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8月。真夏の気になるサイト9選。 / 2024

こんにちは、iDID Magazine編集部です。
先月の時点ではまだまだあつい、夏。でしたが、台風が過ぎ去ってから少し涼しくなってきましたね。日中は残暑も続いてはおりますが、夜は少しずつ快適に眠れるようになってきました。もう少ししたら、秋。さんまにさつまいも、なすにしいたけ。おいしそうな季節、到来です!

そんな今回は、少し時間を逆戻りして。まだまだ暑かった夏。8月にリリースされたサイトをご紹介させてください。今回も面白いサイト目白押しです。
それではどうぞ!


1. ウメトク株式会社|新卒採用

一枚絵ですべて伝え切っているのダ

採用サイトはメインビジュアルの見せ方が重要と言われていますが、この採用サイトは、MV一枚で伝えたいことが完結しているところが特徴です。MVエリア内にロゴ、ボディコピー、メインコピーを集約。マスキングされた背景には現場の映像が。このMVのグラフィック広告のようなつくりが一枚絵のように美しく、ここに「引き」も「伝えたいこと」も集約されているんです。

またコピーライティングも印象的で、特殊鋼の専門商社だから「ワレワレハ特殊ダ。」なのですが、特殊=マイナーであるところを反転。自分たちで「特殊ダ。」と宣言することでの「強さ」と、コピーを宇宙人の定番フレーズ風に変換することで、つい口に出して言っちゃいたくなる「キャッチーさ」を感じました(口にしたくなりますよね?)。ZIZOさんが自社でもやられている「ワクワク名刺くじ」をインターンシップや合同説明会につなげており、自社での実験的な施策をクライアントワークにも活かしているところも印象に残りました。

制作:ZIZO
Director: Hiroaki Kano @canoooe
Designer: Atsushi Togami
Copy Writer: Ryohei Kato(NEWSTORY)、Hiroaki Kano
Photographer: Nandin Yuan @NandinYuan
Producer: Satoshi Kawaguchi

2. 株式会社delta

強さとスタイリッシュの共存だ

カウントアップして「200℃ START UP」の文字。フォントサイズもコピーも強し。200℃だからといって情熱に燃える熱さではなく、鉄板のように目には見えにくいけど確かにあるクールな熱さ。背景の湯気も伴ってまさにスタイリッシュで「静かなる熱気」を感じるビジュアルです。飲食店運営をしているスタートアップなのですが、全体の印象としては、飲食店よりもスタートアップ感に比重が置かれていて、それが先述のスタイリッシュなビジュアルイメージにつながる。海外展開を見据えた会社であることにも接続されていきます。人材採用やパートナー企業とのリレーション強化が軸にあったとのことですが、求める人材像とのマッチングが考えられたビジュアルやコンテンツであることが伝わってきますね。

また、「売上高の成長比率」「従業員数成長比率」に並んで「もんじゃ焼き販売数」があるのが面白いです。会社が成長していることがリアルに感じ取れて、数字ってやっぱり強い。

Client:株式会社delta
Produce, Direction, Planning:川﨑 保(MEFILAS)
Art Direction, Design:神杉 遥介(MEFILAS)
Design:長崎 健斗(MEFILAS)
Technical Direction:川上 直毅(MEFILAS)
Programming:杉若 玲子(MEFILAS)
Copy Writing:久岡 崇裕(parks)
Photography:難波 亮

3. デニム祭 - 45R

伝統と現代のミックス感覚が気持ちいい👘

勢いのあるMVですよね。この筆字、よくみると「デニム祭」と書いてあるんです!一文字の中にデニムを挿入するセンス。まさにデニムをねじ込むって感じで、伝統と現代のミックス感覚が楽しいです。このロゴを考えた人、天才です。このMVの強さに対してナビゲーションまわりは小さくシンプルに配置されていて、全体をスタイリッシュに引き締めています。現在進行中のイベントが一目でわかるスケジュールの見せ方も面白いですよね。そして、江戸絵画風のデニム紹介もめちゃくちゃ楽しくてテンションがあがる!祭りですから、やっぱりテンションがあがるサイトであってほしいですよね。この瓦版、全国の45R店舗にて期間中配布している模様。欲しいですぞ…!

Client: 45rpm studio co., ltd. @45R_official
Creative Director, Art Director, Printing Director: Masashi Fujiyoshi
Art Director, Designer: Tetsu Yamakami @2ett
Producer, Project Manager: Umi Teranishi
Producer: Tomohisa Funahashi (COPILOT Inc.)
Planner, Writing Direction: Masaya Yamamoto (ingraft inc.)
Project Manager: Asami Hotta (COPILOT Inc.), Tomoko Matsuura (COPILOT Inc.), Yukiko Suzuki (COPILOT Inc.)
Front-end Developer, Back-end Developer: Takeshi Tanaka (Equal Studio inc.) @__Equalstudio
Printing: CAPPAN STUDIO

●Illustration Producer: Eiichiro Ichikawa (PHIL / KONJAKU Labo.)
Illustrator: Masumi Ishikawa (KONJAKU Labo.) @konjakulabo
Assistant: Kaihei Miyata (KONJAKU Labo.)

4. わかすアプリPresents バスタイムレディオ

沸野リツさんの声にいやされよう🎤

ノーリツ「わかすアプリ」のプロモーションサイト。架空のラジオ局、架空のキャラクターを使って「お風呂時間を楽しくするための架空のポッドキャスト」が聴けます。エピソードは全部で5つ。例えば#2「お風呂掃除でラクしたい!」では、ノーリツのお風呂掃除に関する商品への動線が設けられていたり、最後のエピソードでは「わかすアプリ」をDLすることで聴けるようになっているなど、コンバージョンも考えられたコンテンツになっています。

こちらのサイトを拝見して感じたのは、「ウェブ×聴くコンテンツ」の新しい可能性。ポッドキャストやRadiko、Audibleなど、耳から体験するコンテンツが増えてきている状況で、他のことをしながら体験できる「ながら体験」コンテンツは今後もっと増えていくはず。今後どういうコンテンツが出てくるのか、編集部も期待しています。編集部おすすめポイントは、パーソナリティ沸野リツさんの「応援のひとこと」。沸野さんのことが好きになっていくことうけあいですよ!

制作:MASKMAN Inc.(企画、キャスティング、録音、脚本、キャラ開発、CG制作、サイトデザイン、実装プロデュースおよび制作)

5. 株式会社オプロ

わかりにくい事業内容を、わかりやすくモチーフ化する🔷

未だないピースを発明する。というメインコピーを据えて「多種多様なブロックの隙間にはまるひとつのピース」を表現したアニメーションを展開しています。「ビジネス関連のあらゆる書類=多種多様なブロック」へと変換し、これをモチーフとして展開していくわけですが、「言葉にするとわかりにくいもの」をわかりやすくモチーフ化しており、それがメインコピーと相互補完しあって伝わりやすい。これが把握できると、他のエリアで展開されるブロック表現も、ただの図やアニメーションではなく、言葉を補完するものとして理解しやすくなりますね。モチーフを活用したミッション・ポリシー・経営理念の図解もとても面白くてかわいさすらあります。

Creative Producer: Masayuki Imagawa
Producer: Satoshi Taniai
Creative Director, Copy Writing: Kota Hoshino
Design Consulting: Kota Hoshino, Saki Tsujihara
Web Director: Meito Shirasaki, Takeshi Kudo
Art Director: Kazuha Nakamoto
Web Designer: Kazuha Nakamoto, Kei Tamai
Developer: Chinami Hagino
Developer support: MOPED inc.
Web Animator: Kakeru Mizui
Photography: Takeshi Kudo
Design Advisor: Shogo Tabuchi

6. 灯ろうに込めるメッセージ

16331の灯ろうがオンラインで流されました🙏

8月6日の広島へ、平和への想いを届けるサイト『灯ろうに込めるメッセージ』。灯ろう流し自体は1947年から行われてきたのですが、戦後70年である2015年からはオンラインでも灯ろうを流せるようになりました。投稿されたメッセージは広島中の施設やサイネージでも流れる仕組みになっており、どの場所にいても、灯ろう流しに参加できるところが特徴です。

平和を祈りたい気持ちがあっても現地まで赴けない人、想いをどう形にすればいいか分からない人もいる中で、このウェブサイトでは「シンプルなアクションひとつで灯ろうを流し、広島の平和への想いを残す」ことができる。この「想い」と「行為」のマッチングができているところが素晴らしいです。

メッセージ入力時には「今からできそうな平和へのアクション」を選択することができて、戦争や平和のことをもっと身近に意識できる。それらは世代別にデータとしても閲覧可能で、みんながどう考えているのかがリアルにわかるところも良い。Re:designさんのポストに「デザインの寄付」とありますが、制作会社、大学、個人などたくさんの有志の方の「想い」によって継続しているところにも注目したいです。

Produce / CD:久保田 涼子(第三世代が考えるヒロシマ「  」継ぐ展) AD / Dir:渡辺 祐樹
De:金 由佳
Dev:磯 大將 / 薄井 拓朗
TD:櫻井 雄大(桃山学院大学)
System Develop:深井稔伸 / 山口秀康 / 藤倉日菜乃 / 北陽悠生 / 土田彪 / 村田寿紗 / 金澤正人都(桃山学院大学テック部)
Illustration:津久井 智子(HANKO ART)
Music:鎌田まみ(Pianist / Musician)

7. Global RISOART Exhibition

作家さんの作品の見せ方が特徴的でした🖼️

MVで作家さんたちの作品がトランプのように並んで、スクロールすると延々と作品を流し見できる(並びは毎回ランダムです)。作家さんの作品を一覧できるサイトとして、新しい見せ方だと思いました。詳細ページにいたるトランジションも、リソグラフの質感の出ているアニメーションで気持ちいいのです。

詳細画面では、作品の全体だけではなくポイントになるディテールを切り取って紹介していたり、見せ方の細やかさが良いですね。全体的に英語がメインになっているのは、海外向けも想定しているのでしょうか。Tell me what your like country.(あなたの国の好きなところを教えて)という問いが最後にあって、作家の視点での各国のカルチャーを感じ取れるところ、すごくいいと思いました。

制作:ondo inc. (@ondo_new)

8. VISIONGRAM

「視覚障がいの視野」がサイトのベースにある

視覚障がいを可視化するツール「VISIONGRAM」のサイト。MVのビジュアルが、まさに「視覚障がいの方の視界」を再現したようなものになっているところに注目しました。このMVでの「見えにくさ」がビジュアルとしての強度になっており、またそれが「視覚障がいの方の視界」であるという、アプリの体験性にもつながっている。

VISIONGRAMの目的は「視覚障がいを可視化する」こと。伝わりにくい「視覚障がいの視野」をツールを通じて知ることで、視覚障がいの方の気持ちを知ることができ、擬似的でありながらも近い目線を感じることができる。自分がそれまで「視覚障がいの人に世界はどう見えているか」をまったく感じてこなかったことに気づいて驚きました。

クリエイティブディレクター志村 和広(電通), 阿部 達也
アートディレクター田中 せり(電通), 市原 鉄兵
プランナー丸山 忠彦(電通), 関 遼(電通)
プロデューサー大曽根 一平(電通), 藤井 統吾(電通), 風間 雄亮(電通), 西山 進(電通), 林 宏介
ストラテジックプランナー小田 健太(電通)
デザイナー今 稜輔
テクニカルディレクター栗原 泰隆, 高橋 綾乃
フィルムプロデューサー進藤 貴史(シンディ)
フィルムディレクター加藤 友之(電通ライブ)
フォトグラファー平賀 敬人(フリーランス)
メディカルスーパーバイザー(ドクター)辻 拓也(眼科医 / 日本視覚障害者柔道連盟クラス分け部会部会長)
インクルーシブスーパーバイザー初瀬 勇輔(日本視覚障害者柔道連盟)

9. BMSG FES’24

BMSGの自社ビルを模したサイト設計に🏙️

音楽プロダクションBMSGのフェスサイト。ティザーサイトからすでに話題になっていました。BMSGは2024年、自社ビルを購入したことで、ファンの間でも話題になっており、現地に足を運んだファンもいたそうです。今回のサイトが「ビル」をベースに、各階を移動できるようになっている仕組みになっているのはそのためで、このファンが求めている「自社ビルに入ってみたい」という気持ちに応えたようなサイトになっているところは、toteさんならではの仕業だと感じました。

今回の本サイト公開時も4000いいねを超えるのリアクションがあり、BMSG所属のアーティストのファンの多さを物語るとともに、ファンが喜ぶようなサイトになったことが分かります。ビル内にある「サウナ」が今後どうなっていくのか、気になっております。

Client:BMSG @BMSG_official
Produce:iDID @iDID_team
Design / Development:tote inc. @ToteWebdesign

おわりです!

まとめサイト、8月号、いかがでしたでしょうか。
今回も少しだけ紹介したサイトのことを書かせてください。

『デニム祭 - 45R』ですが、「デニム」が一文字におさまっているのを発見するだけで、なぜこんなに楽しくなるのでしょうか。痛快さなのでしょうか。この感情のなぞ、もっと追いかけたいです。教えてください。

『バスタイムレディオ』は耳で聞くコンテンツの可能性と架空のキャラクターに感情移入する感覚。両方とも興味深く、もっとウェブサイトで「聴ける」コンテンツを見てみたいです。

『灯ろうに込めるメッセージ』は「気持ち」と「システム」のマッチング。
『VISIONGRAM』は他者のことを知るにあたって同じ目線になることを、言葉ではなく、視覚で再現しています。これもある種のシステムであり、この「気持ち」を「システム」でどう補っていくか、というのはこれからの時代においても大事なことなのかも、と。

今回もたくさんのウェブサイトを拝見させて頂きました。やっぱり色々なサイトの背景やなぜこういうクリエイティブになったのかを考えたり調べるのは楽しいですね。

このまとめサイト、2023年の3月からやっておるのですが、ただnoteにアップしているだけなので、もっとみなさんに知ってもらえるように何か活用していけないかなと考えております。

ではまた来月お目にかかりましょう。
iDID Magazine編集部でした!

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