アイドルと日々(너의 목소리)
大好きなその人は、私は私の人生を幸せにして下さいと言ったけど、私は私を幸せにできているのだろうか。
忙しなく過ぎていく生活から抜け出そうとすれば引き戻されて、それでもいいかな…などとぬるま湯に浸かっていると必ず、やっぱりあの時行動していたらよかったと思う時がやってくる。
そして未来をどうしようかと適当に考えながら、日々をやり過ごしているうちになんとかなってしまうから、私はまた何も変わらない一日を過ごす。
休日、2020年をどんな年にしようかと占いの本を買いに行った。
私を導いてくれるせんせいを選べなくて1時間ぐらい迷った。
その間、女の人が現れて、するすると私が迷っていたものを2冊とも手に取り、風のようにレジへ向かって行った。
そのスピード感はとてもとても半端なかった。まるで何メートルか手前から誰の本のどのシリーズの、どの星座がそこに並べてあるのか見えていたかのように、するすると風のように去って行った。なぜそんなに…と思った。
2冊もチェックするほど占いが好きだけど、それを見ている姿を人に見られるのが恥ずかしいのだろうか?
だとしたらそこに立ち尽くしている私はなんなんだろう?かなりの強心臓だ。
私はとある人の本を毎年買っているけれど、それは私が新しい年を迎える前にする習慣だ。やさしい言葉が並べられたその本は、まるで映画の予告編のように私の未来をざっくりと予告してくれるからおもしろくて好きだ。だから私にとってそれはおみくじのように気軽なものだけど、彼女にとってのそれは、もしかすると救いを求めるように手に取った重要なものだったのかもしれない。
ふと思いついてカフェに入ると、私の大好きなホリデイシーズンだけのメニューが始まっていた。
1年ぶりのそれはとてもとてもおいしくて、少しだけ幸せを感じた。
友達にもらったブランドもののハンドクリームを塗ったら、とても良い香りがして、私はまた一つ、幸せを感じた。
大好きなコーヒーを飲みながら、近くにいる人たちを見た。1人で私のようにぼーっとしている人と危うく目が合いそうになった。危険だ。友達同士でいる学生が何かをコソコソ話が響いていた。楽しい話なのか、誰かの悪口なのかは分からない。勉強をしたり仕事をしている人たちが多く、とても静かな店内だったけれど、どこかから子供がいやだいやだとゴネる声が聞こえる。何を話していたのかは分からないけど、かすかに聞こえた親の声はイラついていた。
子供はわがままで面倒だ。うるさくて疲れる。だけど、この世にたった1人の自分とよく似たかけがえのないその子を、どうしてもっと楽しませてあげられないのだろう?どうして納得のいくように話し合ってはやれないのだろう?
幸せなはずのその人を私はとてもかわいそうだと思った。
思い返せば、私はよく今が最悪だと思って過ごしているけれど、さざ波が立つ事があっても、最悪な日なんてなかったような気がする。
ムッとすることはあっても顔も見たくないほど嫌いな人はいないし、それなりに毎日が少しだけ良い日だ。
どんなに疲れていても、帰り道に聴く愛おしい歌声があれば幸せだ。柔らかな毛布の中で1日の終わりに会う、大好きなその人たちをみると心地よい。好きな人がこの世界のどこかで元気に過ごしていて、毎日のように、いつかのかわいくてかっこいい姿を見せてくれるのは、とてつもない奇跡だ。
その日、まだ明るい空に浮かんだ白い月に、
いなくなってしまったあの子を思い出した。
美化することも蔑むことも、何か意見をもつことは自由なのかもしれないけれど、今さら何を言ったって遅いから、私が彼女について語れることは何もない。
だけどその時、彼女や彼女の描いた絵の美しさを思い出したのは、聴いていた歌声がその月の乾いた白色とはちぐはぐに、とても柔らかく温かかったからかもしれない。
ジウンちゃんの声はまっすぐに空に伸びるように透明でゆらゆらと揺蕩い、美しく、とてもとても温かい。
それはダサいTシャツを着ていても、ダサい髪型をしていてもとびきりキュートで、のんびりしていて、とても良い人なのにどこか頑固な彼女の人間らしさが、その声に表れているからだろう。
“私はそこにいるよ”と柔らかな声がして見た月は、
白くて少し悲しそうで、あまりにもきれいな色をしていた。
そしてその日は私にとって、少しだけ良い日だった。
(나의 Princess)
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