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アメリカの先生がよく使う万能フレーズ "be respectful" を日本語にすると?

仮に自分が英語圏の学校で学級担任になったとして、クラス内のルールを全てこの一点に集約しても事足りるくらい、"be respectful"というフレーズは万能だ。例えば次のような場面において使う。

① 児童が先生に対して乱暴な言葉を使った
 → 「そのような話し方は認められません。Be respectful.

② 児童がペア活動でパートナーの話を聞かずに他の子と話している
 → 「人を無視してはいけません。Be respectful.

③ 児童が教室の備品でふざけて遊んでいる
 → 「クラスみんなのものです。Be respectful.

言うまでもなく動詞"to respect"は「尊敬する」「尊重する」という意味だ。形容詞"respectful"は「相手を敬う・尊重するような、態度・状態」を表す。

しかし教師による児童への"be respectful"という声がけを日本語にすると、どうなるのだろう…?日本の学級でも「相手を尊重しましょう」とは言わなくもないが、ずいぶん改まった感じに聞こえる。どちらかと言えば高学年向の言い方だろう。かと言って「尊敬しましょう」というのはすごく変だ。

"respectful"の自然な日本語訳は何だろうと考え込んでいたところ、翻訳者である夫(アメリカ人)がさらっと答えを述べた。

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「日本語では自分と相手の関係性によってリスペクトの形が変わるから、状況によって言い換えなくてはいけない」

「なるほど!先生や大人に対しての態度を注意するなら『失礼ですよ』『礼儀正しくしなさい』とかだけど、同級生に対してのふるまいに言及するなら…『思いやりを持って』とかかな?物なら『大切にしましょう』か」

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もう一度、例に当てはめてみよう。

① 児童が先生に対して乱暴な言葉を使った
 → 「そのような話し方は認められません。Be respectful.(失礼ですよ)

② 児童がペア活動でパートナーの話を聞かずに他の子と話している
 → 「人を無視してはいけません。Be respectful.(思いやりを持って)

③ 児童が教室の備品でふざけて遊んでいる
 → 「クラスみんなのものです。Be respectful.(大切にしましょう)

***

このように英語の"be respectful"はあらゆる場面において「適切な行動を取りなさい」と促すことのできる万能フレーズである。今回あらためて(特に学校での)使用場面を検討してみて、日本語でそのニュアンスを伝えたいならば、対象との関係性を反映した形に訳す必要があることがわかった。

ついでに付け加えると、ある本で紹介されていたアメリカの小学校のクラス内ルールでもやはり"respect"が重ねて使われていた。内容は次の通り。

1. Respect yourself.(自分自身のことを尊重しましょう
2. Respect each other.(お互いに思いやりを持ちましょう
3. Respect our classroom.(私たちの教室を大切に扱いましょう

個人的には「自分自身」について明文化されているのが、なんともアメリカらしいなあ、と感じる。

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