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ハーラン・エリスン サンタ・クロース対スパイダー(1968)

(短編集「世界の中心で愛を叫んだけもの」の中の一編)

休暇中のサンタさんが上司から、正体不明のスパイダーを破壊せよ、という指令を受ける。

今までスパイダーを担当していたヒーローは、股ぐらにプラスチック爆弾を詰めこまれてメキシコ湾に沈められた。

留守番の小人に、おれがいない間におもちゃ工場の稼働を止めるんじゃないよ、と忠告して、サンタさんは北極の地下要塞から潜水艦で発進した。

この潜水艦、超音速の飛行形態、ヴィトール形態の三段階に可変することができる。

サンタさんは、コロラドの山に隠された秘密基地で、上司から受け取ったスパイダーに関するファイルをめくる。

スパイダーは「風の谷事件」以来の宿敵だ。

スパイダーはまだ滅んでいなかったのだ!

ミラーボール型のプロジェクターが部屋の四囲をスクリーンに変える。スパイダーは合衆国の8人の要人の精神に憑りついた。

武器係から今回の任務で役立つ秘密アイテムを紹介してもらう。

「半径2マイルの地域を暗闇にできるペンライト」

サンタさんの赤い服にも今回はすごい改良されている。

赤い服のいつもの装備は今回も、もちろん全部ある。

ロケット、ジェットのついたバックパック、ナパーム弾、矛、手裏剣、高圧ホース、スパイク、30口径のマシンガン、強酸、可燃性あごひげ、ふくらむと救命ボートになる偽の胃袋、火炎放射器、プラスチック爆弾、ゴム製の赤いつけ鼻式手榴弾、工具ベルト、ブーメラン、ボロナイフ、投げ縄、マチェットナイフ、デリンジャー、ベルトバックル式時限爆弾、錠前あけ用具、潜水装置、お尻についたカメラとゼロックス、伸縮自在フック付き鋼鉄ミトン、ガスマスク、毒ガス、サメ除け薬、スターノ・ストーブ、非常糧食、世界の名著百冊をおさめたマイクロフィルム・ライブラリーだ。

それに加えて、今度は武器係が腕によりをかけて、ボタンを押すと服全体がふくらんで空を飛ぶことができる。

レーザー銃も最新式だ。

待ってろスパイダー。

世界に憎悪、狂気、偏見、混乱、頽廃などをまきちらすスパイダーとは一体、サンタクロースの活躍にご期待ください。

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