フランス24の袴田氏無罪報道から考える、日本に死刑制度が必要な理由はあるのか?
最初に言っておくと、私は英欧米白人が言えばなんでも従えタイプではない。真逆で、きつい皮肉がコアスキルなイギリス人やフランス人やドイツ人エリート達のきつい日本批判に、長年日本人としてプライドを持って、反論反撃してきている。
日本に死刑制度がまだある理由はあるのか?
ただ、海外メディアが、袴田氏が世界で最も長い期間拘置された死刑囚である事を強調して報道する視点、(なぜここを強調するかといえば、人道にもとるからだ)更に、このフランス24というフランスの国営国際ニュースメディアの英語版で、死刑制度を廃止したフランス人の視点で語られる袴田氏特集を見て、日本に死刑制度が必要な理由はあるのか?を改めて考えると、全く反論の理由が思いつかない事に気が付いた。
死刑制度を廃止したフランス人が指摘をするのは、
袴田氏が拘束されている間に85の国が死刑制度を廃止した
先進国で死刑制度があるのは、日本とアメリカだけ
世界的に死刑制度が犯罪の抑制になるデータがない事が証明されている
アメリカは、あれだけ銃犯罪大国なのに自衛のための銃保持を止めようとしない頑固さと死刑制度が一体で存続しているのは、わかる気がする。
けれど、イギリスやフランスは廃止をしているのに、なぜ日本だけに死刑制度が必要なのか、私には理由が全く思いつかない。せいぜい、幸運にも私も私の周囲の人たちも「えん罪」で思考宣告される事が無かったから、考えた事もなかった・・くらいだろうか。
日本の世論はどのくらいあてになるのか?
番組の中で、日本政府が死刑制度を廃止しない理由は、「世論が賛成しているから」だそうだが、
でも今の日本の世論とは、国際共通語の英語も話さず、現在の国際感覚が全く分からず、昭和の延長が当たり前で思考停止をしているから、「昭和からずっとある」ものに対して、自分達の利益に関係しない限り、問題を感じる「思考」がないだけで、否定する理由を知らないだけではないだろうか?(犯罪抑止力は無いのだから)
私も死刑制度に犯罪抑止力があるとは思えない。やらかす奴は、死刑制度に関係なくやらかす。こいつらぶちコロしたい。でも自分が死刑になるのは嫌だから我慢しよう・・なんて考える人、いるとも思えない。
日本でも社会に対して、
先進国で死刑制度が廃止されていないのは、日本とアメリカだけですよ。
死刑制度があっても犯罪抑止にならない事は、既に証明されていますよ。
イギリスやフランスや他の先進国は、非人道的だからという理由で死刑制度を廃止していますよ。
とちゃんと説明した上で、「あなたは死刑制度を支持しますか?」「理由は何ですか?」と聞いたら、世論の結果は違う気がする。
それでも「死刑を支持」する人の理由を聞きたいものだ。
日本人は人道意識と他者への共感意識を回復しなければならない
日本が人道的に問題がある死刑制度の廃止をする事ができれば、それは現在の日本人に欠落している、「人道意識と他者への共感意識の回復」への一歩となるだろう。
フランス4のアンカーパーソンは、日本人のYuka Royerさん。この方の91歳の袴田さんのお姉さんへの、尊敬とcompassion に満ちた温かみあるオンラインインタビューが良かった。
すると対極的に感じるのが、現在の日本人の人道意識の低さと、他者共感の無さだ。
人の上に立つ立場・仕事の人やジャーナリストで、こういう人に対する尊敬とcompassion に満ちた温かみある対応をする人は、日本以外の国でには少なからずいて、だから私も彼らとお友達になるのが好き。
また、英欧在住が長く現地に溶け込んでpopularな日本人では、往々にこのタイプが多い。
日本も戦前教育世代の方々は、こうした温かみと包容力ある人がいた。
のだけれど、現在の日本のマスコミや大学教授や政治家や産業その他、人の上に立つ立場の人に限定して、他者に対してcompassion に満ちた温かみある対応が出来る人が、どのくらいいるだろうか??明らかに激減する。
他者に対してcompassion に満ちた温かみある意識がなければ、世界で通用しないのみならず、誰もが置いてきぼりにされない暮らしやすい社会も出来なければ、世界で通用する産業や製品を生み出す事も出来ない。
人道意識や他者に対するてcompassion に満ちた温かさの欠ける社会とは、まるで冷戦時代の共産国家ではないですか。
私は、そんな日本社会になるのを、黙って指をくわえて見ている気はないから、日本の「人道意識と他者への共感意識を回復」に向けて、現在の意識高い系日本人の「人道意識と他者への共感意識の欠落」問題を、遠慮なく指摘しよう。
その第一歩として、この文章の前半は、法務省の「法務行政に関するご意見・ご提案」にポストをしておいた。