【Project Focus】単線かつ老朽化した橋を架け替え2車線にして幹線道路を強靭化< 無償資金協力 >
プロジェクト名:マダガスカル 国道二号線(アンタナナリボ ‐ トアマシナ間)におけるマングル橋及びアンツァパザナ橋改修計画
コンサルティング:(株)長大、(株)建設技研インターナショナル
施 工:大豊建設(株)、(株)鴻池組
マダガスカルの国道二号線は、首都アンタナナリボと、同国最大の商業港で国際貨物の約90%を取り扱うトアマシナ港を結ぶ。同港は国際協力機構(JICA)の円借款による拡張事業が進行中で、2035年には国内向けコンテナ貨物の荷揚げ量が、現在の約4倍になると予想される。そのため、同国の国家開発計画(2015~19年)でも、二号線の沿線は経済成長をけん引する戦略的地域と位置づけられた。
このように、二号線は貿易・物流を支える同国で最重要の幹線道路だが、途中のマングル橋、およびアンツァパザナ橋は1車線しかなかった。これら2カ所では車両がすれ違えないため、将来、交通ボトルネックとなり円滑な物流を妨げる要因となることが予見された。さらにこれらの橋は、建設から50年以上が経過して、老朽化も進んでいた。
そこで、JICAの無償資金協力により二つの橋を架け替え、2車線化する改修計画が始動した。共同企業体の代表として、(株)長大が2018年5月に事業の準備調査を行い、19年10月から詳細設計、約2年後の21年から施工管理業務を担っている。
2023年9月、先行してアンツァパザナ橋が開通し、今年1月には全区間が完工。その翌月にマングル橋の開通式が行われ、アンドリー・ラジョエリナ大統領、阿部康次特命全権大使、田中香織・JICAマダガスカル事務所長、長大の野村幸司常駐監理者らが参列した。
上記2カ所の橋の2車線化が実現したことにより、国道二号線のボトルネックが解消され、老朽化に伴う交通制限もなくなった。既存橋は歩道がなく危険だったが、新橋は歩道を設置し、地域住民の安全性向上に配慮した。同国の最重要幹線が強靭化され、今後の経済発展や生活の質の向上に期待が高まっている。
本記事掲載誌のご案内
本記事は国際開発ジャーナル2024年10月号に掲載されています。
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