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【食料安全保障プロジェクト】農家主体による灌漑開発により、農業生産量の確保と生産性の拡大を目指す

プロジェクト名:持続可能な地域密着型灌漑開発プロジェクト(E-COBSI)
実施地域:ザンビア
(株)三祐コンサルタンツ


農家の手で建設から管理まで

 ザンビアは、国土が日本の約2倍という広大な国であり、農業には就業人口の約7割が従事し、鉱業と共に経成長を担う重要なセクターである。一方で、雨期と乾期が明確な気候であることから、1年を通して水を確保する事が難しい。また、国土の約6割が作物・家畜生産に適しているとされるが、有効利用されているのはその約16%程であり、生産量の確保と生産性の向上が課題とされている。そこで、農業普及員の指導の下で農家自身の手により建設から維持管理までが可能な小規模灌漑の開発促進による農地の拡大が必要とされている。本プロジェクトは、パイロットを含む先行案件の成果を踏まえ、ザンビア国内での面的拡大と質的向上を目指し、同国の食料安全保障に貢献するものである。

水がもたらした小規模農家の食変化

 小規模灌漑(COBSI)によって水にアクセスできるようになった農家の生活が、劇的に変化する様子を目の当たりにした。灌漑水が使えることで園芸作物を作れるようになり、野菜や果物の摂取量が増えた。さらに市場志
向型農業振興(SHEP)との組み合せが生計向上につながる。また、灌漑水の多目的利用により、家族の手洗いの慣行や内水面養殖に取り組む農家も増えた。
 プロジェクトでは女性も含む農家が村で入手できる資材を使って“簡堰”を建設し、長い水路を掘削。“簡易堰”と言うが簡単にはできず、農家自らの労力が必要だ。それでも農家は水を得るために、普及員から学んだことを実践している。改めて水が人の生活にもたらす効果を実感している。

簡易堰の建設方法を学ぶ普及員
市場調査の方法を実際の市場で学ぶ普及員
地元で入手可能な資材のみを使って建設された簡易堰
市場調査に基づき選定し、普及員から栽培方法を習って収穫したスイカ

本記事掲載誌のご案内

本記事は国際開発ジャーナル2023年6月号に掲載されています。
(電子版はこちらから

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