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詩:XX

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2020年7月の記事一覧

詩:石

石、ただの石 陰鬱な曇り空、今日もまた 長いことずっと一緒だった あるはずのない温もりを感じていた

詩:骨

順番待ち あたりには無数の骨 誰かが言った 「彼らは、次を待っているんだよ」

詩:虎

密林に住む虎が川を渡る 滑らかな毛皮 飛び交う蝶 濃厚な土の匂い

詩:粉

音もなく忍び寄る それは羽虫 それは私の手を煩わす

詩:無言

油が弾ける フライパンにはクズのような野菜たち 適当に切られたピーマンとナス それらは無造作に混ぜられた

詩:色

ゆっくり、ゆっくり 木を歩む キョロキョロとあたりを見渡して じっくり、じっくり 観察をする

詩:穴

真夜中、穴をおもう ふと目が覚めたとき 真っ黒な穴が二つ 木々の擦れる音 ドアを閉める音 トイレを流す音

詩:窓

大きなあちらと、小さなこちら それは、窓 梅雨空に曇った空と、生茂る木々 鳥のさえずりと、川の流れる音

詩:思考

まさに、着地しようとしている一枚の紙 ある一瞬の緊張のあとぺたりと眠る、それこそが あるいは、風前の灯 今まさに死なんとする老人の呼吸 もしくは、さっき発芽した種

詩:テーブル

ジャムや、バター、あるいはスープ 色、味、香り、あるいは会話 食パンはいつも彩られる きっと乾電池はこう思う

詩:不在

それは、いないということ それは、余白 それは、独り言

詩:星

夜 あそこは暗闇だった 群青の湖 凪、細波は煌く

詩:砂

やわらかなからだ うで、おなか、ふともも、むね 全て砂でできている つかんだうで

詩:嘘

実は、そうじゃない そうじゃない、と思うことで 本当を隠した 私は、私自身を捕らえられない