Ieon_Inoue
2020年4月27日に発行。 混乱と悲鳴に満ちた青年期の余暇から生まれた第一詩集「凍える言葉」のnoteバージョンです。 「凍える言葉」に収録された作品はもちろん、未収録の作品、没になった作品などが収録されています。
書いた詩をまとめています。買い足し?
雑記。ZAKKI。ザッキ。
青年時代の混乱と悲鳴の間から生まれた詩集。 青梅生まれ青梅育ちの著者が、青梅で読んだ詩を収録。 青梅の企業精興社が持つ、オリジナルのフォント「精興社書体」で組版されています。 名だたる出版社や文人が愛した「精興社書体」をあえて青梅の「書体」ととらえています。 執筆、編集、印刷、装丁、その他クリエイティブを全て監修しました。 詩、印刷、書体、本づくり、青梅、に関わる人たちに楽しんでもらえると幸いです。 詩集「凍える言葉」 | inoue books
あなたのことは 覚えていても 食事の時の 声は忘れてしまった 春の訪れは 流れていって すりガラスに映った 切り絵のような 山の端が 夜に居場所を 与えている かたつむりは 平和な戦車だと あなたはいっていた 月の真っ只中に 取り残された チーズのかけら それをフォークで 刺すといいんだと あなたはいっていた 鈴だよ、あれは 空を見上げると りんりんと なっていた でも私は鈴ではないと思う あれは穴だ 誰かが覗いて いるんだ 真っ黄色な目で 私の生活を みていやがるんだ
詩集が完成しました!
真夜中の改札口を思い出す あまりにも白すぎる蛍光灯によって乾燥したそこでは たった今割れたばかりの、鋭利な硝子が落ちている
祈りは炎だ だっていつでも間にある 間になければ意味がない 間になければ温められない 間になければ会話もできない
生体肝移植のドナーとしての役目を終えて、昨日退院してきました。 これからドナーになられる方に、何かヒントを提示できればと思います。また、落ち着いたらレポートをまとめます。
重い肝臓病の母に、ドナーとして私の肝臓を移植することが決まりました…!
詩集だします。
聞こえるから きれいだから 思い出すから おいしいから 夜だから 楽しいから あついから 気持ちいいから つらいから 笑っているから 謝りたいから 話したいから 忘れたいから 美しいから 泣いているから さむいから
見えてこない 聴こえてこない 声も出ない でも、私は気づいている
あの人はたえている 薄汚れた部屋で、ただ一人きり ああ、激情! 唯一の宝が、ようやく手に入ったというのに
笑ったり泣いたり 美しかったり醜かったり 美味しかったり不味かったり 優しかったり厳しかったり
恋人をちいさく、ちいさく丸めたい そして、それをポケットに入れておきたい コインや消しゴムのように、指先で感じていたい
ずぼんに穴 もう一本のずぼんにも穴 私は豊かになり過ぎた 小さな摩擦があったのだ
曲がり角 黒い家 冷え切った夜だった 私は黒い女をみた 家の中は暖かだろう 私はちらと一瞥して過ぎたかった
二つの犬は、片割れを探している 真っ白な空間で、犬はそれぞれただ、うろつくだけ 鼻先から尻尾の先まで綺麗に切断されている