100de名著 マルクス「資本論」

100分 de 名著「資本論」

 全4回見たので感想をまとめる。

 さて今回、難しそうと少しためらったが、やはり見てよかった。
 指南役の先生の話も非常に具体的でわかりやすかった。生活に則した例えを出してくれるところとか、「先生だ!」と感動した。
 話を戻す。

 なぜ非正規雇用が増え、格差が生まれたのか、そういう理由を理解できたし、その一端を自分ですら担っていたことにとても驚いた。

 けれど確かに、私にはずっと「機械に労働のなかみ(技術や知識)を奪われて、無知で無力な機械もどきになっている」という違和感はあった。便利な世の中は素晴らしいが、今の私は、奴隷より優れた奴隷になっている。揺るぎようのない事実を再確認してとてもショックだった。
 取り組みがいがない、学びがいがない、想像力も知識も技能も求められず、無知な人材を育成する気もなく……、なんとなくクラーク回で見てぞっとしたオーヴァーロードの作る世界を思い出した。
 もはやあの領域に足を踏み入れているのかもなぁ……。

 効率化によって、労働者が安価にされている。
 全てがそうではないだろうが、見ていてそう感じた。そして労働者は賃金が安いことにより、安価なものしか購入できない。そして安価であるために、より効率化が求められる。

 見たあとウンウン考えながら100円ショップに立ち寄り、私は突然ハッとした。
 まさかこれか?!
 低賃金をもたらしているのは、低賃金で働く私の安価な商品を求める需要も関わっていた?! いやもう鶏と卵どっちが先か〜のような話だが、安価な商品を消費し続けることが無限ループを引き起こす一因かもしれない。
 そう考えてぞっとした。
 なにせ、出口がわからないのだ!
(まあ当然、事実はわからないが…)

 ただ、4回目で先生が行っていたように「エコロジーだから」で購入の選択をするのはまた安易だと思った。
 自分で意識してできることはなにか。
 そう考えたときにものすごく思ったのは「本当に購入が必要なのか、真剣に考えるときかも」だった、高価だから、安価だからではなく、マルクスの言う「賃金=生活費」を意識して「必要に応じて」買い物をしたらいいんだろうなぁ。

 いま、私は生活するうえで必要最低限+文化的な生活を送るに必要な分を賃金として労働している。幸いにもその賃金で趣味のものを買い、貯金をし、NISAをやる余裕もなんとかある。
 昨日までの私は、漠然と「今後はもう少し高い賃金がもらえるようになりたい」と考えていた。けど、それって本当に必要なことなのか?
 資本はあればあるだけいいだろう、困らないだろうと、確かにそう思う。思うが、それって結局、私自身の豊かさにつながっていくのだろうか?

 ともあれ。
 私自身は、私の労働を見直す良い機会になった。いやでも長生きするのであれば、豊かな方が良いに決まっている。その「豊かさ」を再度自らに問いかけ、考えていこうと強く思った。
 番組スタッフさん、先生、ありがとうございました。

 終わり。