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石、ただの石 陰鬱な曇り空、今日もまた 長いことずっと一緒だった あるはずのない温もりを感じていた
順番待ち あたりには無数の骨 誰かが言った 「彼らは、次を待っているんだよ」
密林に住む虎が川を渡る 滑らかな毛皮 飛び交う蝶 濃厚な土の匂い
音もなく忍び寄る それは羽虫 それは私の手を煩わす
油が弾ける フライパンにはクズのような野菜たち 適当に切られたピーマンとナス それらは無造作に混ぜられた
ゆっくり、ゆっくり 木を歩む キョロキョロとあたりを見渡して じっくり、じっくり 観察をする
真夜中、穴をおもう ふと目が覚めたとき 真っ黒な穴が二つ 木々の擦れる音 ドアを閉める音 トイレを流す音
大きなあちらと、小さなこちら それは、窓 梅雨空に曇った空と、生茂る木々 鳥のさえずりと、川の流れる音
まさに、着地しようとしている一枚の紙 ある一瞬の緊張のあとぺたりと眠る、それこそが あるいは、風前の灯 今まさに死なんとする老人の呼吸 もしくは、さっき発芽した種
ジャムや、バター、あるいはスープ 色、味、香り、あるいは会話 食パンはいつも彩られる きっと乾電池はこう思う
それは、いないということ それは、余白 それは、独り言
夜 あそこは暗闇だった 群青の湖 凪、細波は煌く
やわらかなからだ うで、おなか、ふともも、むね 全て砂でできている つかんだうで
実は、そうじゃない そうじゃない、と思うことで 本当を隠した 私は、私自身を捕らえられない