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#11 複数の音を同時に出す : poly~ オブジェクト その① | Max サウンドプログラミングの可能性

このシリーズでは、音楽や映像、アートやイベントなどいろんな分野で活用されているプログラミング環境「Max」を中心に、サウンドプログラミングについて紹介していきたいと思います。

鐘の音のシミュレーション

我らが井出 研究所 井出所長による、JR新宿駅の元祖発車音について語るポッドキャストが、現在大好評放送中です。
その中の重要なキーワードのひとつとして、「鐘の音」というものがありますが、この鐘の音を正弦波を重ねることでシミュレーションしたものを、11月11日放送の回で紹介して頂きました。
その音源はMaxを用いて制作したのですが、その時のパッチを(ちょっと変わってますが)参考にし、今回のテーマとしたいと思います。

同時に発音?

今回参考にするパッチはこれです。

この中で重要なのは…

ここ!「poly~ オブジェクト」です。

シンセサイザーに親しんでいる方ならお分かりになると思いますが、同時に1音までしか出せないものをモノシンセ、複数の音を出せるものをポリシンセと言ったりします。このポリシンセを実現できるのが、この poly~ オブジェクトです。

今回のパッチでは複数の正弦波を同時に重ねる必要があり、制御のしやすさも考え poly~ オブジェクトを選択しました。

どういう風に動く?

poly~ オブジェクトは、ひとつのオブジェクトの中にサブパッチのコピーが複数重なっているようなオブジェクトです。
サブパッチとは、ある処理をひとまとめにし、オブジェクトのような形で扱えるようにしたものです。*

*サブパッチは基本は patcher オブジェクト ( p のみ記載でもOK ) で作ることができますが、poly~ とは異なる点がいくつもあるので注意が必要です。こちらも紹介する回をいずれ設けたいと思います。

poly~ オブジェクトでは、サブパッチをファイルとして作成し保存したものを呼び出して使用します。

先ほどの、

ここの、「poly_sine_addition」の部分がそれです。
後ろの数字「12」は重なっている数です。
ダブルクリックで中を見てみるとこんな感じ。

このようなサブパッチが、12個重なっています。
in というオブジェクトからデータが入り、out~ からオーディオが出ているのが大まかにわかっていただけるかと思います。

メッセージの送り方

そして、target メッセージで、何番目のサブパッチに送るかを指定することができます。

次回はこのコントロールの方法など、少し詳しく見ていきたいと思います。



田中文久 FUMIHISA TANAKA
ソニフィケーションアーティスト、サウンドプログラマー
東京芸術大学音楽環境創造科、同大学院修士課程修了。音楽に関する様々な技術やテクノロジーを駆使し、楽曲制作のみならず、空間へのアプローチや研究用途、最近では、あらゆるものを音に変換する「ソニフィケーション」を用いた制作・研究・開発等、音楽の新しい在り方を模索・提示している。

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