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腐れ外道の城2ー2
「その噺では、なぜ三郎兵衛様が旗の由来を嫌うのかが解らんではないか」
「もう旗の由来は申しました故、これ以上はよろいしいでしょう」
「よろしくはないわい、儂の興味はすでにそこにはないわい、何故に三郎兵衛様は旗の由来を嫌うのか、そこが知りたい、なっ甚六よ申せ申せ、もうそこまで聞いて引くなど出来るか」
甚六は頑なにそれ以上を語ろうとはしなかったため、暫く二人の押し問答が続いたが、ある瞬間を境に固かった甚六の表情が引きつり、俯いてしまった。
いつの間にか三郎兵衛が、聞かせろ聞かせろと強請る甲四郎のすぐ後ろに立って居たのである。
「くっ、栗原様・・・三郎兵衛様がいらしておられまする」
甲四郎は驚き、口に入れていた飯の大半を吐き出し、振り返ると、そこには戦場にいたときとは別人のような穏やかな表情を浮かべた三郎兵衛がこちらを見て立っていた。
甲四郎は急ぎ姿勢を正し、地面と一体化するかのように土下座をすると、三郎兵衛は、よいよい顔をあげよ、と微笑み、その場に膝を突き、甲四郎達と同じ位置にまで顔を下ろしてきた。