はじめて絵で泣いた日のこと
わたしは感動するとすぐに泣く。
映画や本で泣く、悲しくて泣く、悔しくて泣く。
生きていたくなくなって泣く、私の愛する命が消えて当たり前に泣く。そんなわたしが絵をみて泣いたのはあの時が最初で最後かもしれない。
それは去年の春のことだ。
学生の頃に好きになったエゴン・シーレの展示が東京都美術館でやるとのことで上野へすっ飛んで行った。そしてエゴン・シーレの展示 日本では30年ぶり…!生きてるうちに生で見れる機会が巡ってきてくれて嬉しかった。
入り口のポスターで すでに圧倒されている。彼の絵の持つパワーはえぐいですね。入館時間前に着いたのでガチャガチャ回した。入館前にグッズも買ってしまった。
入場列さえ楽しくてまるでテーマパークの待ち時間のような浮かれ具合でした。いざ展示へ...
一年前のことなので展示の内容はほとんど覚えてません。(記憶にこびりついている絵だけ記憶にあります)撮影できる絵もあり、目に焼き付けたうえで自分のフォルダに残せるなんて感動でした。
中でもわたしが1番記憶に残ってる絵は自画像です。まさにポスターにもなっている〝ほおずきのある自画像〟。そこまで大きくはない絵でしたが、吸い込まれるように絵の目の前に。ポスターにもなっているし何度か画像ではみたことのある一目でエゴン・シーレだとわかる絵。
美しい、筆の跡、塗り重ねられた絵の具。大好きな彼の絵を生で観れたという喜びが最高潮になり何故か泣いてしまう。
エゴン・シーレに想いを馳せる。
その絵から離れられなくなっていた。
彼の描く絵を見ると恐怖や怒り、悲しみ。というマイナスイメージの感情を想起する。彼の人生を辿っていきながら展示をみていくと当時のシーレを取り巻く環境や世界、厳しいものもあったけれど、ずっと彼は絵という光を描き続けていたんだな。と思った。好きなものがあれば暗闇でさえ心地良いのかもしれない。
絵をみて感情がここまで昂ったのは初めてでした。
たくさんエゴン・シーレの絵や、クリムトの絵までみれて本当に幸せでした。また何十年後でもいいので日本で展示やってほしい。大好きだー!と心の中で叫びながら帰宅。
少ない記憶をかき集めて絵ではじめて涙したあの日のことを書いてみました。
早足でしたがお付き合いありがとうございました。
エゴン・シーレに出会えて良かった。