を持つネットワークに簡単には入れたら
THEN:毎日楽しい会話ができる
嬉:一緒に続ける仲間が欲しい
IF:予定を家族が入力したら
THEN:ワードローブからぴったりのコーディネートを提案
嬉:自分にあうファッションの変化を楽しむことができるとうれしい
IF:歩数が友人より上回ったら
THEN:スマホが褒めてくれる
嬉:一緒に続ける仲間が欲しい
嬉:成長を実感したい(目標があるとよい)
困:だんだん外に出ることが億劫になる
IF:ベッドから起き上がったら
THEN:毎日違うお茶の香りがする
嬉:朝起きて誰かが待っている/おいしいお茶が飲める/家がきれいだとうれしい
IF:メッセージが届くと
THEN:家の中の大きい掲示板に表示
困:ほめられない
IF:毎日家の中でどこかひかるのを集めると
THEN:お菓子や花束が届く
困:ほめられない
IF:朝、血圧を自動計測して正常値だったら
THEN:ルンルンするBGMが再生される
困:ほめられない
IF:共通の趣味を持つ人のたまり場があったら
THEN:高めあえる
嬉:一緒に続ける仲間が欲しい
嬉:やりがいを共有したい
IF:洗濯機のスイッチを入れたら
THEN:褒められる
嬉:仕事や家事で貢献できるとうれしい
困:ほめられない
IF:冷蔵庫の扉を開くと
THEN:「いいね!」
困:ほめられない
IF:肌の調子がいいと
THEN:それを褒めてお出かけを進めてくれる
困:ほめられない
困:だんだん外に出ることが億劫になる
褒めてくれたり、提案してくれるアイデアが多いでしょうか。
やりがいをキープ=モチベーションを維持するためには、やっぱり褒められないとね。
健康管理や生活環境の管理と紐づくと、面倒だったり忘れがちなこともうまく継続していけそうな気がします。
のっかり!!
ここまで、各チームがゼロベースで考えた意見をざっくりと振り返ってみました。
ここからは、先に出たアイデアに対して、別のメンバーが「それってこうだよね」とか「それならこんなのもあるよね」といったアイデアのアップデートをします。
チーム① 運動/外出を促す話 の「のっかり」
お散歩で外出を促すアイデアに対して、雨の日はどうするのか、といったシチュエーションを変えてのアイデアが出てきたようです。
ほか、VRで購買体験や地域活性を促すようなアイデアへの「のっかり」もありました。
晴れの日以外は、(「おばぁちゃんの知恵袋」的な)お役立ち情報をお届け
VR旅行で名産品の送り先が遠くの家族
推しの応援メッセージが届く
推しに推されるってどんな感じなんですかね?
VRで旅行・観光・買い物ができて、遠くの家族ともつながることができると楽しくなりそう。
アバターでもいいし、若いころの自分の写真からモデル作ってもなんだかおもしろくなりそうです。
②コミュニケーションを増やす話 の「のっかり」
不満やぼやきに対して、理解・共感を示してくれるようなアイデアが出ました。
高齢者同士わかりあえる
つぶやきにAIが回答(相づちだけ)+サマリ+感情もわかる
うーん、先行アイデアの整理が難しかったのか、こちらのテーマはのっかりにちょっと苦戦したのでしょうか。
③やりがいをキープする話 の「のっかり」
健康管理の観点ででてきたアイデアで、血圧以外にもこんな状態を検知するといいな、ということで出てきたアイデア。
息の臭い(酒臭さ)
トイレに尿センサー
薬をきちんと飲んでいるか
食事を作って食べているか
これらのバイタルデータを可視化することも意味がありそう。
家事を頑張ったときの褒められるところでは、なかなかおもしろいアイデアが出てきました。
孫のほしいものリストを表示
→ 得点がもらえて孫にプレゼントできる
→ 自分が欲しいものもOK孫の声(+動画)、Kebbi、自分の好きな女優にほめられる
芸能人に疎い僕としては、「自分の好きな女優」がピンと来ないのですが、権利問題クリアできたら売れそうな気がします。
(なんか、昔目覚ましとかのメッセージでそんなのなかったっけ?)
まとめ
3つのテーマについてifLinkオオギリを実際にやってみました。
色々な意見・アイデアが出てきましたが、どれがよい/悪いということはなく、みんな違ってみんなよい、と思っていただけると幸いです。
ifLinkオオギリの経験者も未経験者も飛び入り参加もいる中で、だいたい予定のタイムスケジュール通りに進行できたのは、準備に尽力してくれたISE若手メンバーと、タイムキーパーをしてくれた事務局メンバーのおかげです。(ありがとうございますm(__)m)
ほんとは進行もISE若手メンバーにお任せするつもりだったのに、口も手も出してすまぬ。
そして「のっかり」の発表ののときに、3アイデア出たから3笑いとれるよねといった人(きっと当人は自覚あるはず)、何てこと言ってくれるんだ。
僕はそういう枠ではない(はず)のだよ。
さて、ちょっと真面目に。
テーマは3つに絞りましたが、様々なアイデアが出てきました。
中には突拍子のないものもあったかもしれませんが、結構現実的なものもあったかと思います。
ifLinkの活動でよく思うこととして、ifLinkオオギリやったあと、そこで終了となるのはもったいないなぁ、ということ。
ということで、部としては今回出たアイデアを精査し、社会実装に向けた活動ができるといいなと考えています。
次回MTGで、そのあたりの進め方について議論ができると思うので、次回の活動報告をお待ちください。
ifLinkオープンコミュニティについて
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