迫り来る、産業の空洞化
脱炭素社会へ向かうなか、脱炭素を行わないことで生じる問題については私も過去に触れました。(過去の記事はこちら)
その中の一つ、産業の空洞化について、本日の一面に取り上げられています。
そこで私も今一度この件について語りたいと思います!
日経新聞を投資に活かすことを目的に、気になった記事を取り上げていきます。
投資初心者たる私が、その記事を見て、調べ考えたことを発信していきます。
ただいま毎日更新中!
GXの衝撃(2)産業立地、脱炭素で再編:日本経済新聞
産業の空洞化って?
多くの方は学校教育の中、社会科の授業などで聞いたことがあることと思います。
簡単にいうともの作りを外国で行うと言うことです。これによって、自国内の工場は減り、同時に雇用も減ることになります。
最近、アメリカは特に雇用について注視していますし、これは非常に重要な問題です。
そしてなぜこれが起こるのか一言でいうと、コストカットのためです。
例えば真っ先に浮かぶのは人件費でしょう。人件費が安い国で生産した方がコストを抑えられます。
もう一つの要因は為替相場です。例えば日本では円高、円安と日々耳にしますよね。円高になると、輸出に不利になります。逆に輸入には有利になります。そのため、外国で生産をする方が利益を挙げられるというわけです。
脱炭素による空洞化
なぜ企業が自国から工場を引き上げるのかを先の章で開設しました。
全てはコストダウンのためです。ということは、もちろん脱炭素による空洞化もコストダウンのためです。自国で生産を続けて、炭素を排出するということがコストになるのです。
ここでキーワードとなるのが“国境炭素税”と呼ばれる一種の関税です。
国境炭素税の説明の前に、炭素税というものについて解説します。
炭素税とは
炭素税とはカーボンプライシング(CP)の一種で、企業活動のなかで生じた二酸化炭素量に応じて課税する制度のことです。1990年に世界で初めて、フィンランドが導入した制度です。
日本では地球温暖化対策税として課税されています。
フィンランドと日本で、その税率を単純比較すると、2017年時点で比較してもフィンランドは30倍ほど高いようです。
ということは、フィンランドで作るより、日本で作った方がコスト安くない??
という疑問が湧きますよね。同じ量の炭素を排出しても、フィンランドの場合30倍高い税金が課せられるのですから。
その通りです。この税率から、炭素排出を抑えたとしても日本で作る方が安くなってしまいます。
そこで導入されるのが国境炭素税です。
国境炭素税とは
先ほどのように、より環境を意識し、規制を厳しくしている国ほど、製造コストが高いということになってしまいます。
そこで、その不公平さをなくすために関税のような形で国境炭素税というものを外国企業に対して課します。自国企業が輸出するときは、逆にお金を返します。
より詳しく説明すると、国境炭素税とは、自国と貿易相手との国の炭素税率を比較し、その差分を追加課税、あるいは還元する制度です。
つまり炭素税率が高い国(フィンランド)で生産したものを、炭素税率が低い国(日本)に輸出したとき
その税率の差分が還元されます。
逆に、炭素税率が低い国(日本)から、炭素税率が高い国(フィンランド)に輸出すると、炭素税率の差分が輸出企業側に課税されます。
この制度によって、各国で異なる炭素税率を平等になるよう調節することで、自国の企業が不利にならないように対策されています。
なぜ空洞化につながるの?
これをEUや中国という大きな経済圏、国が実施しようとしているからです。
貿易量が多い国がそういったことを準備し始めているために、企業への影響は計り知れないのです。
特に日本の場合、電力のほとんどは火力です。すなわち、電力を用いているだけで、炭素排出量はかなりのものとして算定されます。この場合の炭素排出量を抑える対策は下記の通りです。
①電気を使わない
②火力発電から再生エネルギー発電へ転換
③排出量分炭素を何とかして回収する
④再生エネルギー発電が普及した国で生産
この中で、どれが一番楽にできると思いますか?時間や、コストから考えてみましょう。
④ですよね。
電気を使わないようにするには相当なイノベーションが必要ですし、発電に関して一企業で取り組めることは限られています。また、炭素の回収技術は途上で、まだ実用化には至っていません。
このような背景から産業の空洞化につながっていくのです。
お金を向けるならここ!
こうした現状を受け、北欧に生産拠点を動かしている企業もあります。
脱炭素、カーボンニュートラルに向けて舵を切った企業もあります。
さらには、風力発電や太陽光パネルなどの仮想発電所に向けて準備を進めている企業もあります。
投資家の視点では、どうするべきだと思いますか?
まずは、脱炭素、カーボンニュートラルに向けて動き出していない企業への投資は控えるべきですよね。
そして次に、脱炭素、カーボンニュートラルの技術に注力する企業に投資することでしょう。
脱炭素対策はすぐにどの企業もやらざるを得なくなります。企業の生き残りのためには間違いなくそうなります。
その視点から注目したい銘柄は以下の通りです。
風力発電関連
・清水建設
・丸紅
・ENEOS
・日立
仮想発電所関連
・東京電力ホールディングス
・関西電力
・ディー・エヌ・エー(DeNA)
・パナソニック
この他に、トヨタ関連も世界の目に晒されていることもあり、かなり注力しています。
特にトヨタ自動車は、燃料電池車や全固体電池など、蓄電池関連の特許も多く取得しており、間違いなく先頭に立っています。