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食わず嫌いに潜む素敵な未来

私は、昔は人前で話すことが苦手でした。
皆の前で歌ったり、ダンスをしたり、お芝居をしたり、そのようなパフォーマンスをするのは子供の頃から好きだったのに、何故か人前で「話す」ことだけは、どうしても嫌で嫌で仕方なかったのです。

学生時代も、授業で皆の前で何か発表しなくてはならない日は、朝から既に口から飛び出しそうな心臓を飲み込みながら学校へ向かったものでした。

友人の結婚式に招待された時「余興でスピーチか歌のどちらかをお願いしたいんだけど、いいかな?」と頼まれると即答で「喜んで歌を!」でした。(それはそれは、友人の末永い幸せを祈りながら心を込めて熱唱しました)

司会の仕事をしている友人を見ては「神業だ。絶対に私には無理」と尊敬の眼差しで見ていました。

そんなこんなで、私が人前で話す仕事には一生就くことはない、就くわけがない、就いたら天地がひっくり返ると思っていました。

ところがです。
いくつかの仕事を経験し、何回目かの転職をした先で、業務の1つに「マイクで話す」というものが、私を待ち構えていたのです。
「うわぁ、嫌だけど、これだけをやらないってわけにはいかないから、何とか頑張るしかないか」と腹を決めて研修を受けました。

いざ働き始めて、マイクで話す仕事が来た時は、もちろんカチンカチンに緊張したものでした。

しかし、何回もやっているうちに「あれ?なんだか面白い」と思うようになってきました。
そう、人前で歌ったり、踊ったりする時のような快感というか、自己表現する楽しさのようなものを感じるようになってきたのです。
それどころか、マイクで話すことがその職場での業務の中で1番好きになっていました。

その職場では数年働いて退職したのですが、その後の私は、次々とマイクで話す仕事に挑戦していきました。
イベントでの館内放送、お客さんの呼び込み、会議やパーティーでの司会など。
そうです、昔の自分では「あり得ない」と思った仕事が大好きになっていたのです。
嬉しいことに、お褒めの言葉を頂いたり「またお願いします」と言われることもありました。

冷静に振り返ってみると、話す仕事に就いている友人を見て「神業だ」と思っていた私が、今、それをやっているなんて…と、なんとも感慨深いものでした。(幸い、天地もひっくり返りませんでした)

食わず嫌いだったものを食べてみたら美味しくて大好物になるように、仕事でも食わず嫌いだったものに挑戦してみたら大好きになることがあるんだなぁと、しみじみ感じました。

もし、あの時、あの職場で働いていなければ、今でも私は「わー、ムリムリ!」と人前で話す仕事は徹底的に避けていたでしょう。
そう思うと、人との出会いが良い御縁になり、その後も交流があるように、仕事との出会いも、良い御縁でその後の自分の人生に良い影響を与えてくれるのだなぁと、改めて人生の面白さを噛み締めています。



#想像していなかった未来

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