アイドルと日々(ストリッパーのあの子)
深夜の音楽番組でやついいちろうが紹介していた曲を聴いた。
七尾旅人の「ストリッパーのおねえさん」という曲だ。
アルバム未収録の楽曲でありながら、ライブでは定番の曲らしいその曲は、七尾旅人が16歳の時、高知から上京してきた頃のことを書いた歌だそうだ。
一つの物語のように語られる歌を聴きながら、いつかノリで観に行ったストリップショーにいた一人の女性のことを思い出した。
彼女は若くはなくて、その日のトリを飾る大御所とも少し違っていて、でも私の中では圧倒的に美しかった。
ダサい音楽に合わせて昭和の香りのする衣装の、きれいな色の布を一枚一枚剥いでいく。少しずつ露わになっていく彼女の鍛え抜かれた筋肉やつややかな肌に汗がキラキラと光っていた。
私はとても彼女に興味を持って、あの日インターネットの情報の波の中にいる彼女のかけらを集めた。誰かの偏見や欲望に満ちた噂話の中にもネガティブなものはなかった。きっと誰もがイメージの中にあの圧倒的に明るい笑顔と美しさを留めているからだろう。
楽しそうに踊る彼女は、どうしてその仕事を選んだのだろう?
あんなにきれいな身体を保ち続けることはとてもとても大変だろうに、毎日の努力を怠けないでいられるのはなぜだろう?
私は彼女のことを何も知らないけれど、そのきれいな笑顔は、何も知らない10代のアイドルのキラキラしたそれとは違うと思う。
人の悲しさや寂しさを知っている人の笑顔だろう。
昔のちいさなあなたが 笑う顔を見たいな
昔のちいさなあなたが 泣いてる顔を見たいな
昔のちいさな彼女はどんな風に笑っていただろう?
昔のちいさな私はどんな風に笑っていただろう?
どんな風に泣いていただろう?
誰もが大人になり、純粋さを失って、
それと引き換えに手にしているものは寂しさだろうか?優しさだろうか?
メリークリスマス。
今日もどこかで誰かに夢を贈るあなたが、
健やかに笑って過ごせる日々でありますように
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