仕事の“質”が高いとは「センサーが良く」「描画力がある」ということ(後編)
こんにちは、イデトモタカ(@idetomotaka)です。
前編を未読の方は、さきにこちらをご覧ください。
今回は、仕事の「質が高い」とは「センサーが良く」「描画力がある」ことだとわかったところで、ぼくらにできること、やるべきことはなにか?
……の続きからスタートです。
■5秒で読みたい人向けまとめ
■結論、優先すべきは“センサーの良さ”
より質が高い仕事をするために「センサー」と「描画力」のどちらを先に磨くべきかといえば、答えは「センサー」です。
そもそもセンサーが良くなければ、どんな描画力を磨くべきかがわかりませんし、センサーが良くなれば描画力の必要性は自然と見えてきます。
ではどうすればセンサーを磨けるのかですが、それには2つの方法と1つの資質がポイントになります。
■「好きなことをしろ」は正しい
センサーを磨く方法の1つ目は「他の人の質の高い仕事を体験する」ことです。他の人の仕事の質の高さは、そもそも自分のセンサーが良くなければわからない……というパラドクスはありますが、それでも質の高い仕事にふれるほど、センサーは確実に磨かれていきます。
おいしい料理を食べていると、自然と舌は肥えていきます。そうすると、いざ自分が料理を作る側になったときでも、「違い」や「不足」を感じられるものです。
センサーを磨く方法の2つ目は「好きで仕方がないことを(仕事に)する」です。そのことばかり考えてしまうような、なんでもかんでもつい関連付けてしまうような、感度ばりばりのアンテナを張っておく。それはやっぱり「好きなこと」でなければ難しいです。
■センサーを磨く資質とは?
がっかりされたかもしれませんが、センサーを磨く「魔法」はありません。どちらもひどく常識的な方法です。だからこそ、「間違いない」と確信できます。
では、センサーを磨く「資質」とはなにか。才能や資質といったことばは、あまり好んで使いたくはないのですが、自分の経験として言えることがあります。
それは、「満足の水準が低いものは資質がない」ということです。
■満足するとそこで止まる
中学生のとき、フォークソング・ブームの真っ只中でした。ゆず、19、コブクロといった路上ライブ出身のミュージシャンがブレイクし始めていた頃です。
ぼくが人生で初めて買ったCDはゆずの名曲、『いつか』や『からっぽ』、『サヨナラバス』が収録されたアルバム『ゆずえん』でした。
もろに影響を受けたぼくはお年玉でアコースティック・ギターを買い、学校をサボって一日中、親に怒られる夜21時まで、練習に明け暮れました。そのかいあって、ぼくはみるみる上達し、『サヨナラバス』や『夏色』を、しかもハーモニカも吹きながら弾けるようにもなりました。
ではその後、どうなったのか。今度は背中でくるくる回る姿に魅せられて、ブレイクダンスを始めました。ギターにはもう満足したからです。
■文章を書きつづけるのは、不満だから
語学でも、料理でも、スポーツでもそうです。満足する水準にまで到達すると、そこから成長はほとんどなくなります。
ぼくのギターの例で言えば、他の仲間より早く弾けるようになったので、センス(センサー)は良かったのだと思います。でも「ギターを演奏する」ことに対する満足度の水準が低かったので、そこで成長(描画力/技術)は止まりました。
逆に、コピーライターになる前から20年近く文章を書きつづけているのは、書くということ、そして何を書くかという内容についての、ぼくの満足の水準が高いからです。未だに満足していないからです。まだまだいける、もっとできると信じているからです。
■センサー×満足の4つの領域
前編では「センサー」と「描画力」で四象限の表にしましたが、今度は「センサー」と「満足度の水準」で分けてみます。
ぼくのギターは、センサーは良かったけれど、満足度の水準が低かったので「器用領域」です。「鈍感領域」は基本的に興味のない対象です。他人が「え、なんでそれ?」と思う鞄でも、ファッションに興味のない人にとってはどうでもいいわけで。
逆に満足度の水準ばかり高くて、センサーが鈍いと「なんだかわからないけど、嫌、これじゃない」と不満がち(不満領域)になります(センサーが悪い自分自身にも不満で)。
センサーが良く、満足度の水準も高い場所が「追求領域」です。
■質と量をいかに両立するか
シン・フリーランス論の屋台骨となる、フリーランスにおける個人DXで、これからは量と質とスピードの両立が重要だと言いました。
けれど、質を高めて価値が認められれば、量は必要なくなります。そうなれば、別に質と量を両立する必要はありません。ただ、社会への貢献として量を求めるなら、noteのようなメディアに載せて発信することで解決されるかもしれません。
■最後に
職種を問わず「追求領域」にいて、そこで自分なりの質を高めつづける。それが収入面だけでなく、幸福にとってもベストではないかと思います。
行動経済学という分野を確立し、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは「プロスペクト理論」を提唱しました。それは、乱暴に言えば「人の幸福を左右するのは『変化(量)』であって、『絶対(量)』ではない」というものです。
そして、この世界で最大の「変化」とは「自分自身の変化」以外にありません。こんなことができるようになった、こんなことがわかるようになった、時間はかかったけど、ここまで来た……そういった変化こそ、一時的ではなく、こころの底から湧き上がるような、充実した幸福感をもたらしてくれます。
そのためには、いつまでも飽くことない追求が不可欠です。「追求領域」に身を置き、満足度の水準を日々高め、センサーを磨き、腕を鍛える。それが仕事の質を高めるだけでなく、ぼくやあなたの人生の質も、きっと高めてくれると信じています。
■後編のまとめ
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。また書きます。
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■このnoteが本になりました
このnote「シン・フリーランス」の内容をベースにした、これからのフリーランスの生き抜き方を解説した本が出ました。ぜひご覧ください。
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