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11歳、更衣室。男性教員の「遅い子は写真撮るよ」が不快だった

話を始める前に、僕の性別について。
僕は「女性」だ。
一人称が「僕」と「私」の時があるので
混乱させて申し訳ない。

11歳の私は、不快だった。

4時間目は体育。
更衣室で着替えをする。

(女子はおしゃべりが好きだな)
私は、ぼんやりと
思っていた。

賑やかな更衣室の
扉が急に開いた。
と、同時におしゃべりが
ぴたっとやんだ。

扉を開けたのは
40代後半の男性教員。

彼は言った。
『着替えが遅い子は、
先生が写真で撮っちゃうからな~』

11歳の私は、不快だった。

なぜ、私は不快なのだろう…

先生がノックをしなかったから?
先生が写真を撮ると言ったから?
先生の顔がにやにやしていたから?
先生の人相が性犯罪者のようだから?

先生のプロフィールが、
FBIプロファイリングという本に
書かれている小児性愛者の特徴と
酷似しているから?

先生がプールの授業で
ブーメランスタイルの水着を
着用していたから?

11歳の私は、不快だった。

11歳の私は、
椎名林檎を信仰する、近所の
11歳女子に自分が感じた
気持ちを打ち明けた。

私たちはその日のできごとを
紙に書いた。

私たちはその紙を
校長室前の目安箱に入れた。

11歳の私は、不快だった。


追記:僕はこの先生のことを強烈に覚えている。僕はこの瞬間のことを強烈に覚えている。あんなにうるさかったおしゃべりが、ぴたっとやんだ、給食前の更衣室。それにしても、僕は自分の感情を消化するのに時間がかかるな。我ながら思う。