アイドルと日々(our summer)
生きていればそれで幸せ
生きているだけでとてもラッキー
私は欲深い人間なのでそんな風には思えない。
たくさんお金が欲しいし、好きなものをお腹いっぱい食べたいし、欲しいものは手に入れないと気が済まないし、私を大切にしなかった人たちを跪かせて後悔させたい。
私はいつでも私利私欲にまみれている。
突然つくりたくなった夏のプレイリストの中にとくに深く考えずに入れた、懐かしい曲たちを聴きながら帰った。
蒸し蒸しした、夏の夕暮れの空気の中にとてもよく似合う曲たちは、だらだらと過ごす夏休みのトキメキを思い出させる。
だけど恋をした時、“これから待ってる世界”に胸を踊らせるトキメキを歌っていたあの人の、新しい歌を聴くことはもう二度とない。
そしてまた別のスターの“理想郷”という意味の名を持つ私の夏うたは、配信停止になりプレイリストに追加することさえできなかった。
好きな曲を好きなだけ聴くことができるのは、とても幸せだ。
そしてその幸せをくれるスターたちが今日を元気に生きているということは、それだけでとてもとても特別なことだ。
私の大好きな人は今日、どんなことをして過ごしたのだろう。
大好きなワールドワイドスーパースターたちのうち2人は友人たちとの時間を過ごし、一人は美術鑑賞をし、一人は家でゴロゴロしている写真をSNSにUPしてくれた。世界を駆け回る7人の男の子たちが、普通の休日を過ごしているということはとてもとてもかけがえのないことだ。
帰り道、絵に描いたように、赤く燃えるような色をした夕焼けを見た。
その時私の鼓膜に響いていた歌声もまた、二度と聴くことのできない声だ。
悲しい時に浮かぶのは
いつでも君の顔だったよ
そんな歌を歌うとき、彼は誰の顔を思い浮かべていたんだろう。
彼に愛されていたその人は今どこでどうしているのだろう。
今の私はとても滑稽だけれど、この歌を聴く時、明確にひとりの人を思い浮かべる。恋人でも友人でもないアイドルの、かわいい横顔や猫背の背中を思い出して、あたりまえのように訪れる、新しい明日に胸を踊らせる。
それがどれほど特別なことだろう。
今日も正しくお腹が減ること。お風呂に入るとスッキリすること。
喉を通るお酒が美味しいこと。
悲しい時に思い浮かぶ人が、この世界のどこかで同じ時間を元気に生きていること。
私の世界にはとてもとても特別でスペシャルなことが溢れている。
人を羨んで妬み、言いがかりをつけたり、感情のままに苛立ちを周囲の人にぶつけたりするかわいそうな人がいるこの世界で、そんな人たちと関わるのはもううんざりで、こころの電波を圏外にしてどこか誰も私を知らない国で暮らしたい…とか思うけれど、そんなことにストレスを感じることさえ、ある意味祝福されていることなのかもしれない。
生きていればどうにでも変えることができるから。
昨日みたインタビューで、私の大好きな人は“これからの目標”について、
“一日一日 感謝して生きることが目標”だと話していた。
何を聞かれても本当に幸いなことでありがたいと思っているという話ばかりくりかえしていて、悟りでもひらいたのか?とこころの中でふざけて思っていたけど、今は彼の言葉の重みがとてもよく分かる。
生きていればそれで幸せだ。
大好きな人が、きっと幸せを感じながら生きている。
写真を見て美しいと思ったり、友達といろんな話をしながらおいしいご飯を食べたり、時にはソファに寝転がって、同じささやかな時を過ごす。
この世界はとてもとても幸福で満ちている。
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