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エパミナンダス4🕯️指示は明確にはっきりと

ストーリーテリングはお話を覚えて語ります。

お話は、最後が大事。
終わり方がはっきりしないとお話の世界から現実への戻りが悪い。
日本の昔話が「昔々あるところで」の始まりの言葉で始まり、
「これで一期さかえもうした」「とーんびんと」「とっぺんぱらりのぷう」などで終わるのも様式美だけでなくお話の世界と現実を分けるため。

創作のお話には、余韻を楽しむためかその最後の結語がないことが多い。
エパミナンダスの最後も不思議な感覚。

お母さんがエパミナンダスのしくじりに業をにやして自分でおばさんお家に行く前にエパミナンダスに注意します。

「さいごにもう一つだけいっとくことがあるよ、エパミナンダス。そこの戸口のところに、パイが六つあるだろう。さっきわたしが焼いて、いま、さますためにそうやって、ならべてあるんだよ。いっとくけどね、エパミナンダス。パイの上をとおるときは、足の踏み場によーく気をつけておくれ。わかったね、エパミナンダス?」

東京子ども図書館「おはなしのろうそく1」エパミナンダスより「 」内原文ママ

さあ、エパミナンダスはちゃんとお母さんの言いつけを聞けたでしょうか?

エパミナンダスは素直な子なのです。
(私のエパミナンダス像では。色々な解釈があるようです)
エパミナンダスは、とても、とても気をつけてパイの上をとおるのです。

「エパミナンダスは、パイの上をとおるとき、足の踏み場に気をつけましたよ。気をつけましたとも。エパミナンダスは、一つ一つのパイの、まァまん中を踏んで歩きましたとさ!」

原文ママ

ここで、終わるのです。

みなさん、いかがですか?

これを聞いた子どもの表情や感想は様々。
「お母さんに仕返しをしてやったんだ」
「やると思った」
「パイがだめになるじゃぁ」
「パイがもったいない」
「今度はちゃんとやると思ったのに」
まずはこの最後にぽかーん、としてから感想が出てきます。

子どもたちはここまでくると先を予想しながら聞いています。
「何かやるぞ」、と思っている子が大半。
その予想が覆されるようなラストです。

最初、覚えた時は「これ、わざとだ」と思っていましたが、
語りを重ねるにつれて「お母さんのいいつけをちゃんと守っている素直な子」に変わっていきました。

エパミナンダスは、お母さんにいわれたとおりに気をつけてパイの真ん中を踏んで歩いたのです。
お母さんは「パイの上をとおるときは、パイを踏まないようにパイの横を踏んで行くんだよ」と言えばよかったのです。
(これではお話が面白くなりませんが・・)

普段の生活でもよくあります。
指示あるあるで「気をつけて」と指示をして「はい」と返事をする。
でも、言った方の「気をつけて」と聞いた側の「気をつけて」は同じとは限らない。

作者のブライアンさんがどういう意図でこういう終わらせ方をしたのかはわかりません。
でも、この終わらせ方で、聞いた方は「ぽかーん」となるのです。

不思議なことに、このお話を知っていて何度も聞いたことがある子でも
「くるぞ、くるぞ・・やっぱり」と、このお話の最後を楽しむのです。

お話のおわりは、とても大事。


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