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「医道の日本」プレイバック! 第5回  GHQ旋風(1947年)

創刊より80年以上、通巻922号を数える中から、特に読者の議論を呼び起こした企画、時代を映し出した企画を振り返ります。

『GHQ旋風(1947年)』

「全国の業者十万がこのように団結したのは、あとにも先にもこの時だけである」

1947年9月23日、鍼灸業界の存亡にかかわる大問題が勃発した。

終戦後の日本を占領統治していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が、厚生省医務局の職員と板倉武博士ら医療制度審議会の6名の委員を呼び、鍼灸禁止令を思わせる厳しい要望を伝えたのである。

1.視覚障害者による鍼灸、按摩は全面的に禁止したい  
2.この際、鍼灸、按摩、柔道整復等療術は全面的に禁止を要望する
3.これらを現行医療制度の中で存続させたいのであれば、10月2日までにその理由を書いて提出すること

その3カ月前に発足した「日本鍼灸マッサージ師会連盟」(日鍼連)の幹部は、翌日の9月24日、今後の対応策を協議し、急きょ全国の県会会長に招集の電報が打たれた。

当時、「医道の日本」主幹だった戸部宗七郎は、300号記念の小史(1969年刊『現代日本の鍼灸』)のなかでこの出来事を、冒頭の言葉とともに次のように振り返っている。

「『医道の日本』は経絡も古典も語っている間がなく、この重大ニユースのキヤツチと全国読者への通報にやつきとなっていた。勿論月刊の雑誌では間に合わない、臨時速報としてハガキをもつて屢々読者の期待に応えたのであった」(原文のまま)

2009年8月号『医道の日本』の「業界にまつわるあんな疑問こんな疑問」のコーナーでは、奥津貴子氏(呉竹鍼灸柔整専門学校教員)がGHQ旋風について次のように述べている。

「(視覚障害者による治療が行われ、消毒の観念がなく、医療としての教育制度の整備もなく、治療効果の科学的根拠が証明されていない日本の鍼灸は)自分たちの医学である西洋医学とかけ離れている現状にありました。

GHQは、現状のままでは西洋医学を基本とした新しい医療制度に鍼灸を組み込むことはできないと判断しました。

そのため、GHQは日本側に問題意識を持たせ、自発的に鍼灸を改革させようというねらいで『改革案』という形で敢えて厳しい内容で伝えたと考えられます」

前近代的とされた日本の鍼灸を生まれ変わらせる起爆剤となった「GHQ旋風」。当時の『医道の日本』をはじめとする鍼灸専門誌は、GHQによる言論・情報統制をかいくぐって、関連情報を発信していた。

※本記事は、医道の日本社のWebサイトで2009年8月3日に公開されたものを元に作成しております。

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