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エパミナンダス🕯️ 馬鹿と言いたかった母

ストーリーテリングではお話を覚えて語ります。
覚えるのですから何度も、何度も音読し、口に出して覚えます。
だから、普段言えないことを思いっきり口に出すことができるのです。

エパミナンダス

それは、男の子の名前で、東京子ども図書館が発行している「おはなしのろうそく1」の最初に出てくるお話。

これはとても面白いお話なのですよ。

あるところにエパミナンダスという男の子がいて、おばさんのうちに行って(手伝いをして)毎回何かおみやげをもらって帰ります。
その持って帰り方がよくないので、毎回貰い物はダメになります。お母さんの言ったとおりに持って帰るのですが、応用ができない(しない)のです。
とうとう、お母さんは自分でおばさんのうちに行くのですが、「よーく気をつけるんだよ」と言われていたパイも台無しにしてしまいます。(意図してかどうかは謎)

東京子ども図書館「おはなしのろうそく1」エパミナンダスよりあらすじを要約

お母さんがね、毎回持ち帰り方を間違えるエパミナンダスに
「あたまがないねぇ」と毎回言うのです。
私が最初にこのお話を覚えたいと思ったのは、この「あたまがないねぇ」を言いたかったからかもしれません。

子どもが現れると親は子育て初心者になる。
親も子も若葉マーク。
子どもは信じられないようなことを次々としでかしてくれる。
「この馬鹿!」といいたいけれど、子育て本には「馬鹿と言ってはいけません」「褒めて育てましょう」とどれも書いている。

子どもの武勇伝は数知れず。
平成初期の当時
プッシュ電話でなぜか「119」にかけて「火事ですか?」と消防署から確認の電話はあるし、
粉せっけんを子どもの手が届く所に置いていたら、石けんでお砂遊びのように山を作って遊んでいるし、(それを3回もやられました)
学校に通い始めたらお決まりのように田んぼに落ちて泥だらけになってくるし、
・・・色々とやらかしてくれました。
「冬は寒いから」と、学年で一人冬にスカートをはかず長ズボン(ちゃんと目立たないように黒のジャージを買いました)をはいていってたのもうちの娘。

子どもが無邪気なのか、先回りして対処できない親の私がバカなのか、
子育てとはバトルだと思い知りました。
それでも子どもに「馬鹿」というのは多分よくないし、
冷静に考えれば、「馬鹿」といったところで良くなるものでなし。

エパミナンダスの行いなんて可愛いものですよ。

ケーキをもらったら帽子の中に入れて持って帰るようにと言われて
もらったバターを帽子の中に入れて持って帰っていたら溶けてしまったり

バターをもらったら水の中に入れて冷やしながら帰るようにと言われたら
もらった子犬を水の中に入れながら帰ったので子犬が死にかけたり

子犬をもらったら首にひもを結び付けて引っ張って帰るようにと言われて
もらったパンをひもに結んでひこずって帰ったらボロボロになっていたり

お母さんに言われたとおりにエパミナンダスはするのです。
ただ、「〇〇をもらったら」のもらったものが違っても同じことをするのでダメになるのですが・・

お母さんがそのたんびに言うのです、
「エパミナンダス、お前はまあ、あたまがないねえ」と。

子どものやらかしに「この馬鹿!」と言う代わりに
エパミナンダスの中のこの言葉「あたまがないねえ」を何度繰り返したことか。

おかげでこのお話はいつでもできる、私の定番のお話になりました。

その娘も成人して独り立ちをしました。
頑張ってやっているね、と思うこともありますが、やっぱり
「馬鹿よなぁ」と思うこともあるのです。

馬鹿と言えなくてこのお話を覚えたなぁ、と懐かしく思いながら、
毎年、夏になるとこのエパミナンダスを語るのです。


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いふ!
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